えりも漁協のツブかご漁は数量・価格とも低調で苦戦を余儀なくされている。新型コロナウイルスの影響を受け、真ツブが大でも千円台の相場が常態化し、対策で4月8日から5月26日までかご漁を週3回に制限。着業者らは緊急事態宣言解除後の価格形成を注視している。
5月に本格化した枝幸漁協のミズダコ漁は樽流し、かごともに好調だ。樽流しは水揚げの多い着業者で日量500キロ以上に。全体では日量平均20トン前後の好漁を持続している。組成は中主体。浜値は消費停滞のあおりでキロ500~400円台後半と安値基調。同漁協市場では「昨年より100円ほど下回っている」と話す。
水産庁はこのほど、新たな資源管理の実施に向け、マイワシとマアジの2魚種4系群の資源評価結果を公表した。自然増と均衡する年間漁獲量の最大値である「最大持続生産量(MSY)」を達成する資源水準「目標管理基準値」と、MSY水準まで回復させる計画策定の基準となる「限界管理基準値」を示すもので、水産研究・教育機構がまとめた。今後、評価をもとに資源管理目標や漁獲シナリオを検討、決定する。
一般社団法人全国いか釣り漁業協会は5月29日、2020年度の定時総会を開き、資源や漁場、経営対策を柱とする今年度事業計画を承認した。特に低迷するスルメイカでは代替資源としてアカイカの活用を模索。操業隻数の増加や操業期間を延長して有効資源として活路を見いだしていく。
根室市の(株)兼由(濱屋高男社長、電話0153・27・2231)は、根室産サンマ、マイワシの加工で商品展開する煮魚などレトルト食品の販売が海外市場でも伸びてきている。今年は10月に開催予定の輸出商談会に初出展し、さらに販路拡大に乗り出す。
宮城県石巻市雄勝町水浜の(株)海遊(伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)は、新型コロナウイルスの感染リスクを減らす「新しい生活様式」に合った営業形態を模索している。自社便を使い、5月に始めた海産物や加工品の宅配サービス「うみでり」は好調な出足。インターネット通販などにも力を入れ、コロナ禍の苦境をチャンスに変えていく考えだ。
宮城県産養殖ギンザケは水揚げが日産100トンペースとなり、間もなく盛漁期を迎える。チリ産ギンザケの相場下落に新型コロナウイルス感染拡大が重なり、シーズン序盤から前年を下回る安値傾向が続く。成育は順調で、活じめブランド「みやぎサーモン」は通販出荷が伸長。水揚げは7月下旬ごろまでの計画。
後志沿岸のコウナゴは昨季同様に三陸や西日本など本州の不漁が相まって、コロナ禍の影響もなく高値で推移している。5センチ前後の大サイズを中心に本州の加工筋の引き合いが強く、5月下旬の漁期終盤でもキロ700~600円の好値を付けている。一方、つくだ煮に使う小サイズの浜値も底上げされ、地元加工業者は原料手当てに苦戦している。
オホーツク沿岸の宗谷管内4単協(宗谷、猿払村、頓別、枝幸漁協)では、枝幸を除く3単協が本操業に入った。5月末の全体水揚量は3万3800トン。歩留まりは8%前後と上がり方が鈍く、アソートは5S、6S中心。猿払村は6月1日から34隻体制となり日産400トン台の水揚げを見込む。
利尻・礼文両島の養殖は、早い地区で6月中旬の水揚げ開始を予定、着業者は雑海藻駆除や干場整備など準備を進めている。長さなど生育は順調な様子。一方、シケなどによるコンブの脱落や施設被害があり、鬼脇地区で規模が大きいという。