記録的不漁に加え、製品在庫の払底、海外産の搬入低迷などで近年にない異常高騰の市況を形成した北海道の秋サケ。量販店の生鮮商戦は価格訴求の販促展開が厳しく、苦戦を強いられた。親は商品づくりなどで健闘した一方、生筋子は単価高が購入量の落ち込みに直結し、売り上げの減少を余儀なくされた。
渡島噴火湾のスケソ刺網は薄漁のため序盤から操業隻数が少ない上、経費削減で揚網回数を調整する船があるなど苦戦している。また、漁業者は高水温の影響などで沖に停滞していた群れが海況の変化で11月末ごろから一斉に陸に入ってきた昨年同様の漁獲傾向を懸念。加工筋も漁獲の短期集中と卵成熟ピークの早期化などを懸念する一方、今後の好転を期待する。
ナンバンエビの加工販売で6次化に取り組む北るもい漁協所属の有限会社蝦名漁業部(羽幌町、蝦名弥代表、電話0164・68・7777)は、加工品製造後に副産物となる頭部のペースト化を確立した。えぐみのないエビ本来の風味が好評で、大手食品メーカーや札幌市内ラーメン店など卸販売先が拡大している。
釧路3単協(釧路市、釧路市東部、昆布森)のシシャモ漁が10月29日に始まったが、序盤は一部の船を除いて漁がまとまらず総体的に低調な漁況で推移している。近年は薄漁が続いており、着業者は「この後少しでも水揚げが上向いてくれたら」と切望する。
渡島噴火湾3単協(落部・森・砂原漁協)のエビかご秋漁が終漁した。ボタンエビは漁獲範囲が沖側に集中し、落部の着業船中心に序盤から1隻日量50キロ前後の水揚げ。一方、森、砂原は大半の着業船が大量に混獲されるオオズワイガニ主体の水揚げとなった。ボタンエビはメス中心にキロ5千円、オオズワイガニは大が千円台といずれも堅調に推移した。
渡島噴火湾で今春に垂下した耳づり貝の成育状況は、へい死率が低く順調に成長しているよう。ムラサキイガイの付着が多く貝洗い作業を実施しながら各地区とも球付け作業に追われており、今後の成長を期待している。
秋サケの生筋子消流は、札幌市中央卸売市場の取扱数量が昨年の半分に落ち込んでいる。北海道沿岸の低調な水揚げに加え、昨年産の在庫払底、マスの不漁など輸入卵の搬入が厳しい状況下、大手加工業者を主体にいくら製品の原料手当てで相場が近年最高値に高騰。需要先の加工筋は必要最小限の調達に抑制傾向、量販店・小売りは拡販が厳しい状況となり、集荷販売も直近10年の最低数量で推移している。
ホタテ玉冷の海外輸出に拍車がかかっている。円安水準の為替相場、自国生産の減少、保水加工の輸入不足を背景に米国の買い付け姿勢が強いため。商社筋など荷受各社は「在庫が切れ産地も品薄で追加購入できず注文に応じられない」と声をそろえる。製品相場は米国主導の様相を呈しキロ3千円台後半まで高騰。量販店はじめ内販の末端売価も値上がりしており、年末商戦、さらにはその先の消流に警戒感が強まっている。
減少していた湧別漁協のホッキが順調に回復している。昨年から中サイズの漁獲枠を50キロ増加しており、今年は日量150キロに拡大した。着業者は「こまいサイズも増えており(資源は)回復傾向にある」と捉えている。
白糠漁協のシシャモ漁は、10月21日の初水揚げが全体で4トンを超え昨年を上回る出足を切った。ただ、翌日以降約1週間シケに阻まれ、2日目の操業となった30日は2トン弱と漁も減少。着業者は「シケが続き群れが散った感じ。海が落ち着かないと漁は見えないだろう」と今後の海況安定を願う。