北海道の秋サケ定置は序盤の水揚げが近年並みの低水準で推移している。14日のシケ後、オホーツクなどで日量が増え、15日にようやく全道で千トン台に乗り、16日に1800トン台。ただ、特に太平洋などは日量1桁中心と振るわない。浜値は全道的にキロ千円超えのメスが昨年より高止まり。今週から盛漁期に入り、いくら、親製品の価格形成が佳境を迎える。
北海道の秋サケ定置は昨年より高値でスタートした。特に卵需要のメスが鮮明で、出足から各地で軒並みキロ千円超。国内外含め昨年産の供給過少などから親、卵とも在庫払底で漁期入りし、上昇基調の生産環境。平成以降最低の来遊予想下、水揚げは日高、釧路・十勝、根室を中心に不振の滑り出し。今季も原魚の供給状況は厳しい様相だが、サンマなど他魚種を併せて今後の漁況、海外産の搬入動向などに商戦の行方がかかっている。
留萌市の株式会社 ヤマニ野口水産(小野寺正司社長、電話0164・42・1127)は、日本酒蔵元とのコラボ商品の展開に力を入れる。第1弾は旭川市の髙砂酒造㈱と開発。主力の道産秋サケを使った乾珍味で酒粕を融合した。9月には増毛町の国稀酒造株式会社と同様の商品を打ち出す。
北海道の秋サケ定置網漁が今週から開幕する。平成以降最低の来遊予測が示され、漁獲量は4万トン台前半の凶漁見通し。引き続き、水揚げの回復を見据え、売り場堅持、円滑な消流への価格形成が焦点となる。今季の商戦展望、流通対策の重点などを、道漁連販売第二部の鳥毛康成部長に聞いた。
北海道の三大魚種の一角を成すサケ。近年来遊資源の低迷が続き、各産地では「水揚げが低水準の中、1尾1尾を大事に扱っていかなければ」と、付加価値対策にも力を尽くす。船上活じめなどの鮮度・品質保持、銀毛・大型などを厳選したブランド化に加え、歴史・文化、観光など地域資源との連動で特長付け。消費者への訴求、魅力の発信に工夫を凝らしている。
首都圏の小売店では、8月中旬から“北海道産生秋サケ”とうたった切り身を提供する店が出始め、一部ではチラシに記載して季節の先取りで集客に乗り出す店も現われた。昨年は豊漁とはほど遠い秋サケだったが、それ以上に厳しかったサンマに替わる商材として重点的に販売を仕掛ける場面も多く、売上高は好調だった一昨年よりもさらに1割増で着地する店舗も多かったようだ。今年も国産で旬を訴求できる商材として、各バイヤーは首都圏の消費者に向け、良質な原料の調達に奔走している。
青森、岩手、宮城の東北3県の秋サケ漁は極度の不振となっている。各県のまとめによると、2020年度の沿岸漁獲量は青森1341トン(前年度比31%減)、岩手1277トン(同30%減)、宮城457トン(同31%減)。海水温の上昇などが要因とみられ、今後も厳しい状況が続きそうだ。
宮城県水産技術総合センターは11日、県内の2021年度の秋サケ来遊数が41万尾になるとの予測を公表した。前年度実績に比べ2.2倍だが、主力の4年魚と5年魚の来遊が低調に推移し、予測を下回る可能性があるとの見通しも示した。
岩手県の秋サケ漁は今季も極めて厳しい漁模様となりそうだ。県水産技術センターが7月26日に発表した2021年度(9月~22年2月)の回帰予測値は尾数62万尾、重量1970トンで、東日本大震災前5年間の平均値の7%にとどまり、19年度以降の最低水準が継続する見通し。資源維持のための種卵確保への影響も懸念される。回帰時期は11月下旬~12月上旬が中心となる見込み。
宮城県石巻市は今年度、再生可能エネルギー(再エネ)を活用した低コスト型陸上養殖の実証調査事業に乗り出す。ギンザケ稚魚とウニを対象に、調査結果を基に採算性も考慮した養殖技術マニュアルを作成。地元事業者らに周知し、漁業所得の向上や担い手不足の解消、加工原料の安定供給などにつなげていく。