2020年度の玉冷消流は、昨年以上の内販消化が最大のポイントとなる。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で輸出が停滞し、国内では居酒屋など業務筋の消費が減速した中、オホーツク沿岸が増産見通しにある以上、関係者の多くは国内消費の拡大に向けた製品価格の下方修正に期待している。一方、産地の玉冷生産能力は限界に達しているとみられ、冷凍両貝・活貝輸出の停滞が長引いた場合、原貝の仕向け先が新たな課題に。関係者は流通停滞の早期解消を切望している。
株式会社國洋(濱田浩司社長、電話0192・27・1611)は、大船渡市にツノナシオキアミ(イサダ)からクリルオイルを抽出する工場を新設した。4月からの試験操業を経て、早期の本格稼働を目指す。農水省の「革新的技術開発・緊急展開事業」に採択されたプロジェクトの一環で、三陸のイサダを利用した高付加価値素材を生産し、製品化を加速させる。新たな流通体系を確立し、漁業者の収入増加も図りたいとしている。
道産コンブの減産高騰で消費地業者が苦境に立たされている。2019年度の生産も過去最低の水準で推移。中でも道南産天然真昆布はここ数年繁茂不良による大減産が続いており、主力で扱う加工業者は「在庫が減る一方。今までで一番少ない」と現状を吐露。手すき業者は「促成も高く、完全に赤字。事業として成り立たない」と厳しい経営を強いられている。
札幌市のノフレ食品株式会社(信太孝一社長、電話011・200・0822)は一昨年7月の設立以来、新たなライフスタイル・価値観を捉えた商品開発を進めている。水産品では現在、北海道産素材を前面に、魚総菜とサバ缶の2つのカテゴリーを商品展開。コンセプトやパッケージデザインも追求し、差別化販売に臨んでいる。
岩手県宮古市の日出島漁港を拠点にホタテ養殖や遊漁船業などを営む㈱隆勝丸。「海で稼いで地域を盛り上げたい」。その一心で、「脱サラ漁師」平子(たいこ)昌彦社長(39)が立ち上げた設立2年目の若い会社だ。今年夏にはインバウンド(訪日外国人客)向けの体験型観光を計画するなど事業は順調に拡大。東日本大震災からの復興、交流人口拡大による地域活性化を目指す。
古平町の真守水産株式会社(山田冨志子社長、電話0135・41・2700)は、高齢者など単身者向けの商品作りに取り組んでいる。前浜産主体に保存料を使わず、おかずになる水産品を提供。ネット通販や催事販売などで需要者にアプローチしていく。
道は2月21日に2020年度当初予算案・19年度補正予算案を発表した。20年度一般会計予算案の水産関係分は321億3648万1千円で、今年度比3・3%減。噴火湾のホタテへい死対策の海洋観測システム整備、ICT技術を活用した漁場把握や生産体制分業化モデルの構築によるコンブの生産増大対策などを新規に盛り込んだ。
「オイシイ。でツナガリタイ。」をキャッチフレーズに、常呂漁協の若手漁業者が設立した「マスコスモ合同会社」(川口洋史社長)の販売するカキが、札幌市内はじめ関東、仙台を含む約16店舗の飲食店で堂々のデビューを果たした。北海道イタリアンバル「ミア・ボッカ」が期間限定パスタの「北海道サロマ湖産カキとホエー豚ベーコンのクリームソース」に使用。3Dフリーザーで急速冷凍させたカキに、札幌北2条店料理長は「身がぷりぷりで鮮度がよく手を加える必要がない。売れ行きも上々」と太鼓判。川口社長は「この規模の取扱量は今回が初めて。ミスなくこなしたい」と力を込める。
西日本最大級の水産商材の商談会「第17回シーフードショー大阪」が19、20日、大阪市住之江区のアジア太平洋トレードセンター内「ATCホール」で開催される。主催は大日本水産会。今回は291社が出展し、3000品目に及ぶ魚介類や水産加工品、関連機器資材・システムが一堂に集結する。出展社の中から水産業界で躍進を続ける注目企業3社にスポットを当て紹介する。
「ほや販路拡大プロジェクト推進チーム」(事務局:ほやほや学会)は1日、関東・宮城の150店舗を超える飲食店と連携して「冬に食べようほやフェア」を始めた。旬の夏以外にも通年商材としてのホヤの魅力を掘り起こすことで、国内での消費拡大を目指す。29日までの1カ月間で繰り広げる。