ひやま漁協乙部支所ナマコ協議会の加工部門は来年2月にも、延縄で漁獲される前浜産スケソの卵を使った塩たらこ製品を、乙部町内の売店で地元住民向けに売り出す。また、新たな加工場も近く完成し、早ければ1月中にも稼働する見通し。
カニの主力商材・タラバとズワイをめぐる消流は、ロシア産の輸入環境の変化や品薄高値の市況下で仕入れた昨シーズン産の在庫消化を優先する動きなどが複雑に絡み合い不透明感が増している。ここ2年ほど国内需要の伸長でズワイ、タラバの国際市況をけん引した米国は、ロシアのウクライナ侵攻を契機にロシア産を禁輸。船凍ボイル品の一大仕向け先の喪失で、今シーズン産の先安観が広がり、昨年仕入れた在庫の「投げ売り」も散見されている。水産商社や加工業者は「早期に在庫を消化し、マーケットを安定化させたい」などと吐露する。
日本水産株式会社は1日、「株式会社ニッスイ(英文:Nissui Corporation)」に社名変更(商号変更)した。新たなミッションのもと世界中のニッスイグループ企業とともに「食」の新たな可能性を追求するにあたり、水産という特定の事業を表現した商号から、長年消費者に育んでもらった呼称である“ニッスイ”を新商号とした。
鮮魚介類・水産加工品販売を手掛ける森町砂原の魚匠株式会社ハマグチ(濱口聡社長、電話01374・8・4522)は、前浜で水揚げされる良質なオオズワイガニを「北森」(ほくしん)と名付け、今年9月からブランド展開している。東京・豊洲市場では「身入りも味も良く日本海のズワイガニに引けを取らない」と評価が高い。
渡島噴火湾のスケソ刺網は群れが薄く、水揚げが伸び悩んでいる。着業船の漁獲格差が目立ち、日量変動も激しい漁模様。操業は水深400メートル前後と深み。浜では今後の水温低下による陸寄りでの群れ形成に期待をかけている。一方浜値は、減産推移に加え、海外すり身原料の品薄感などから、卵が未成熟なガム子が多い状況下で高値を形成。卵熟度が増す12月は100円台の半ばから後半が常態化するとの見方が出ている。
株式会社北三陸ファクトリー(岩手県洋野町、下苧坪之典社長、電話0194・75・3548)は12月、再生養殖ウニ「はぐくむうに」の本格販売を始める。磯焼けの海で回収した痩せウニをかごに入れ、いけすで給餌して身入りを改善させる技術を6年かけて開発した。需要期の年末年始に出荷して収益アップを図る。
ネット通販、宅配の増加などコロナ禍で変化した消費行動。道東地区で2店を展開する株式会社東武はネット宅配の拡大を図るとともに、リアル購買への回帰も踏まえ、即食、冷凍品対応、SDGsなど時代の潮流をつかんで商品力の強化、販売促進に臨んでいる。ウイズコロナ、アフターコロナの購買動向について、中標津町に構える大型店「東武サウスヒルズ」の木幡竜仁副店長兼鮮魚・ドライグロサリーバイヤーは「店舗での滞在時間が短く、必要なものを端的にそろえて買っていく」と説明。即食系を中心にメニュー提案型の商品戦略を充実させている。3年前に開始した宅配事業もその一つ。「顧客はネットで購入しながら、店舗に来て不足分を追加購入することで買い物時間を最小限にしている」と話す。午前9時までに注文すれば、当日の午後5時までに商品を届ける。契約者には鍵付きのロッカーを提供し、自宅に設置。非接触で届けることができ、宅配でネックとなる再配達も解消。保冷箱・保冷剤を使用し、6~9時間温度管理が可能で、常温、冷蔵、冷凍の全温度帯の商品を配達できる体制を確立している。
水産庁は、豊かな自然や漁村ならではの地域資源の価値や魅力を活用して所得機会の増大を図る「海業(うみぎょう)」の振興に向け、モデル形成に取り組む地区の募集を開始した。漁村の人口減少や高齢化など地域の活力が低下する中、地域のにぎわいや所得と雇用を生み出していく必要があるため、海業振興の先行事例を創出して広く普及を図り、漁村の活力を向上させるのを狙いとしている。
定額料金で定期的に商品・サービスを提供するビジネスモデル「サブスクリプション(サブスク)」が、水産物の消流拡大でも注目度が上がっている。メーカー側にとっては安定した売り上げを確保でき、経営戦略を立てやすいのがメリット。旬の鮮魚をはじめ未利用魚の活用、刺身専門、下処理済み・調理済み、一流シェフ監修、調理方法の伝授……。工夫を凝らし、「ワクワク感」など消費者の購買動機を刺激している。
株式会社フーディソンは5~18日、福島県と連携し「ふくしま常磐ものフェア」を開催した。東京都内の運営店舗「sakana bacca」2店舗(豪徳寺店、新橋店)で県産の鮮魚やそれを使用した丼を販売。プレゼント企画も実施するなど消費者に向け県産品の魅力を訴求した。ヒラメやホッキ、メヒカリ、タチウオなどの常磐ものを鮮魚で販売したほか、それらを使用した刺身セットを展開。またヒラメを使用して刺身や漬け、炙りの3種類を楽しめる食べ比べ丼を限定品として提供。県の地酒も取りそろえるなど多方面から福島の魅力を伝えた。メヒカリを使用した焼きかまぼこのプレゼント品も用意した。