北海道漁業就業支援協議会(事務局・道水産会)と道水産林務部は2月25日、札幌市のホテルライフォート札幌で「北海道漁業就業支援フェア」を開いた。漁業会社37業者が参加し、札幌をはじめ兵庫県など道内外から来場した漁業就業志願者15人、オンライン参加4人と面談。その結果、来場15人、オンライン参加1人の計16人を研修候補者に指名した。
ひだか漁協三石・鳧舞(けりまい)両地区の昆布組合は5年ほど前から副産物のコンブ仮根(通称・ガニアシ)を、帯広市の農園が栽培するごぼうの堆肥用に供給している。従来廃棄処理に困っていた未利用資源が作物を妙味に育てる栄養分に“アップサイクル”。地域、業種を越えた特産同志のコラボで有効活用が進められている。
いぶり噴火湾漁協有珠支所のホタテ・ナマコけた引漁が2月27日に始まった。ナマコは低資源が不安視される初日となったが、ホタテは想定以上の水揚げに「ここまで獲れるとは予想外だった」と着業者。浜値はホタテが高値380円と好値を付けた。
いぶり噴火湾漁協の加工貝(2年貝)水揚げは2月末で3740トンとなり、計画に対する進ちょく率は43%に達した。前年同期比は8%増。生存率は地区別に差が出たが「水揚量は昨年並みか、減る可能性もある」と話す着業者は少なくない。今季は卵の張りが遅れたこともあり、歩留まりが向上する3月の集中水揚げに期待している。浜値は3月からキロ400円台に突入した。
白糠漁協の定置漁業者、田森栄輝さんが代表を務める龍宝丸水産は、昨年11月で加工販売に取り組み10年の節目を迎えた。低利用魚の付加価値向上をコンセプトに製品づくりに注力。これまで原料高やコロナ禍による消費減退など困難にも直面したが、その都度ヒット商品を生み出すなどして苦境を打開。田森さんは「10年でやっと形になり向かうべき方向が明確になった」と強調。白糠産の認知度向上や魚食文化の継承も念頭に置き次の10年を見据えている。
洗浄機や乾燥機などコンブ関連機器を中心に製作販売する株式会社寺島商会(函館市、寺島達則社長)は今年4月で設立50周年を迎える。漁業者の声を参考に、作業の効率化や負担軽減、利便性などを追求した各種機器は、渡島管内中心に道内一円に普及、コンブ生産の機械化と品質安定化に寄与してきた。昨年10月には板金加工の精度向上を図るためレーザーマシンを導入、新製品開発なども視野に今後も漁業や地域社会に貢献する企業として躍進していく。
昨年8月に札幌市中央卸売市場隣のさっぽろ朝市内に開業した天然鮭鱒専門店の鮭蔵(電話011・727・2727)=写真。ロシア・カムチャツカ半島から仕入れた沖獲りのベニサケ、シロザケ(トキサケ)を主力に、「氷蔵藁(わら)製法」と「ふっくら製法」の二通りの独自製法で加工を施した塩蔵品などを提供。個人消費の二極化に対し、隙間市場の開拓・獲得に挑んでいる。
根室市とねむろ水産物普及推進協議会は19、20の2日間、東京都の新宿駅西口地下イベントスペースで「北海道根室まるごとフェア2023」を開催した。水産品を中心とした特産品の対面販売や、「鮭の聖地」の物語の紹介、同市で見られる生き物のはく製展示、観光体験動画の上映などを実施。国内最大規模の利用客を数える新宿駅で、市をまるごと堪能できるイベントを繰り広げた。フェアのタイトルには「世界が誇る『根室の自然・歴史・食』に魅せられる」と冠し、“オール根室”でプロモーションに臨んだ。物販コーナーでは市内の水産会社など10社が直接ブースを構えたほか、6社が主催者に委託して商品を販売。計16社140品にも上るアイテムが一堂に会した。
増毛漁協のミズダコがキロ千円台前半と堅調だ。昨年から高値を形成し、今年も強含みの傾向を示している。一方、水揚量は1月に空釣縄が好漁したもののタコ箱が苦戦。漁法や漁場間で水揚げに格差が見られ、着業者は安定した漁模様に期待を込めている。
日高西部海域(門別~冬島)の毛ガニ漁は水揚げが低調に推移している。許容漁獲量自体が3年連続の減枠で、昨年比2割強減の過去最低。着業者は出漁間隔を空けて操業効率を高めるなど苦心している。薄漁を映し、浜値は昨年より高値に付いているものの、餌代や燃油代などのコストが重く「採算が合わない」と口をそろえ、資源回復を切望している。