日高中央漁協浦河地区の刺網船第三十一高徳丸は6日、年明け後スケソを初水揚げ。漁獲量は7~8トンと、12月に比べて上向いた。船頭の髙城顕一さんは「このまま続いてくれれば」と期待する。
水産資源の先行きが不安視される中、国は水産物の安定生産・供給に向け、昨年7月に「養殖業成長産業化総合戦略」を策定した。漁業現場では後進の北海道、岩手県でもサケ・マス類の海面養殖試験などに乗り出す動きが相次いでいる。海洋環境の変化などを見据え、回遊資源の変動に左右されない新たな漁業の確立を目指す「養殖」の取り組みに焦点を当てた。
「今後に不安を抱いても仕方ない。自分たちの手で現状を打開する」。大樹漁協の若手漁業者で構成する大樹サクラマス養殖事業化研究会は、冬季の水揚げを目指したサクラマスの養殖実証試験に挑んでいる。ここ数年主力の秋サケ定置が振るわず、漁家経営の先行きに影を落とし、新たな漁業を切り開くことで活気に満ちた浜を取り戻す。
地域の潜在力を引き出す役割が期待されている地域商社。従来とは違った切り口で資源のブランド化や市場開拓などに奔走、北海道内の水産分野でもその動きが徐々に広がっている。コロナ禍で水産物流通が苦戦する中、既存の流通の担い手とは一線を画すユニークな存在として今後の活躍に期待がかかる。
水揚げの浮動が大きい回遊魚頼みの漁業からの転換を模索する北海道日本海沿岸。後志管内や桧山管内では漁業者らが行政などと連携、今後の浜を支える増養殖事業の実現を目指している。
札幌の北海精機(株)(能戸起実社長、電話011・875・1065)が製造販売する油脂分解・有機物生分解洗浄液「大地 AS─L」は、水産関係など多分野に普及している。高い洗浄力・光沢復元に加え、除菌や消臭、防錆など各種効果を兼ね備えるのが特長。排水環境の改善も期待できる。希釈使用のため経済的にも優れ、漁業・船舶関係だけでも船体やエンジン部品、漁網の洗浄などさまざまな場面で効果を発揮している。
人と地域をつなぎ、北海道の食産業と明日をつくる─。釧路市出身の佐藤大樹さん(31)は1次産業を中心に北海道の魅力を発信するユーチューバー。秋サケ定置やコンブ採り、エビかごにカキ養殖……。漁業現場では精力的に船に乗り操業風景を撮影、自身のチャンネル「ダイキの大冒険」で配信する。家は持たず相棒のキャンピングカーで生活。昨年10月には1年半かけて道内179市町村を巡る旅をスタートさせた。広い大地と海、そこで育まれた食材や人々の思いを伝えていく。
来遊資源の低迷が続く北海道の秋サケ。研究機関では河川での飢餓状態と降海時の低水温が重なった際、稚魚の成長、移動(遊泳力)、生残に影響を及ぼすことを一因に着目している。対策で餌にDHAなど油脂を添加し、稚魚の蓄積栄養を増加させる試験を実施。今年(2021年)の回帰資源からその効果が検証でき、技術の進展が注目される。
平成以降最低だった2017年と同程度の来遊不振となった昨年(20年)の北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、4年魚で回帰した16年級は日本海区とオホーツク海区を除き不漁年級の模様。17年級も3年魚での回帰水準は日本海区を除き総じて高くはなく、来期も低来遊の継続が懸念される。
松前さくら漁協のサザエ潜水漁は、松前小島沿岸を漁場とし約10年の禁漁を経て2018年に再開。漁獲許容量を設定するなど資源保護を徹底して操業する。渡島地区水産技術普及指導所松前支所によると漁獲個体は6歳が主体で平均9~10センチサイズ。道内唯一の水揚げで日本の北限という。
商業捕鯨の再開に伴って水揚げの中心になったニタリクジラが、ミンククジラの人気を追い越しつつある。一方で北海道では依然としてミンクの引き合いが根強い。調査捕鯨の頃、生体研究の副産物として、主にミンクやイワシクジラが販売されていた名残でもあるが、捕鯨国内大手の共同船舶(株)はニタリの需要底上げに注力。特に北海道で普及させたいと力を込める。