北海道のサケマス資源の回復に向け、油脂添加餌料の給餌で幼稚魚の遊泳力や飢餓耐性を高めて回帰率の向上を目指す実証試験が進められている。道総研さけます・内水面水産試験場によると、昨年度までの検証では回帰率で2~3割程度の上乗せ効果が期待できる結果。一方、回帰時の魚体サイズの大型化には効果が見られていない。
円安や世界的な需要の高まりを背景に、サケ・マス相場が高値傾向で推移しているが、チリ産ギンザケ(冷凍ドレス)の内販価格は軟調に転じている。2022年シーズンのチリギンの国内搬入量は8万2千トンほどと例年に比べて少なかったが、「今年は増える見込み」(商社筋)との見通しで新物シーズンを迎えている。
宮城県漁協によると、2023年の県産養殖ギンザケの水揚量は前年比5.3%増の1万8167トンと当初計画を2割近く上回り、1995年以降で最多だった。平均単価は5.2%安のキロ686円で、平成以降で最高だった昨年に次ぐ高水準。金額は0.2%減の124億6196万円と過去5番目に高かった。
東京電力は24日、福島第一原発のALPS処理水の海洋放流を始めた。風評被害などに不安を抱える地元・東北地方をはじめ漁業関係者らが反対する中、岸田文雄首相は21日に全漁連の坂本雅信会長らと面会し、風評被害対策など「全責任を持って対応する」と強調。ただ、中国は24日、放出を非難し、日本の水産物の輸入を全面的に停止したと発表した。東日本大震災の復興に避けて通れない福島第一原発の廃炉に向けて長期にわたって漁業者、水産業界は懸念材料を背負わされる。
南かやべ漁協は主力の促成で増産を見込んでいる。昨年度実績の2145トンに対し今年は2348トンの計画数量。順調な水揚げが進み大半の漁家が収穫作業を終了、製品作りが本格化している。
サロマ湖の一部の沿岸で15日、ホッカイシマエビやカジカなどの死骸が打ち上げられた。佐呂間町富武士地区を中心に約5キロの範囲で発生。佐呂間漁協職員や漁業者は17日、960キロの死骸を回収した。サロマ湖養殖漁協は8月上旬の降雨と風向きの変化で貧酸素の海水が沿岸域に上がり、行き場を失った根付きの魚類が「局所的」に死滅したと推測している。
道東沖のサンマ棒受網漁が始まった。25日は根室・花咲港で小型船(20トン未満船)8隻と大型船(100トン以上)1隻がバラ44.6トン、発泡644箱の水揚げ。今年も低調で組成は小ぶりだが、昨年微量の110グラム以上も揚がっている。花咲市場の浜値は高値キロ3千円台に落ち着いた。
南かやべ漁協のタコが好調だ。数量2割増に加え平均単価も1割高の千円強に上昇。金額を3割増に伸ばしており、今後の水揚げも期待される。箱やいさり、夜縄などで水揚げ。同漁協によると22日現在の数量は組合全体で前年同期比19%増の175トン、金額は33%増の1億9400万円、キロ平均単価は12%高の1109円。
利尻漁協のバフンウニはシケによる沖止めが続き浜値が高騰、8月上旬にはキロ6万円台と組合史上最高値を付けた。ただ7月末現在の累計では数量、金額ともに前年同期を大きく割り込んでいる。漁期は終盤に入ったが、最後の追い上げに期待がかかる。