1日付で道水産林務部長に就任した佐藤卓也氏は9日、記者会見し、水産行政かじ取りの抱負を語った。秋サケ、ホタテ、コンブなど主要魚種の生産回復対策を根幹の最重点に強調。喫緊には需要減退など水産業界も深刻な影響を受けている新型コロナウイルス対策に迅速に取り組む考えを示した。
岩手県の宮古湾特産「花見かき」の水揚げが始まった。食べ応えと濃厚なうま味が特長の大粒殻付きカキで、殻が器になるよう見た目にもこだわった春限定の味覚。昨年10月の台風19号の影響が懸念されたが、今年も品質は上々。例年並みの9千個の出荷を目指す。
出荷最盛期を迎えた「三陸わかめ」の生産現場で活躍している水産加工機械がある。(株)エフエムピー(静岡市、髙橋博社長)が製造・販売する「ワカメ全自動ボイル冷却装置」だ。全自動による省力・省人化の効果は大きく、2人体制でもボイル加工の処理能力は1時間1.5~2トン。「一度使ったら手放せない」「しっかり炊かれ、仕上がりのむらもない」などとユーザーの評価は高い。壊れにくい頑丈さも魅力で、人手不足や高齢化が進む浜を支えている。
歯舞漁協の歯舞たこかご部会(木村金造部会長)は、厳しい選別基準や品質管理で付加価値を高めた活ダコ(マ、ミズ)を「金たこ」のブランド名で展開する。10キロ以上20キロ以下のサイズに厳選。餌吐きを徹底し、活魚水槽で鮮度保持するなど品質の高さが評価され、1月に出荷を終えた2年目は鮮ダコに比べ250~200円高の浜値で推移。今夏始まる3年目に向けて水槽を2基増設、取扱数量の増産を目指す。
えりも漁協冬島地区で漁業に従事する坂本雅彦さん、悠さんの兄弟が昨年始動した一般向けの秋サケ定置網漁の体験事業は、既に今季の体験希望が寄せられるなど反響を呼んでいる。2年目の実施に当たっては、新たに地域住民が体験しやすいメニューを導入する。また、「漁師めし」の食事場所となる番屋を新築。イベントの開催など事業の拡充を計画している。
野付漁協の尾岱沼漁港に水揚げする根室海峡共同海区の累計数量は、1~3月で1万トンとなり、5月までの計画達成率は57%となった。活貝・冷凍両貝の輸出停滞で産地加工業者は玉冷加工にシフト。処理量も限られ、キロ平均200円台中盤を付けていた浜値は100円台中盤まで下がっている。
道水産物検査協会がまとめた2019年度の道産コンブ累計格付実績は、前年度比15%減の1万2921トンにとどまり、17年度の1万3260トンを下回って過去最低に落ち込んだ。
上磯郡漁協上磯支所で1、2月中心にニシンが好漁に恵まれた。小定置主体に刺網なども操業、累計数量は前年比37%増の173トン、金額も同45%増の2千万円に伸ばした。水揚げは近年増加傾向で、同支所は「毎年更新するように数量が伸びている」と説明する。同支所によると多いときで全体の日量が10トン以上。15トンに達する日もあった。「そのときどきで獲れる場所が異なったが、シーズン通すと各漁場揚がったのでは」と振り返り「一昨年あたりから増え、昨年も126トンの水揚げ。今年はそれをさらに超えた。ここまで揚がったのは初めてでは」と話す。
昨年6月から建設していた、いぶり噴火湾漁協の豊浦漁港荷捌施設がこのほど完成し、7日に供用開始する。活魚水槽の増設に伴う高鮮度出荷や、市場機能の集約に伴う魚価向上を目指すほか、市場見学スペースを確保し社会貢献にも対応。同漁協は「徹底した衛生管理と市場機能の効率化で付加価値の向上につなげたい」と意欲を示している。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で、輸入魚にも影響が出始めている。特に北米や欧州では深刻な状況が続いており、今のところ終息の見込みが立たず、通常の運用に戻るのに年内中は厳しい見方が強くなっている。国内の業界関係者の中には、輸入依存度の高い品目は短期的には「国産魚回帰」「地産地消」となるとの見通しも現れている。