政府は25日、今後10年間の展望と施策を示す新たな水産基本計画を閣議決定した。「海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施」「増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現」「地域を支える漁村の活性化の推進」の3本の柱を中心に水産に関する施策を展開していく。基本計画において初めて「海業(うみぎょう)」の業態を示しており、漁業以外の産業の取り込みを推進するなど、漁村地域の所得向上に向けた具体的な取り組みを進める。
総務省の全国家計調査によると、昨年1年間で1世帯(2人以上)当たりが購入したホタテの平均数量は、前年比2%減の560グラムとなり、4年ぶりに減少へ転じた。海外需要の高まりで価格が上昇し、国内消費が伸び悩んだため。100グラム平均価格は220円となり同2%高となった。
青森県が21日発表した2021年の県海面漁業調査によると、年間漁獲数量は前年比13.5%減の14万4610トンとなり、1958年の調査開始以降の最低を2年連続で更新した。主要魚種のサバやスルメイカの不漁が響いた。漁獲金額は同4.2%減の327億5107万円で、平成(1989年)以降で見ると2年連続の最低更新となった。
道は18日、2022年度当初予算案・21年度補正予算案を発表した。22年度一般会計予算案の水産関係分は286億2918万2千円で、今年度比7.4%減。水産エコラベルの認知度向上など道産水産物の持続的な需要増大、廃漁網などのリサイクル促進に向けた実証試験・マニュアルの作成、日本海のサクラマス資源回復への健苗生産の支援などを新規に盛り込んだ。
財務省の通関統計によると、2021年の食用干し昆布の輸出数量は前年比6%増の463トンとなった。11年以降は400~500トン台で推移している。キロ平均単価は近年上昇傾向で、21年は8%高の2010円だった。
水産業の主に技術面に携わる民間団体が結集し、「海洋水産技術協議会(仮称)」を近く正式に立ち上げることが明らかになった。現在、賛同者を呼び掛けている。気候変動などで漁場環境が著しく変化する中、その問題解決に役立てるための技術面も複雑化。各団体が協力し現状の問題点を洗い出すことで、より確実な現場への浸透を図る。また、国に対する要請で複数団体の声を反映したものとして提言力を高める。
阪和興業株式会社は、株式会社ゼネラル・オイスターが実施予定の第三者割当増資のうち、11万2千株(出資比率2.8%)を引き受ける合意を含む資本業務提携契約を締結した。商社である阪和興業が持つネットワーク力と、カキの種苗、生産、加工、販売に着手しているゼネラル・オイスターの力を融合させ、安全を軸とした高品質な6次産業化を実現し、新たな価値を創出させる。
日本政策金融公庫が2008年度に創設した水産業経営アドバイザー制度。漁業経営改善支援資金や水産加工資金など融資の活用をはじめ、水産業経営に対する支援機能を担う。昨年3月に試験に合格した札幌市の弁護士、長友隆典氏(弁護士法人T&N 長友国際法律事務所・電話011・614・2131)は水産庁出身。水産関連の法令・契約にたけたスキルを生かし「最適な経営改善策を一緒に考えていく」と話す。
昨年12月下旬に閣議決定された国の水産関連予算は、2022年度当初予算が1928億円、北海道の赤潮対策に15億円などを盛り込んだ21年度補正予算1272億円を合わせ総額3201億円となった。前年度と比べ136億円の増額、補正・当初を合わせた総額は4年連続で3千億円台を確保した。漁業経営安定対策や不漁要因を解明するための資源調査を充実させるなど、環境変化に対応した持続的な水産業を推進していく。
北海道の漁業は昨年、イカや秋サケといった主要魚種の低迷が続いた一方、羅臼では定置網にサバが大量乗網するなど異変も起きた。北大名誉教授で函館国際水産・海洋都市推進機構函館頭足類科学研究所所長の桜井泰憲氏に海洋環境や気候変動に伴う資源状況や将来的な見通しについて聞いた。