標津漁協の秋サケ定置は、過去最低だった前年を77%上回る3432トンで終漁した。金額も前年比17%増の23億1017万円と上向いたが、依然として低水準。苦戦続きを受け、今後の定置事業の再編を模索している。
砂原漁協で定置・底建網漁に着業する一万吉岡漁業部の吉岡奨悟さん(29)は、船上活じめ・神経抜きで高鮮度出荷に取り組んでいる。函館市水産物地方卸売市場への上場、独自開拓の飲食店に加え、産直サイトで消費者に直販。その日獲れた魚をセットにした「船上活じめボックス」も発信。サイトに投稿される「ごちそうさま」など購入者との会話もやりがいに、日々商品のレベルアップに研さんを重ねている。
宗谷漁協のミズダコ漁は、好調を維持したまま最終盤に入った。11月26日現在の水揚量は3000トンを超え、昨年同時期の6割増と好漁。浜高に推移したことから金額は約2倍に伸びている。
道南の本場折浜で、促成の種付け作業が11月半ばまでに終了した。種の状態は例年通り良く、今後の順調生育に期待がかかる。一方で、水温が高いことから「コンブに影響しなければいいが」と心配する声もある。
マルスイ札幌中央水産株式会社(武藤修社長)は、野菜ペースト漬けを打ち出し、イオン北海道㈱の水産売り場で先行販売、漬け魚の拡販に乗り出している。「魚ベジ」の商品名でシリーズ化。魚と野菜を一緒に摂取できる「健康」訴求と、蒸し焼きや煮込み、鍋など焼き魚以外に料理をアレンジできる使い勝手を切り口に新たな購買層の獲得も狙っている。
「北海道炭焼きイタリアン酒場 炭リッチ」を中心に飲食店を道内外に30店舗以上展開する株式会社K.A.M rich foods(カムリッチフーズ、本社・札幌市、平野健太社長)は、「地域活性化」を外食の新たな付加価値に掲げ、産地支援で差別化の新戦略を進めている。3月には宗谷管内9町村でつくる宗谷町村会と包括連携協定を締結。道産食材を活用したメニューや自社ブランド商品の開発、情報発信など食で地域の魅力を高める取り組みを加速させている。
6万トン弱の水揚げで終漁に向かっている北海道の秋サケ。末端量販店の生鮮商戦は今期、想定より相場は高く、昨年に続き価格訴求の販促に苦戦。ただ、昨年は急落した10月後半以降も水揚げが持続し、長期にわたって売り場を構成、売り上げは伸長している。生活協同組合コープさっぽろ生鮮本部水産部の松本邦晃バイヤーに販売・消費動向を聞いた。
白口浜の促成はおおむね順調に種付けを終えたが、一部の浜で養殖ロープに差し込んだ種苗糸が抜ける被害が出ている。ホッケなど魚の影響を指摘する声もあるが、着業者は「はっきりとした原因は不明。今までにない」と困惑。また総体的にみると例年に比べて伸びが悪く、着業者らは生育状況を注視している。
散布漁協の養殖ウニは、8月末から10月にかけて水揚げ・出荷し、浜値はキロ5000円台を付けるなど今季も高く推移した。現在は出荷中断期間に入っており、着業者は12月の再開に向け給餌作業を進めている。
南かやべ漁協の刺網は、オカ網でホッケ主体の水揚げ。終盤に入った現在は1隻50キロ前後。春以降の前半戦と比べ低調だが例年並みに推移している。高値はキロ400円程度。春先の全道的な好漁も影響し昨年の半値に落ち込んだ。