コロナ禍の影響で末端消費に不安を抱えながらスタートした今季のホタテ消流。春先の巣ごもり需要に伴う量販店での販売と、テイクアウトを始めた回転ずしの消化が順調で、他の外食産業が低調ながら消費回復に向け前進している。しかし秋口からは原貝の歩留まり低下が著しく5S~6Sが増産、4Sを含む大型のフリー在庫はほぼ払底状態。輸出が期待薄の中、小型アソートの消化が今後の焦点となる。
噴火湾では水揚げ最盛期と新型コロナウイルスの感染拡大が重なったことから、中国向け冷凍両貝が停滞しボイル主体の製造に切り替わったものの、巣ごもり需要が追い風となり、売り場を縮小していた量販店の販売が好転した。今後は鍋商戦を迎える年末年始の消化に期待が掛かる。
留萌管内で生産した今年の稚貝は、4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)合わせ前年比13%増の10 億8300万粒。来春はさらに微増となる見通し。一方、韓国向け活輸出は8割増と堅調に推移している。
青森県漁連は2020年度の最終水揚量を前年度比20%減7万5千トンと試算している。来年1~3月の成貝出荷は4千トン前後の見込み。最終金額は減産に加え半成貝、成貝の単価安も響き税込みで約3割減の90億円前後とみている。
三陸のホタテ養殖が苦境に立たされている。宮城、岩手両県の生産海域は近年、長期にわたり規制値を超えるまひ性貝毒が検出され、主力の活貝が安定出荷できない状況が続く。両県は出荷基準の緩和で打開を図るが、今季は新型コロナウイルスの影響も直撃。飲食店の休業による需要の落ち込みで浜値は3割下がった。出荷形態は生玉や玉冷にシフト。販売戦略の見直しを迫られる加工業者も苦悩の日々を送る。
北海道の秋サケは昨年並みの低水準の水揚げで盛漁期を過ぎた。今季ピークとなる見込みの中期も10月中盤から失速傾向となり、浜値は根室海峡でメスが高値キロ2千円台まで高騰。道総研さけます・内水面水産試験場の推定で前期実績は4年魚(2016年級)が77%、5年魚(15年級)が14%と、予測通りの年齢組成。平均目廻りが昨年より小型の状況下、昨年(約4万5千トン)超えは主群・4年魚の来遊水準が焦点となる。
道の駅「しかべ間歇泉公園」が販売する「根昆布だし 天然白口浜真昆布使用鰹節エキス入」(500ミリリットル、950円)が好評だ。貴重な鹿部産天然真昆布を贅沢に使い、清澄で雑味がなくすっきりとした味わいが特長。レシピなどの店内POPを充実させて訴求する。リピーターも多く、昨年9月の発売から1年で約1万本を売り上げた。
余市郡漁協のイカ釣漁はハシリから低調な漁模様で苦戦を余儀なくされている。今後は11月以降の戻りイカでの増産に期待を寄せる。
10月下旬は地元船1隻と外来船2隻が操業。20日に余市港で荷揚げしたいか釣部会の川内義一部会長は「全然獲れず、皆無状態。きょうも20箱足らず」と嘆く。「ハシリから数量が伸びない。全体でも昨年を大きく下回る」と厳しい表情を見せる。
また、「個人的には現在は前浜の水深100メートルの浅みで操業している。深みが特に芳しくない。カムチャツカ根で試しに操業している人もいるが、掛からない」と付け加える。
トラウトの養殖・加工事業を専門に行ってきたチリのカレタベイ社は、昨期からギンザケの養殖も開始し、製品ラインアップを拡充している。トラウトでは330年以上の歴史があり、日本への年間の仕向量はトップ規模。この実績と信頼を背景に、新商材となるチリギンでも日本市場への流通促進、定着を図っていく。
宮城県は、石巻市渡波の県水産技術総合センターに閉鎖循環式陸上養殖研究施設を整備する。サンマや秋サケなど主力となる冷水性魚類の水揚げが不調の中、加工原料の確保は喫緊の課題。温暖化による急激な魚種変動に対応しながら、栽培事業の高度化や新たな原料供給につなげたい考えだ。2023年度の運用開始を目指す。