水産庁や水産関連団体のトップは5日、東京都内でそれぞれ年頭会見を開き、昨年の回顧や今年の展望を示した。それぞれ1日に発生した能登半島地震への被害状況の把握や対応に全力を注ぐことを強調。一刻も早い復旧・復興を祈念した。昨年を振り返ってはALPS処理水放出に伴う輸入規制など業界を取り巻く環境は依然厳しいと捉える一方、「水産業を応援したい」など国民の視線や関心が業界に集まった年であったと受け止めている。この機運を逃さず、本年こそ強い産業にしたいとおのおの意気込みを示している。
一般社団法人北海道水産会(阿部国雄会長)主催の「新年の集い」が9日、札幌市のホテルガーデンパレス札幌で4年ぶりに開かれた。道水産林務部幹部、系統・関係団体の役員らが出席。昨年の全国豊かな海づくり大会北海道大会の盛会、中国の輸入規制措置に伴うホタテなど道産水産物に対する国内の応援消費などを弾みに、新年も北海道水産業の発展に一致団結していくことを誓い合った。
日本漁船保険組合は9日、「第30回全国漁船保険推進のつどい」を東京都内のホテルで開催した。漁船保険の現況報告とともに特別表彰や感謝状贈呈が行われた。枝元真徹大日本水産会会長や坂本雅信全漁連会長、森健水産庁長官ら行政や各水産団体の代表など多数が出席する中、全国から漁船保険事業に尽力した関係者らが集まり情報を共有、親睦を深めていた。
国際水産団体連合(ICFA)の年次総会やFAO(国際食料農業機関)との意見交換会が10月23~25日、イタリアのローマで開かれた。日本から大日本水産会の白須敏朗相談役と松本冬樹事業部長、日本トロール底魚協会の吉田光徳会長、マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)協議会の冠野尚教事務局長が出席した。帰国した白須相談役、吉田会長らが1日、総会出席に関する報告会を東京都内で開き、「日本側からの報告、提案に各国代表らは高い関心を示していた。国際的な水産シーンにおいて、日本の存在や役割がより大きくなった」と総括した。
全国漁港漁場協会は18日、第72回全国漁港漁場大会を東京都千代田区の東京国際フォーラムで開催した。全国から関係者約1250人が集まる中、宮下一郎農林水産大臣や両議院農林水産委員長、農水省幹部や関係団体トップらが出席、多くの国会議員も駆け付けた。新たな漁港漁場整備長期計画3年目となる2024年度に向け、大会では長期計画の着実な実行に向けて課題を共有するとともに、水産基盤整備事業予算確保への提言を取りまとめた。
日本発の水産エコラベル、マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)の認証プログラムがGSSI(世界水産物持続可能性イニシアチブ)の新基準に9月21日承認された。地理や生物、産業、食文化的多様性など日本の水産業と社会の実情に合った認証制度として誕生したMELが、より世界が認める水産エコラベルへの一歩を踏み出したことになる。日本の多様性の活用を世界に発信するとともに、国益を守り、水産業の成長産業化につなげていく。
日本農林規格(JAS)の「有機藻類」認証(小分け業者)を昨年取得した株式会社丸善納谷商店(函館市、納谷英雄社長)はこのほど、「日本有機海藻の会」を組織、連携する各漁業者を含めた団体として新たに生産行程管理者の認証を受けた。また、今年から道南と道北の養殖漁業者2軒が加わり計5軒と連携、道産有機海藻の安定生産と需要開拓に注力していく。
中国の日本産水産物全面禁輸措置に伴う対応として、道はホタテなどの消費拡大に向けた緊急対策を取りまとめた。道漁連と連携し、全国の量販店など約900店舗で販売・試食会を行うほか、SNSを活用した情報発信や大都市圏の駅広告で道産水産物をPRする。またオーストラリアなどで現地試食会を開き中国以外の輸出拡大を図る。これらの事業費には1億円を充てる。
政府は4日、ALPS処理水放出に伴う中国などの水産物の禁輸措置を受けた緊急支援として、「水産物を守る」政策パッケージを発表した。すでに計上されていた総計800億円の基金に加え、中国などに依存しない輸出先の転換対策などに予備費から新たに207億円を計上。総額1007億円による5本柱の支援策を打ち出した。
中小食品会社の支援・活性化を進める株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(HD、東京都、吉村元久CEO)は10月16日付で、森町砂原の株式会社ワイエスフーズ(坂本拓也社長)の株式70%を取得し、子会社化する。3月に子会社化した網走市の株式会社マルキチ(根田俊昭社長)と併せてホタテの調達力を強化し、シンガポールで水産品卸を行うグループ会社の海外販路を組み合わせ、マーケットシェアの拡大を目指す。