下げ相場となった今季の玉冷。輸出は夏場に一時動いたものの鈍化傾向にあり、内販も劇的な回復には至らず消費拡大に期待がかかる量販店は様子見の状況。シーズン当初に打ち出した目標値1万トンの国内消費に暗雲が立ち込めている。
平成29年度の陸奥湾は史上最高水揚げの前年度より4割減の7万トンを見込む中、来年1~3月に残り5000トン強の成貝出荷を計画。全般に単価高となった今季は成貝がキロ200円台後半まで高騰、最終実績は史上2番目の180億6700万円を想定している。消流は、製品高となった主力のベビーの荷動きが例年より鈍く、年末商戦に向けた消化に期待がかかる。
日本海側の稚貝本分散は終盤戦に入った。仮分散以降、問題なく成長しており、一部の地区で稚ガニによる食害も見られるが全地区で必要量を確保している。作業ペースも順調で、10月末までに終了する見込み。
サロマ湖3単協の稚貝本分散が終了した。今年は全般的に小ぶりだったが各漁家とも必要量は確保。ザブトンかごにミズボヤが大量付着したことから、着業者は「分散作業に手間が掛かった」と振り返る。
常呂漁協は9月の最終週で数軒を残し大半が終了。青木義嗣養殖ほたて部会長は、9月頭に行い「通しのサイズは16ミリ。いつもは18~20ミリ。例年より小さめ」と説明。また「かごに付いたミズボヤが過去にないほど大量で、作業に手間取った」と話す。
羅臼漁協のホタテとアカボヤの潜水漁が9月27日に始まった。ホタテは例年初日に1トン以上を水揚げするが、今年は量がまとまらず出荷を見送った。資源が減少し、ここ5年ほどは漁獲ノルマ未消化のまま切り上げているが、着業者は「操業初日に出荷できなかったのは初めて」と話す。
オホーツク海けた引漁は、11単協合計で9月末現在、17万6500トンを水揚げした。合計の計画量に対する進ちょく率は96%。猿払村が3万8300トン、宗谷が2万4700トン、紋別が2万2300トンなど。猿払村、頓別、枝幸、沙留の4単協が計画超え。数単協は来年の海区でも操業。一方、値決め価格はキロ200円前後で推移している。
陸奥湾の採苗は比較的問題なく進んだが、小型が多く、場所によっては満度に採取できない漁家もあった。一時は高水温も懸念されたが8月に水温が下がり今後の成長が期待される。本分散は早い人で9月末、大半は10月頭から始める予定だ。
台風18号のホタテ養殖施設被害は、森漁協で大規模に発生した。最も大きい被害は10~20本ののしをセットした5、6カ所が被災し台船撤去となる見通し。同漁協によると昨年の台風被害より大きいという。
来年1月から成貝出荷を始める横浜町漁協の耳づりは、遅い時期に下げた連でへい死が多発しているようだ。ただ全体のへい死割合は昨年より少ないとみられ、着業者は正常貝の今後の成長に期待をかけている。
いぶり噴火湾漁協の加工貝は、各地区で順調に成育している。へい死は昨年と比べ圧倒的に少なく、同漁協では「全体で1割に満たない。生存率は例年並みに戻った」と説明。伊達地区の「早出し」は9月末から出荷する予定だ。
豊浦地区で行った7月後半の成育調査では、3月に下げた耳づりのへい死率が4、5月よりも高かったが1連で数パーセントとごく少量。着業者は「4月の耳づりは1枚も死んでいないロープがあった。その後も順調に成長している」と安どしている。