青森、岩手、宮城の東北3県の秋サケ漁が今季も不振を極めている。各県のまとめによると、11月30日現在の沿岸漁獲量は青森252トン(前年同期比70%減)、岩手149トン(同73%減)、宮城75トン(同83%減)。好転の兆しは見えず、3年連続の大不漁となる公算が大きい。市場では品薄感が強く、浜値はかつてないほどに高騰している。
道東の太平洋沿岸を中心に漁業被害をもたらした赤潮の問題で、道総研さけ・ます内水面水産試験場は、来春に放流するサケ稚魚への影響回避に向け、原因とみられる植物プランクトン「カレニア・セリフォルミス」のモニタリングを進めるとともに、放流時期の赤潮の状況を事前に予測し、予測に合わせて好条件で放流できる体制づくりを目指す考えを示した。
宮城県石巻市で、再生可能エネルギー(再エネ)を活用したギンザケ稚魚とウニの低コスト型陸上養殖の実証調査が進められている。脱炭素社会の実現を目指しながら、漁業所得の向上や加工原料の安定供給を図る取り組み。採算性のある養殖技術マニュアルを年度内に作成し、地元水産関係者らに周知する計画だ。
株式会社木戸食品(青森県外ケ浜町、木戸宏文社長、電話0174・22・2051)は、陸奥湾産ホタテや海峡サーモンなどを使った冷凍炊き込みご飯「津軽じょっぱりめし」シリーズのインターネット通販を始めた。コロナ禍による巣ごもり需要の取り込みを目指す。
北海道の秋サケは、10月末時点で来遊数が前年同期比104%、平成以降の平年同期比48%の1781万尾で、平成以降では4番目に少ない水準。水産研究・教育機構が推定した年齢別来遊数によると、2017年級の4年魚が前年同期の78%と前年を下回る一方、16年級の5年魚は279%と大きく上回っている。
北海道での魚類養殖事業化による生産増大の可能性を探るため、道水産林務部は15日、木古内町の木古内漁港・釜谷地区に設置したいけすにサクラマスの稚魚400尾を投入した。来年6月下旬ごろに水揚げ。今後は育成作業などの業務を委託した上磯郡漁協の組合員が給餌。道は今後、生残率などのデータを収集するほか、販売戦略を練り上げていく。
岩手県山田町の三陸やまだ漁協(生駒利治組合長)は、山田湾でトラウトサーモン(ニジマス)の海面養殖試験に着手した。秋サケの記録的な不漁が続く中、新しい収入の柱を育てるのが狙いで、初年度の水揚げ目標は50トン。2023年度からの事業化移行を視野に、自動給餌器を活用するなど省人化によるコスト削減効果も確認していく。
東京・豊洲市場のいくら消流は、道産中心に国産秋サケ子の相場が品薄、高値基調で荷動きが鈍い。末端の飲食店では通常よりグレードを落とした仕入れで、国産いくらを手当するのは一部の高級店。大衆店は輸入のマス子などにシフトしている。
岩手県の久慈市漁協(皀健一郎組合長)はサケ・マス類の海面養殖事業の区画漁業権免許を取得し、久慈湾のギンザケ養殖を本格始動させた。稚魚60トンの搬入が間もなく完了。一般公募で決めた「久慈育ち琥珀(こはく)サーモン」のブランド名で、来年5~8月に前季の4倍となる600トンの上場を目指す。
今季も低水準の来遊状況で終盤を迎えた北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面試験場の解析によると、中期までの来遊実績は海区・地区間で明暗が大きく分かれているものの、オホーツクや根室などで2016年級の5年魚が漁期前予測を大幅に上回っている。資源が低迷傾向となった成熟年齢の若齢化から、高齢化へ回復局面入りが期待されるという光明も差している。