水産物卸・水産加工を手掛ける旭川市のくまだ株式会社(熊田泰也社長、電話0166・47・1310)は、北海道産を主体に加熱調理済みの「煮魚シリーズ」の商品展開に乗り出している。従来一般的なレトルト加工ではなく、低温調理のふっくら食感で差別化。昨年11月に地元・旭川市のスーパーで販売を始め、今年から地元外への売り込みを本格化している。
東京都・豊洲市場の北海道産シシャモ消流は品薄高値から需要の落ち込みが懸念されている。生鮮・干物の両製品とも仲卸業者らは荷受からの卸値を「社外秘」とするものの、利幅の狭い販売価格で展開。生鮮の広尾産のオスをキロ5千円で販売している仲卸業者は「顧客に現状より安くなる見込みはないことを伝えても漁が上向くことを期待して買い控えている。結局は希望通りの相場にならず買うのを断念するだろう」と悲観的な展望を話す。
ニチモウ株式会社とSPACECOOL株式会社は、猛暑により漁獲物の安定した鮮度保持が困難になりつつあるという漁業が抱える課題を解決するため、SPACECOOLが開発した放射冷却素材「SPACECOOL」を活用し、漁船の貯氷槽内の温度を下げることに成功した。千葉県船籍の巻網漁船2隻が漁業として初めてを導入したのを皮切りに、同県内で導入が進んでいる。
全国漁港漁場協会は24日、第73回全国漁港漁場大会を東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した。全国から1250人の関係者が集まる中、舞立昇治農林水産大臣政務官、滝波宏文参議院農林水産委員長、水産庁幹部や関係団体トップらが出席した。漁港漁場整備長期計画が4年目を迎える2025年度に向け、大会では長期計画の着実な実行に向けて課題を共有するとともに、水産基盤整備事業予算確保への提言を取りまとめた。
岩手県漁連は10月24、25の両日、2024年度第1期(11月分)県産アワビの浜値を決める事前入札会を盛岡市内で開いた。水揚げ予定数量117.4トン(前年同期比5.5%減)に対し、10キロ当たりの平均単価は6万6475円(同31.2%安)。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出をめぐる先行きの不透明さ、磯焼けによる品質への懸念などが相場にも影響しているとみられる。
えりも漁協庶野地区のタコ空釣縄漁は10月上旬の縄入れ直後に大シケに見舞われ、陸側中心に縄が「団子状態」になるなどの被害が散見した。それでも出足の水揚げは多い日で1トンを超える船もあり、漁期前半主力となる大ダコ(ミズダコ)は赤潮以降低迷していた漁模様に回復の兆しが見えている。
斜里第一漁協(馬場浩一組合長)はデジタル技術で漁場環境や漁獲情報を収集・蓄積・分析し、それを生かした組合の市場業務や漁業者の操業の効率化など定置網漁業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組んでいる。日本事務器㈱(東京都)の漁業活動支援アプリを基盤に活用。市場では各漁場からの漁獲量報告をもとに氷の準備や輸送車両の迅速な手配などを実施。また、北見工大の協力を得て、水温などの海況と漁獲量の関係などの分析にも着手。来遊動向の推定などへの発展も視野に入れている。
釧路管内の成コンブ採取が終漁した。管内5単協の累計採取日数は昨年比25日減の92日(55.5時間減の297時間)にとどまったほか、全般的に着生も薄く、大幅な減産が見込まれている。昆布森漁協の着業者は「資源量が薄かった上に採取日数も少なく厳しい年になった。特にアツバが振るわなかった。着生漁場を探して採ったが、ナガも含め生産量は落ちる」と話す。
いぶり中央漁協白老地区のホッキけた引漁は順調に操業し、大半の船が漁期の15日までに許容漁獲量を達成した。一方で春先に刺網漁を手掛ける一部の漁業者が混獲のオオズワイガニの影響で水揚げに支障を来している状況下、安定した収入確保を目的に来年3月ごろにシーズンで許容量(1人当たり2.15トン)未消化分のホッキ漁を再開する。同地区では初めての試み。
沙留漁協は来年から、前浜に投入する採苗器を拡充する計画だ。今年の全道的採苗不振を受け補完体制を強化するもの。ほたて養殖部会に加え、新たにほたて貝漁業生産部会が投入。稚貝を生産するパートナー漁協が不足した場合の補充用として備える。