水産加工品の製造・販売を手掛ける武輪水産株式会社(八戸市、武輪俊彦社長)は、若者世代に訴求する洋風仕立ての煮魚「FineDISH!(ファインディッシュ)」シリーズの認知向上を着実に進めている。昨年11月の第35回全国水産加工品総合品質審査会(全国水産加工業協同組合連合会主催)で水産庁長官賞を受賞した商品に加え、2月10日には新アイテムも発表。同社は「新たなファンを開拓する商品にしていきたい」と意気込む。
道内メーカーが開発した加工食品の品評会「第32回北海道加工食品コンクール」(一般社団法人北海道食品産業協議会主催)で、水産品では鹿部町・有限会社一印高田水産の「たらすみ」が札幌市長賞、釧路市・株式会社マルハニチロ北日本の「北乃創彩 北海道産ぶりラー油」が奨励賞にそれぞれ選ばれた。10日に札幌市の札幌パークホテルで表彰式が行われた。
株式会社極洋は2025年春の新商品として、市販用商品4品、業務用商品31品の合計35品を3月1日から順次発売する。家庭だけでなく、人手不足が深刻化するプロの現場向けに、調理の負担感を低減させる水産素材を意識し、「手軽に満足!魚をもっと好きになる」をテーマに商品を開発した。製法を変えるなどして磨きをかけ、さらなるおいしさを追求している。
消費者が商品を購入することでミズダコの資源保護につながる漁業者の取り組みが人気を集めている。北るもい漁協苫前支所でいさり部会長を務める小笠原宏一さんは、浜ゆで・急速冷凍した「ReTAKO(リタコ)」をブランド化。その増益分相当量のタコを海中に逃がすことで資源保護に努めている。2021年11月に個人事業主として「inaka BLUE」を立ち上げ6次化をスタート。22年7月の販売開始から注文数は急速に伸びている。3年目に入った今年は「ReTAKOに感心を持ってくれた方とのコミュニティーの場をつくりたい」と意欲を燃やしている。
湧別漁協直売店「オホーツク湧鮮館」は、昨年からホタテ玉冷やいくら商品の少量タイプ販売を開始し、消費者の高い評価を獲得している。ホタテ、カキを使った新商品「炊き込みごはんの素」も好評で、販売数量を増産する計画。新たな仕掛けに確かな手応えをつかんでいる。ホタテ玉冷は、300グラムのチャック付きスタンドパックを導入した。保存時の使いやすさを重視した開閉自由なチャック付き少量タイプ。リパックせず売り場に並べられる量販店はもとより、個人消費者からも好評を得ている。
マルハニチロ株式会社は2025年春季の新商品41品、リニューアル品12品を3月1日から(一部を除く)順次発売する。簡便さと本格さを兼ね備えた市販用商品や、健康意識の高まりに対応する栄養機能食品を新たに発売。インバウンドによる魚食ニーズの増加や、調理現場や施設での人手不足に対応する業務用商品のラインアップを拡充した。
千葉県立銚子商業高校3年の生徒7人が海洋プラスチックごみ問題に着目し、これをリサイクルした原料でオリジナルTシャツを製作した。地元の漁業資材会社・森幸漁網株式会社と廃漁網を活用した生地などの開発を行うモリトアパレル株式会社の協力を得てデザインなどを手掛けた。クラウドファンディングの「C‐VALUE」(ちばぎん商店株式会社運営)で返礼品として展開。1月16日時点で目標寄付金額の80%に到達している。
一般社団法人北海道水産物荷主協会(会長・根田俊昭株式会社マルキチ社長)は昨年(2024年)も道内の「子ども食堂」と連携した道産水産物の魚食普及推進事業を実施した。4年目の今回は、ホタテ加工品を使った親子で作れる料理レシピや水産加工品にスポットを当てた食育用パンフレットを172カ所に配布。十勝管内の3カ所ではレシピを活用した料理の試作・提供などを行った結果、調理ボランティアから「手間がかからず作りやすく、常用メニューに加えることができる」などと好評を得ている。
北るもい漁協羽幌本所に所属する桜井漁業部(桜井健一代表)は、刺網で水揚げしたカレイやホッケなどの加工品販売に乗り出した。昨年11月に作業場を備えた販売店舗「北のこんぶ小屋」をオープン。その名の通り前浜で採取している天然コンブの加工品も自慢の一品だ。6次化構想の夢が現実となった今、桜井さんは「バーベキューを楽しめるスペースも確保した。人が集まるグルメスポットを目指したい」と意気込んでいる。
岩手県大船渡市の及川冷蔵株式会社(及川廣昱社長)は、「さんまん」と名付けた新商品を開発、昨年末から販売を開始した。鮮魚・加工に利用できない小ぶりのサンマを有効活用し、フードロスの削減、若年世代の魚食離れの歯止めを意識。栄養豊富なこどものおやつ、朝食代わりの軽食として需要を想定している。