三陸の浜がサンマの漁獲不振にあえいでいる。9月23日現在、水揚げがあるのは岩手県大船渡のみ。宮古や釜石、隣県宮城の気仙沼や女川の各港に至っては、いまだに初水揚げがない。漁場が遠ざかり、品薄の影響で小ぶりな魚体にも高値が付く状況に「買値が売値を上回って逆ざやになってしまう」と嘆く鮮魚卸もいる。資源量の低下や海洋環境の変化が指摘される中、事態が好転する兆しはなかなか見えないが、関係者は加工など産業の裾野が広いサンマ漁の盛り返しに期待する。
砂原漁協のカレイ刺網は、水揚げが落ち込んでいるアカガレイが8月後半から徐々に掛かりだした。9月前半はシケが増え伸び悩んだものの、1隻300キロ前後と上々の水揚げ。浜値は大がキロ800~700円とやや弱含み。一方ソウハチは春先から順調で、昨年を上回る水揚量。良型の大は200円と好値を付けている。
網走湖産ヤマトシジミの資源回復を目指し、西網走漁協は今年からシジミ部会、青年部が中心となって人工種苗生産に挑戦している。7月の人工採卵後、着底した2691万個の稚貝を飼育中。6基の水槽で給餌、無給餌に分類し稚貝数や殻長など成育の比較検討を行っている。飼育は順調に進んでおり、10月末にも殻長1ミリサイズでの放流を予定している。
北海道の秋サケ定置はオホーツクや日本海、えりも以東で昨年を上回るものの、根室、えりも以西が落ち込んで低水準の水揚げで推移している。日高地区も沿岸水温が20度超の高水温下、全域で不振の滑り出し。9月中旬も各漁場1トンに満たない水揚げが続き、休漁を挟んだ操業を余儀なくされる地区も。漁業者は水温低下と併せて例年漁が見え始める20日以降の盛り返しに期待をかけている。
渡島噴火湾では稚貝の本分散が9月から始まった。進ちょく状況は地区間で異なるが、前半に連続したシケの影響で作業はやや遅れ気味。場所によっては空貝が目立つ地区もあるようだが、おおむね必要量を確保できる見通し。
白糠漁協の毛ガニかご漁は、操業を始めた9月上旬から順調な水揚げで推移している。日量を調整するほどかご入りが良く、前期漁(9月1日~10月15日)の漁獲許容量達成まで残りわずか。大、中サイズ主体の組成で小は全て海中還元、資源保護に努めている。
釧路市東部漁協の成コンブ漁は、9月に入りシケや悪天候に阻まれ、18日現在でわずか1回の操業にとどまっている。アツバの資源状況が芳しくなく、減産の見通しとなっている。
ひやま漁協江差地区のスルメイカ釣漁が、昨年を下回る薄漁で苦戦している。着業者らは「厳しい漁模様が続く」と表情を曇らせる。9月中旬現在、地元船10隻が操業する。同漁協江差支所によると、8月末現在の累計数量は78トン、金額は5千万円。それぞれ4割程度の減少幅を示す。
管義偉新内閣が16日発足した。野上浩太郎農林水産大臣は17日の就任会見で2030年までに農林水産物と食品の輸出額を5兆円に増やす目標の達成を、最重要課題として取り組む考えを示した。新型コロナウイルス感染拡大で需要が落ち込んだ農林水産物の消費拡大などさまざまな課題に取り組んでいく。
枝幸町で沖底船「第八龍賽丸」を操業する(株)枝幸水産商会(岩谷隆行社長、電話0163・62・1622)は、漁獲物を主体に取り組む加工販売事業で昨年来、マホッケのフライの販路開拓を進めている。今年6月に富良野市の商業施設「フラノマルシェ」のハンバーガー店で具材に使った「真ホッケフライバーガー」が発売され、需要拡大への波及効果に期待を込める。