総務省の全国家計調査によると、昨年1年間の1世帯(2人以上)当たりホタテ年間購入量は前年比29%減の398グラムとなり、2年連続で減少した。支出額は同16%減の1033円、100グラム当たりの平均価格は同18%高の260円。円安基調を背景に海外需要が拡大し、平均価格は過去最高となった。国内での消費は大幅に減速している。
留萌管内4単協(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の三陸向け半成貝は、昨年11月~今年1月で前年同期比1割増1533トンに達した。年末年始にかけ荒天が多く、新星マリン、北るもいは出荷作業がずれ込み順次再開する。3月までに終える見通しで、最終的には2021年度並みの出荷量が見込まれる。
渡島噴火湾6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)の加工貝(2年貝)出荷は、2月中旬から徐々に始まり、本格化するのは3月の見通し。今季は小型傾向のため大半の着業者が成長具合を鑑みて開始している。森は2月上旬、長万部は7日から数軒が水揚げしており、森の入札では前年比3割高のキロ300円台と堅調なスタートを切った。
オホーツク海沿岸の2023年ホタテ水揚げ計画は、北部、南部合わせた12単協で前年実績比6%減の30万6300トンとなった。枝幸、佐呂間、常呂、網走、西網走の5単協が前年実績を上回る計画量を設定している。一方、同計画対比でみると6%増、1万6700トンの増加。常呂では前年計画より1万トンほど多く試算している。
噴火湾の今季(2022年10月~23年5月)加工貝水揚げ計画(水産新聞社調べ)は、7単協(いぶり噴火湾・長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ昨季実績比12%減の4万9700トンとなった。いぶり噴火湾、八雲町を除く5単協が減産見通し。今季の成長度は例年より鈍く小ぶりで、耳づり1本当たりの歩留まりが低い傾向とみられる。
オホーツク海沿岸の2022年水揚げ実績(速報値)がまとまった。北部4単協・南部8単協の合計水揚量は前年比2%減32万5253トン。4万トンを超えたのは北部の猿払村、南部の紋別、常呂の3単協となった。頓別が前年比28%増と最も高い伸びを示し、ほか4単協が前年を上回った。
青森県漁連(松下誠四郎会長)が陸奥湾のホタテ養殖で国際基準の水産エコラベル「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」の認証規格(Ver.2.0)を取得した。資源の維持や環境保全に配慮した持続的な養殖業の取り組みを消費者に示し、ブランド力強化や輸出拡大につなげる。認証取得は2022年11月8日付。陸奥湾内10漁協(外ケ浜、蓬田村、後潟、青森市、平内町、野辺地町、横浜町、むつ市、川内町、脇野沢村)の生産者が垂下式養殖するホタテが対象となる。認証の有効期間は25年11月7日までの3年間。
東京都・豊洲市場の道東産活ホタテの消流は品薄で高騰している。荷受担当者は「昨年同時期には1箱3千~2千円だった卸値が今は4400円ほどとかなり高い」と説明。集荷に苦戦しており、別の荷受担当者は「産地の加工場が人手不足で輸出商材の生産でやっとの状況。荷主に注文をかけているが、昨年から商材を供給してもらえていない」と肩を落とす。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)が操業する野付尾岱沼共同海区の2023年計画は1万500トンとなった。前年実績比4割減と大幅な減産見通し。空貝が目立つ場所があり、同漁協市場では「限定はできないが赤潮の影響以外に考えられない少なさ」と困惑している。このため操業を1カ月短縮し4月で終漁する予定だ。
別海漁協の鈴木隆三さん(63)、次男走志さん(30)の親子は、サケ定置やホタテけた引に従事しながら、水産加工の「漁師の台所 銀邑(ぎんゆう)」を営んでいる。秋サケ、ホタテ、イカ、ホッケなど前浜・根室海峡産を中心に生鮮・冷凍切り身、塩蔵、干物などを製造。「安全な食べ物」の提供を理念とする宅配事業会社が主力取引先で、味付けは岩塩一本。水揚げ減少や魚価安など厳しい環境下、漁業の持続に向け、6次化の安定に臨んでいる。