ホタテの新物商戦を展望する道水産物荷主協会(根田俊昭会長)主催の第24回全国ホタテ大手荷受・荷主取引懇談会が5月30日、ロイトン札幌で開かれた。8000トンの生産量となったボイルは量販店の売り場回復に力を入れる年と強調。玉冷は1万トンを超える国内消費が最重要課題と示され、製品価格の早期適正化と100グラム298円の末端売価に期待が集まった。
三陸沿岸でまひ性貝毒が猛威を振るい、宮城県ではホタテへの影響が深刻だ。5月30日現在、生産海域全てで出荷自主規制が続き、生玉加工向けも含め全く水揚げできない。規制はかつてないほど広域、長期化。貝毒原因プランクトンが各海域に流入した可能性が挙げられる。成長により需要の高いサイズを超えたり、水温が高まる夏場の死滅が心配される。
オホーツク海北部の本操業は4単協(宗谷、猿払村、頓別、枝幸漁協)ともシケの影響を受けず順調な水揚げを始めた。今季最高計画量を見込む猿払村は日産約400トン程度。値決めは3単協で実施されキロ120円前後でスタートしている。
三陸でまひ性貝毒が猛威を振るい、水揚げに深刻な影響を及ぼしている。出荷自主規制の広域化、長期化により、ホタテは宮城県でストップ、岩手県でも激減。岩手では盛漁期のホヤも主産地で水揚げできず、減産や養殖サイクルの狂いが心配される。生産者は収入が、加工業者は扱いが大きく減り、「いつまで続くのか」と不安だ。岩手、宮城の現状を県ごとに2週に分けリポートする。
青森県平内町の(株)ハケタ水産(八桁由悦社長、電話017・756・2100)はよりうま味を引き出し、閉じ込めることにも成功した高品質な蒸しホタテ製品を完成させた。チルド品として流通させる。もともとの主力である蒸しホタテに、スラリーアイスやガス置換包装機など新設備を導入し、よりグレードを高めた製品に仕上げた。鮮度を保持したまま消費期限が延長したことで遠い地域にも売り出せる。海外展開も計画する。
水揚量が回復するオホーツク海のけた引漁本操業が北部で始まった。4月後半開始の猿払村は日産300トン台後半の水揚げ。宗谷はきょう21日から本格化し日産350トン程度を見込む。頓別は9日から、枝幸は近く開始する予定だ。
ホタテの生産から加工販売まで手掛ける株式会社山神(青森市、神武徳社長)は、3月末に対EU・HACCP認証を取得した。卵付き貝柱の販路拡大に向け、5年後の2023年までに原貝ベースで年間1000トンの輸出を目指している。
青森県陸奥湾で半成貝の水揚げが本格化している。地区によっては変形や欠刻などの異常貝も見られるが成育は順調。歩留まりも湾内全域で高くLサイズ中心の大型傾向にある。7日現在の累計水揚量は前年同期比15%増の1万736トンとなった。
宮城県のホタテ養殖で移入北海道産半成貝のへい死率が高まっている問題をめぐり4月26日、座談会が石巻市の県漁協で開かれた。生産者は「移入したくても買えなくなる」と経営の窮状を吐露。原因は分からないとしながらも、道産が韓国輸出増加に伴い過密気味の収容になっているのではとの懸念が寄せられた。半成貝を入れる生産者のグループや漁協支所が道内各産地の生残率を把握して情報交換したり、結束して、道内産地の代表と打開や末永い付き合いに向け協議すべきという提案が共有された。(2回連載します)
耳づり作業。変更、欠刻が多く慎重な選別が求められる(23日、静狩地区)
渡島噴火湾で稚貝の耳づり作業が最盛期を迎えている。懸念された成育は変形、欠刻が目立ち例年以上に丁寧な選別作業を強いられているが、耳づり本数の大幅な減少には至らず例年の7~8割程度を確保できる漁業者も少なくない。