2018年9月の北海道胆振東部地震から昨年で2年が経過。被災地では槌音が響くなど、ハードの復旧は着実に前進している。一方で「未来の厚真のため、日ごろからざっくばらんに語り合うことが重要」と話すのは、鵡川漁協厚真地区でホッキ漁やシシャモ漁などに着業する澤口研太郎さん。復興後のまちの姿に思いを巡らしながら、コミュニティー活動の先頭に立つ。
北海道のコンブは減産傾向が続き、近年は低水準で推移している。道水産物検査協会の格付実績によると、2020年度は11月末現在の累計で前年同期比9トン増の1万64トン。3月末の最終実績でも過去最低だった前年度並みとなる見通し。管内別で宗谷やオホーツクが増産の一方、道東が苦戦。根室の格付けは過去最低実績だった2011年度を下回る可能性もあるという。
北海道産カキは、今季の身入りも良好で生産量は潤沢とみられるが、むき身と殻付きの消流はコロナ禍によって明暗が分かれた。量販店は巣ごもり需要が継続し、むき身中心に堅調な動き。反面、飲食店など外食主体の殻付き消費は厳しさを増している。労働力不足で産地加工業者の処理体制も万全とは言えず、今後の消流に一抹の不安を抱えながら後半戦を迎える。
オホーツク沿岸の昨年実績(12月15日時点の速報)は、前年比3%増32万7929トン。宗谷、猿払村、常呂の3単協が4万トン超え。最高は4万7千トンを突破した常呂で、組合史上最高水揚げとなった。昨年は全域的に歩留まりが伸びず、自然発生貝も増えたことから小型傾向。浜値はコロナ禍が追い打ちを掛け弱含みの展開となった。
地域の潜在力を引き出す役割が期待されている地域商社。従来とは違った切り口で資源のブランド化や市場開拓などに奔走、北海道内の水産分野でもその動きが徐々に広がっている。コロナ禍で水産物流通が苦戦する中、既存の流通の担い手とは一線を画すユニークな存在として今後の活躍に期待がかかる。
水揚げの浮動が大きい回遊魚頼みの漁業からの転換を模索する北海道日本海沿岸。後志管内や桧山管内では漁業者らが行政などと連携、今後の浜を支える増養殖事業の実現を目指している。
札幌の北海精機(株)(能戸起実社長、電話011・875・1065)が製造販売する油脂分解・有機物生分解洗浄液「大地 AS─L」は、水産関係など多分野に普及している。高い洗浄力・光沢復元に加え、除菌や消臭、防錆など各種効果を兼ね備えるのが特長。排水環境の改善も期待できる。希釈使用のため経済的にも優れ、漁業・船舶関係だけでも船体やエンジン部品、漁網の洗浄などさまざまな場面で効果を発揮している。
人と地域をつなぎ、北海道の食産業と明日をつくる─。釧路市出身の佐藤大樹さん(31)は1次産業を中心に北海道の魅力を発信するユーチューバー。秋サケ定置やコンブ採り、エビかごにカキ養殖……。漁業現場では精力的に船に乗り操業風景を撮影、自身のチャンネル「ダイキの大冒険」で配信する。家は持たず相棒のキャンピングカーで生活。昨年10月には1年半かけて道内179市町村を巡る旅をスタートさせた。広い大地と海、そこで育まれた食材や人々の思いを伝えていく。
来遊資源の低迷が続く北海道の秋サケ。研究機関では河川での飢餓状態と降海時の低水温が重なった際、稚魚の成長、移動(遊泳力)、生残に影響を及ぼすことを一因に着目している。対策で餌にDHAなど油脂を添加し、稚魚の蓄積栄養を増加させる試験を実施。今年(2021年)の回帰資源からその効果が検証でき、技術の進展が注目される。
岩手大学釜石キャンパス(岩手県釜石市)で学ぶ、同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生が、地域との結びつきを強めている。2016年度に新設された同コース。地域の復興・活性化に取り組み、釜石に不可欠な存在として価値を高めている。市も学生主体のイベントに補助金を交付するなど支援。学生たちは交流を通じて浜の本音を聞き、課題の解決策を模索している。