豊洲市場への移転延期が決まって1年が過ぎた。今なお、その時期がはっきりと決まらない。行政に対する不満は尽きないが、この問題が「市場とは何か」をあらためて考えるきっかけにもなったと、しっかりと前を向いている“市場人”が確かにいる。築地市場の業界団体の会長である、荷受・中央魚類㈱の伊藤裕康会長に話を聞いた。
神奈川県と「小田原の魚ブランド化・消費拡大協議会」(事務局・小田原市水産海浜課)、株式会社小田原魚市場は協業し、魚体中骨抜き具を完成させた。小田原市の特産品を開発する過程で誕生した器具で、今後、小田原魚市場が全国の水産関係者に向けて販売していく。一部の地域で愛用されていた器具を全国に開放することで、新たな水産加工品の誕生に期待が持てる。
新潟県佐渡のカキで加茂湖の出荷が1日、始まった。放卵後の身入り回復遅れから例年より10日前後ずれ込み、出荷者もまだわずかだが、これまで死滅や付着物が少なく好調なシーズンが期待される。真野湾でも成育は順調といい、出荷は早い人で11月からの見込み。移入種苗の問題があらためて浮上し、加茂湖では宮城県産の割合の高い人は減産必至、真野湾では広島県産の今季の出来が出荷量を左右する。
雄武漁協(片川隆市組合長)が建設を進めていた加工処理施設が9月末に竣工した。ホタテ玉冷のEU・HACCP認定取得に向けた体制整備の一環で、冷凍・包装・梱包工程専用のクリーンルームとして機能。併せて将来の労働力確保問題を見据え、最新機器の導入で計量・包装作業などを自動化した。来年からの生産回復と連動し、ホタテの消流安定に一層取り組んでいく。
増毛漁協のナンバンエビは、9月以降のシケに悩まされ薄漁続き。かご漁中心にサイズは小小主体。浜値も弱含みで苦戦している。9月中旬開始のこぎ漁はボタンエビ中心の操業だ。
日本海側の稚貝本分散は終盤戦に入った。仮分散以降、問題なく成長しており、一部の地区で稚ガニによる食害も見られるが全地区で必要量を確保している。作業ペースも順調で、10月末までに終了する見込み。
函館市水産物地方卸売市場の6~9月の鮮スルメイカ取扱いは、数量が前年同期比14%増の1037トン、金額は同23%増の7億861万円、キロ平均単価は同8%高の683円。数量・金額ともに8、9月連続で前年実績を上回った。
岩手県南部、大船渡湾の赤崎地区でカキ生産者が今季の採苗にチャレンジした。6人が合わせて約千連のホタテ原盤を9月に2回に分け投入。最初の投入で1枚当たり20個ほど付着、「死ななければちょうどいいくらい」の厚さとなった。天候不順でも付着したことから、地場採苗に手応えを強めている。成長抑制で付着個数の調整も考える。
鹿部漁協の飯田英和コンブ養殖部会長は7月、新たに昆布倉庫を建設した。原藻を保管するほか製品作り、こん包など各作業に使用している。
2階建て。1階には乾燥処理機やコンブ巻取機、プレス機など各機械のほか、折りや裁断に使う作業台などを配置、主に製品作りに使用する。
プレス機は2台あり、毛(ヒドロゾア)やカキなど付着物が付くコンブとそうでないコンブで使い分ける。飯田部会長は「一つのプレス機でどちらも仕上げると、圧縮段階で落ちたカキなどがきれいなコンブの方にも混じってしまう」と理由を説明、品質管理を徹底する。
東北で秋サケ水揚げの多い青森、岩手、宮城3県は9月末まで、岩手が順調でとくに久慈など北部が伸び始め、青森、宮城は低調な序盤となった。平均単価は3県とも前年同期の140~150%前後と極めて高い。平均体重はいずれも3キロ割れし小型化をうかがわせるが、昨年序盤に比べればわずかに重い。