三重県漁連の三浦活魚流通センターと長崎県の株式会社松浦養殖は株式会社ニッコーの連続式シルクアイスシステム「海氷」を大きく評価している。両者とも魚の体温が瞬間的に上がってしまう水揚げ直後にシルクアイスを活用。素早く魚体を冷やすことでより高度な品質管理へと昇華させた。さらに安定供給に強い製氷方法を採用しているため、使い勝手がよいのも導入の決め手になった。
北海道産タコは昨年来、空前の高値に付いている。2年連続の2万トン割れとなり、供給量が低水準。加えてアフリカダコの搬入が不安定で加工原料の代替需要も影響し、煮だこ製品が品薄状態。今年も水揚げが低調な出足で生産面では好値継続の様相だが、消流面では価格先行に限界感も存在。今後の漁況や消費動向次第の先行き不透明感も漂っている。
アフリカ産マダコは、昨年12月に大幅な減枠下でスタートしたモロッコの冬漁が、つぼ漁は漁獲枠を満たして増枠するなど順調に推移した一方、トロール漁やモーリタニアが伸び悩んでいる。組成も大型中心で日本向けの小型が少なく、搬入量も多くは見込めない様相。引き続き売り場の縮小が懸念されている。22年のアフリカからの輸入量は1万9687トンと不漁が影響した前年(21年)に比べて約3割増。搬入量は増えたものの、小型に対しても需要が増すなど欧州勢の買い付けは旺盛で、22年の平均単価はキロ1400円台で前年に比べ高値となった。産地価格は高値で推移したまま、今冬漁を迎えた。
岩手、宮城両県のイサダ(ツノナシオキアミ)漁は浜値下落のため4月末までの漁期を前倒しして終了した。序盤にキロ80円を超えていた浜値は一時30円台まで落ち、漁業者側が「今季の需要を満たした」と判断した。親潮の流れに恵まれ水揚量は前季比11%増の計約1万2千トンと伸びたが、金額は14%減の計6億6千万円余りに終わった。
千葉県沿岸小型漁船漁協は3月3日、新勝浦市漁協浜行川支所で水産政策審議会資源管理分科会のメンバーでもある株式会社シーフードレガシーとキンメダイのTAC制度(漁獲可能量)の理解を深める勉強会を行った。来年度から始まる同魚種のTACが全国レベルの実施ではなく、1都3県(東京、千葉、神奈川、静岡)に絞られていることの不公平さや、スルメイカなどの過去の失敗から想定される不安要素などを議論した。
「資源回復を目指す水産フォーラム」は5日、水産資源の回復と適切な管理に向けた「5つの提言」を公表した。提言により目指す将来像は水産政策に反映され、魅力ある漁業構造の構築や、資源管理の方針については漁業者が納得して主体的に参加することなどを挙げている。「水産業界での幅広い議論の契機になれば」としている。提言は、①海の環境変化を理解するためのデータ収集の強化を図る②資源調査・評価・管理のための予算の増額と人員体制の強化を図る③資源管理目標の設定に漁業者の主体的参画を促す体制を作る④小型魚の漁獲規制など手のつけられる資源管理措置から取り組む⑤漁業補助金(漁業収入安定対策事業・漁船リース事業)の改善を図るの5項目。
ニシン刺網に着業する北るもい漁協羽幌本所の小笠原強さん(強生丸=4.7トン)は、1網0.5反つなぎで仕立てている。「船上で巻く時に1反では収容するかごが2つ以上にまたがるが、0.5反にすると1かごに収まるため仕事がはかどる」と説明。一方、長男の海都さんはiPadを活用しており「航跡や投網場所を記録することで今後に役立てたい」と笑みをこぼす。いずれも今年から始めた手法。出荷後に漁具・漁法を説明してくれた。
えりも漁協のサメガレイが好値で推移している。活出荷で良いときはキロ千円台後半まで上昇。着業者は「漁は少ないが値段に支えられ昨年より金額的には良い」と説明する。
小樽市漁協は2日から地まき用稚貝の出荷を開始した。成長、生残率ともに良好で、規定殻長もクリアし順調に水揚げ。着業者は「このまま最後までへい死することのないよう、計画量を出し終えたい」と話す。1日開始予定がシケで1日順延し、9日まで枝幸向けに6回出荷した。
根室市内4漁協と根室市で組織する根室市ベニザケ養殖協議会(会長・大坂鉄夫根室漁協組合長)は、トラウトサーモン(ニジマス)の養殖試験を手掛ける。協議会立ち上げから2023年で5年目を迎え、これまで養殖試験に取り組んだベニザケ以外の魚種も成育できるか検証する。