釧路市漁協や釧路市東部漁協など釧路市内4漁協、釧路水産協会、道総研釧路水産試験場、釧路市などで組織する釧路市養殖事業調査研究協議会(会長・檜森重樹釧路水産協会専務)とニチモウ株式会社の両者は、釧路港でギンザケの養殖試験を実施している。東港区北防波堤付近にいけすを設置し、7月20日に1キロサイズの中間種苗5千尾を投入。9月上旬から5回に分けて水揚げする。
湧別漁協のマス小定置が始まった。1カ統で70尾から多い日で150尾程度の水揚げ。浜値はキロ500円台前半と強含み。序盤は例年並みの漁模様でスタートしており、着業者は8月の盛漁期に期待を寄せている。
岩手県水産技術センター(釜石市)は7月26日、2022年度(9月~2023年2月)の秋サケ回帰が数量11万尾、重量354トンになるとの予測を公表した。県内で本格的な稚魚放流が始まった1984年度以降で最低だった昨年度を割り込み、東日本大震災前(2006~10年度)平均値のわずか1%にとどまる見込み。採卵数不足に対応するための種卵確保も課題となる。
岩手県の釜石地域サクラマス海面養殖試験研究コンソーシアム(代表・平井俊朗岩手大三陸水産研究センター長)は11日、釜石湾で試験養殖しているサクラマス(地域名・ママス)の2季目の水揚げを開始した。初日は1尾2キロサイズを中心に4トンを釜石市魚市場に出荷し、最高値はキロ1380円。船上で瞬時に活締めした鮮度感と、在来種というなじみ深さが高く評価された。市の花にちなんだ愛称も決定。今年秋から事業化に移行し、5年ほどで出荷量を千トンまで増やす方針だ。
松前町茂草地区の土木建設企業・川合建設株式会社(川合寿美子社長)が手掛ける陸上養殖トラウト「北海桜サーモン」の試験販売が6月中旬から東京・豊洲市場で行われている。2回目の販売となった7月4日には初回に購入した仲卸業者から再注文が相次いだ。仕入れた仲卸業者は「身質が良く、他の仲卸もすでに顧客をつかんでいると聞いている」と話す。
秋サケの消流動向は、北海道の水揚げが3年連続の5万トン割れ、三陸も大減産で、親製品、魚卵製品とも昨年産の供給量が低水準。加えて競合する輸入物が高値で推移し、比較的順調に消化が進んでいる。ただ、売り場の縮小、産地の物流・背面処理能力の低下などで突発・集中水揚げ時に相場が下落に転じる状況が顕在化。今期も原魚処理体制の再構築と需要先の堅持・拡充が不可欠となる。
三菱商事株式会社とマルハニチロ株式会社は、10月をめどに富山県下新川郡入善町でアトランティックサーモンの陸上養殖事業を行う合弁会社アトランドを設立する。合弁設立後、入善町に原魚ベースで約2500トン規模の循環型養殖システムを活用した陸上養殖施設を建設。2023年度後半に着工し、25年度に稼働開始。27年度の初出荷を目指す。
函館市と北海道大学が連携し、キングサーモンとマコンブの完全養殖の技術確立を目指す。北海道内では初採択となる国の地方大学・地域産業創生交付金を活用。加えて、二酸化炭素(CО2)排出を抑制する低炭素飼料の開発やコンブの繁茂増によるCО2吸収量増大などを通じ、函館地域のカーボンニュートラルの実現を促す。
道総研さけます・内水面水産試験場は6月27日、今年の北海道の秋サケ来遊数予測値を昨年実績比10.1%増の2052万尾と発表した。予測通りの場合、4年ぶりの2千万尾超。沿岸漁獲量は重量ベースで5万トン台前半の低水準が続き、依然地域間格差も見込まれるが、3年連続の増加となり、来遊資源の回復基調が期待される。
一般社団法人岩手県さけ・ます増殖協会(大井誠治会長)は、2022年度の秋サケ稚魚放流数を7500万尾とする方針を決めた。県内で人工ふ化放流事業が本格化した1980年代以降、4億~4億5千万尾を目標としてきたが、深刻な不振が続く漁獲実績から大幅に下方修正。改良餌を導入して大型で遊泳力の高い稚魚を生産し、回帰率を上げてサケ資源の回復を図る計画だ。ふ化場の再編に着手し、事業収支の適正化も目指す。