終盤戦に入ったオホーツク海北部(宗谷、猿払村、頓別、枝幸漁協)の9月末水揚量は、漁場造成を含め11万9770トンとなった。計画達成率は86%。歩留まりは11~13%前後でアソートは2S・3Sまたは5S中心と二極化。浜値はキロ120円前後~170円前後と値幅が大きい。8~9月はシケにも悩まされたが、各組合とも順調な操業を続けている。
野辺地町漁協は、ホタテ地まき漁の稚貝放流時期を秋から春に変更し、水揚げサイクルを2年から3年周期に延ばす計画だ。トゲクリガニの食害を防ぎ、大型サイズの安定した水揚げを目指す。稚貝放流は分散後の11月だが、ここ数年増加しているトゲクリガニの食害が指摘され、青森県産業技術センター水産総合研究所の協力を得てカメラを投入し調査した結果、放流直後に食害を確認。このため春の耳づり後にキロ20~30枚の半成貝サイズを放流する方向で検討している。
陸奥湾の半成貝が6万8000トンと過去最高を記録した今季。その大半は主力製品のベビーに仕向けられた。年間消費量の1.5倍近い生産量が見込まれる中、商戦本番を迎えた今後の消流が焦点となる。値ごろ感から消費は順調だが、膨大な供給量に加え大型サイズの消化を不安視する声も少なくない。
道総研函館水産試験場は、噴火湾で発生するへい死のメカニズム解明に向け気象・海洋環境を調査した結果、風波に伴う養殖かごの「振動」と不適な「餌環境」で稚貝が成育不良となる仮説を明らかにした。2017年まで25年間のデータを分析したもの。夏季の特徴的な気象・海洋環境を経験した稚貝は秋以降の生残低下、異常貝増加につながると指摘。「夏場の環境をいち早く伝えることで、その後の管理方法が調整できるシステムを構築できれば」と話している。
オホーツク海の北部・南部合わせた漁場造成を含む8月末水揚量は20万1440トンとなった。前年同期比15%増、計画達成率は68%。アソートは4S、5S中心の浜も依然見られるが全般に2S、3Sが増え、直近の浜値はキロ200円台前半~100円台中盤が主体。玉冷製品の3S相場も下方修正され、内販は大型サイズへの転換が消費拡大の鍵を握る。
噴火湾で養成している来季出荷用の耳づりについて、昨年のような大量へい死は、胆振・渡島とも現時点で発生していない。大半の漁家は「多少あっても例年並み」と説明。沖洗いを始めた着業者も同様の感触を示す。ここ数年、8~9月に多発するため「あと1カ月は油断できない」と気を引き締めている。
岩手県のホタテ採苗は、県中央部の宮古、船越両地区などは分散作業が進み必要量を確保できる見込み。これから始まる南部は付着稚貝が小さいこともあって遅れるところが多く、広田地区南浜などは不足が確実視される。付着不足のほか、例年にないほど死滅している浜もあり、昨シーズンと同様に足りない地区が増える可能性がある。
道漁連は8月27日、道産魚介類を取り扱う取引先でつくる「道ぎょれん会」の秋季取引懇談会を東京都内で開いた。札幌や関東地区の卸や商社など約180人が参加。秋サケ、いくら、ホタテの商戦展開を意見交換した。
網走漁協の稚貝本分散は今週から全軒で本格化する。今年は採苗器への付着が例年より遅く、先週まで仮分散作業を行っていたほど。成長は水温上昇とともに一気に伸長。当初心配された粒数確保も問題なくクリアした。
3Sアップの大型組成が目立ち始めたオホーツク産玉冷。水揚げも昨年を上回ることから、道漁連は道内の玉冷生産見込みを4千㌧増やし2万2000トンに上方修正した。昨年以上の内販消化が求められる中、3Sの製品相場は一部で下げ基調に。ただパッキング遅れの影響で生産が追い付かず末端消費は限定的。関係者は販売ペースの遅れに危機感を抱いている。