宮城県石巻市で、水産加工品の対米輸出を強化する動きが本格化してきた。石巻食品輸出振興協議会の下、株式会社マルカ髙橋水産の「活タコの炙り焼き」を8月、全米展開の回転ずしチェーンに供給。現地では今年度中に石巻産をPRするフェア開催も計画する。東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出で禁輸措置を発動する国もある中、輸出拡大が見込める米国市場をターゲットに「稼げる水産業」の実現を目指す。
礼文島・船泊漁協の佐々木文雄さんは、ウニ採りなどで使うたもを自作している。他の漁業者からの製作依頼も絶えず、その人の採り方に見合ったたもを無償で作る。「おまえのたもで大漁できたと言われることが何よりうれしい」と話す。たもの枠はステンレス製でラケットのような形状。「丸型に比べてウニをすくいやすい。網袋は特注品でウニが入ると自然に膨らみ、たくさん入りやすい」と特長を示す。枠は5種類の太さを用意。「細いほど岩などの隙間に入り、そこにいるウニを採りやすい。また、根元がしなってバネになり、その弾力で採取できる」と話す。
カラフトマスの水揚げが全道的に低迷する中、網走漁協のマス小定置は昨年の約8割減と極度の不振に陥っている。最盛期の8月後半も上向く気配がないまま、31日には沖網を撤去しており、着業者は「予想をはるかに超えた凶漁」と頭を抱えている。キロ500円台を付けていた浜値は8月29日に460円。漁がまとまらず弱含みに推移している。
道漁連は8月30日、道産水産物を取り扱う取引先で構成する「道ぎょれん会」の秋季取引懇談会を東京都で4年ぶりに開いた。道内企業の首都圏担当者や関東圏内の卸や商社など約180人が参加。中国輸出が期待できない情勢下、秋サケ製品、ホタテを中心とした道産水産物の商戦について意見交換した。
えさん漁協の養殖コンブは製品化が進み各漁家順次終了している。今季の水揚げはナギに恵まれおおむね順調に進行したものの、実入りや付着物の状況は地区や銘柄でばらつき。クサレが目立ち製品化に手間を要した着業者もいる。
中小食品会社の支援・活性化を進める株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス(HD、東京都、吉村元久CEO)は10月16日付で、森町砂原の株式会社ワイエスフーズ(坂本拓也社長)の株式70%を取得し、子会社化する。3月に子会社化した網走市の株式会社マルキチ(根田俊昭社長)と併せてホタテの調達力を強化し、シンガポールで水産品卸を行うグループ会社の海外販路を組み合わせ、マーケットシェアの拡大を目指す。
オホーツク海沿岸の8月末水揚量は漁場造成含め前年同期比1%増21万5245トンとなった。計画達成率は70%。南部中心に7単協が昨年を上回るペース。北部の宗谷、猿払村、南部の紋別、常呂が2万5千トンを超えている。気温上昇による乗組員の熱中症予防やホタテの鮮度保持に加え、一部では中国の禁輸措置に伴い日産ノルマの縮小のため、午前中帰港で対応。歩留まりの下降、玉冷・冷凍両貝の荷動き鈍化によって浜値は下方修正の傾向にあるが、キロ200円前後と依然高い水準を維持している。
30日に開幕する北海道の秋サケ定置網漁。水揚げの回復傾向に対応した原魚の円滑処理に加えて、今季はロシア、北米のマスが好漁、東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出による中国などの日本産への輸入規制など消流に及ぼす懸念材料を抱えている。道漁連の鳥毛康成参事兼販売第二部長に商戦展望、流通対策の重点などを聞いた。
ロシア産カラフトマスの冷凍卵は今年豊漁で昨年の倍増が見込まれている。流通業者は価格の下方修正を踏まえ、不漁年で高騰した昨年産の消化に注力しているが「年末まで目立った需要はない」と戦略の立て直しに苦慮。商社筋は国内在庫の消化が困難な情勢を見越し、年内の搬入を見送る構えも見せている。
今年の秋サケ定置網漁で、河川そ上数が親魚捕獲計画を下回る予測が示されている根室海区(知床岬~納沙布岬)とえりも以東海区(納沙布岬~えりも岬)の漁場が操業始期から自主規制措置を実施する。解禁から自主規制を行うのは両海区とも3年連続。網入れ時期を遅らせ、河川へのそ上を促し、再生産用親魚の確保に万全を期す。