漁業者中心の有志団体・ブルーフォーラム、飲食業者の株式会社エー・ピーホールディングス、加工業者の株式会社紀文産業は協業で未利用魚を活用した商品企画を進めている。第1弾は標津産カジカ。可食部の歩留まりが低く、産地外に流通することが少ないため、一時期は浜値がキロ5円。3社が強みを生かし、カレー、麻婆ソース、バーニャソースの加工品を開発し、価値を高めていく。クラウドファンディング(CF)で活動の周知と資金調達を行っている。
第26回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」(大日本水産会主催)が21~23日、東京ビッグサイトで開催された。「シーフードビジネス×技術革新で水産の未来を創る」をテーマに約630社が出展。国内だけでなく、海外からも多くの来場者が参集し、熱意に満ちた商談を繰り広げた。全漁連は会員8団体と合同出展し「プライドフィッシュ10周年」を来場者に訴求。消費拡大のための販路開拓につながる商談やPRを行った。青森県漁連は陸奥湾産ホタテや十三湖産シジミ、宮城県漁協はみやぎサーモンやワカメ製品を出品、試食提案には多くの人だかりができていた。
首都圏・小売りのマイワシ商戦は近年、訴求に力を入れていた道東産の売り込みが小型化などで苦戦している。東京都や神奈川県中心に展開する量販店では、コロナ禍直前の数年にわたって6月下旬に道東マイワシの販促フェアを展開してきたが、以降の年は期間中に漁がまとまらず、実施を断念している。
「調理が手間」「骨が多くて食べにくい」など消費者の敬遠要因を踏まえ、魚食拡大に貢献する水産食品の創出を目指し、食品加工研究センターを中心に道総研が開発した「一夜干し+レトルト処理」製法の「骨まで食べられる一夜干し」。青魚では既にニシンは余市町の有限会社丸イ伊藤商店(電話0135・22・3616)が製造技術を活用、商品展開しており、道総研ではマイワシ、サバも研究開発。道内水産加工業者への技術普及で実用化を目指している。
新規就業者の確保・定着には資金や技術習得の支援などに加え、ハラスメント対策やCSR(企業の社会的責任)なども重要要素になっている。また、小・中・高校など学びの場で漁業に触れる機会を得られても就職先はより良い求人条件を求め、別の業界に進むケースも少なくない。漁業人口や生産量の減少が止まらない中で、若者をはじめ就業志望者は業界の宝。担い手確保や育成を担う各機関ではその宝を発掘、未来につなぐため、それぞれの活動に取り組んでいる。全国漁業就業者確保育成センターは、漁業会社や漁業を営む個人(漁師)を対象に“サポーター”と位置付ける一般会員枠を設けている。担い手の確保や育成を目的とする同センターの活動に賛同する会員を募るもので、働き方改革などに取り組む組織・個人が条件。サポーターを巻き込んで漁業界全体で働きやすい環境を生み出す狙いがある。センターのホームページでも紹介。小・零細企業や個人でも、アクセス数の多い同サイトを通じて、就業希望者へ情報発信できる。参加条件に合致したことを公表することで、特に水産高校の教諭や家族が安心して就職を促せるメリットも生み出す。
留萌市の株式会社ヤマニ野口水産(小野寺正司社長、電話0164・42・1127)は、主力・珍味の商品展開で新ブランド「RUMOY」(留萌)を立ち上げた。ギフトにも照準を合わせ、風味や食感の中身に加え、斬新なパッケージ、高級感のあるデザインなど見栄えも重視。サケのとば、ジャーキーの5アイテムをそろえ、珍味・つまみの新たな需要層の獲得に取り組んでいる。
株式会社極洋は2024年秋の新商品として、市販用商品8品、業務用商品38品の合計46品を9月1日から順次発表する。外食では人手不足対応、家庭ではタイムパフォーマンスや本格的な食品を求められており、「かんたん・本格!こだわりプラス!」をテーマに商品を開発した。市販用では同社初となる「鍋つゆ」市場に参入する。
水産加工の株式会社マルシュウフーズ(宮城県石巻市、吉田秀樹社長)は12日、手ぶらで地元産カキなどの海鮮バーベキュー(BBQ)を楽しめる飲食施設「オイスターキング」を同市築山にオープンした。定食や丼物といったフードメニューも豊富に用意し、ランチ需要の取り込みも目指す。年間売り上げ目標は5千万円。にぎわいの創出や水産業の活性化につなげる。
水産加工卸・販売を手掛ける根室市のマルナカイチ杉山水産株式会社(島孝治社長、電話0153・22・3463)は、根室産のホタテ、タコ、ホヤの3種で「酢味噌和え」を販売展開している。「酢みそは日本人に好まれる定番の味。また食べたいと思っていただける味を目指した」と島社長。3年前の発売以来、リピーターも獲得し、おかずや酒のつまみにも合う一品として好評を得ている。
中国の水産物輸入停止措置に伴い、ホタテの流通環境は国内外で大きな影響を受けた。海外輸出は北米に加え第三国での保水加工を目的に東南アジア諸国への流通が拡大している。一方、国内では昨年後半の消費応援ムードを背景に量販店や業務筋、ふるさと納税、ECサイト向けの引き合いが増加。各種製品の消化が急速に進んだ。国内を軸に新規販路を獲得した函館市のきゅういちや、保水の国内加工で輸出拡大を目指す極洋、第三国加工で内販を強化するフーディソンなど、供給体制の再構築に向けた動きが加速している。