泊村と古宇郡漁協が海面養殖に取り組む「北海道とまりカブトサーモン」は昨年11月17日、21日、23日の3回に分け、八雲町熊石サーモン種苗生産施設から搬入したトラウトサーモン(ニジマス)の幼魚約1万2千尾を養殖いけすに投入した。今春には4期目の水揚げを目指す。
潜水で漁獲する長万部漁協のナマコ漁は、1月から日量150キロ程度で始まった。数量は例年並みの水準だが、浜値はキロ2千円と安値に振れ、前年同期の約4割安まで下落。一昨年との比較では6割安と大幅に落ち込んでおり、中国の水産物輸入再開を期待する声が強まっている。
南かやべ漁協の2年養殖は近年、生育不良が続いており、今夏も厳しい生産が予想されている。ある着業者は「今季はほぼ全滅。年々状況が悪化している」と嘆く。2年養殖の生産は木直・尾札部両地区が中心。例年2月に種苗生産センターから漁業者に種苗が供給され沖出し。翌年夏に水揚げする。ただ近年は1年目の夏を境に状況が悪化。同漁協は「夏を越えられない。今季もどの地区も厳しい状況」と示す。
上磯郡漁協知内中ノ川支所で養殖するブランド「知内かき」は、昨年に比べて身入りが良く、着業者は今後の本格化に期待を寄せている。一方カキを施設から揚げる際の脱落が散見。小林正実部会長は「今季はけっこう目立って落ちている」と話す。水揚げは早い漁家で11月下旬に開始。同支所によると16軒が着業しむき身や殻付きで出荷。むき身の着業軒数は年明け直後こそ少なかったものの徐々に増加、8日は7軒で120キロを生産。1月中旬から出荷量が本格化していく見通しという。
函館市の恵山岬付近で和光汽船有限会社(愛媛県)が所有するタンカー「さんわ丸」(3919トン)が座礁、損傷部から燃料の重油が流出したことを受け、地元漁業者は沿岸魚種への被害を懸念している。8日には同船がオイルフェンスを設置したが、漁業者は「港内で使うようなもの。波もあり全く意味がない」と指摘する。座礁した「七つ岩」付近は天然ミツイシコンブが着生する漁場。「被害が心配。今時期はウニの最盛期だが今年は厳しいのでは。アワビやナマコへの影響もあるだろう」と懸念。「磯に油が付いていたので今年だけでなく来年以降も影響が出るのでは」とみている。
厚岸町の株式会社保木商店(牧村理恵子社長、電話0153・52・3234)は道東産のホッキやアサリを主力に取り扱う。搬入時には素早く蓄養水槽に移し、水温を一定の低温に保ち砂出しをしながら保管。鮮度抜群、活力ある貝類を道内外の消費地に届けている。
一般社団法人北海道水産会(阿部国雄会長)主催の「新年の集い」が8日、札幌市のホテルガーデンパレス札幌で開かれた。道水産林務部幹部、道議、系統・関係団体の役員らが出席。新年度の早期に開催予定の「第1回北海道豊かな海づくり大会」などを弾みに、新年も海洋環境などの変化への対応、北海道の浜、水産業の再生・発展に一致団結していくことを誓い合った。
ナンバンエビ(甘エビ)の加工販売に力を入れる北るもい漁協所属の有限会社蝦名漁業部(羽幌町、蝦名弥代表)は、6次化の開始から10年が経過し、副産物の再利用など新たな展開で魚食普及に貢献している。「頭も殻も全て食材」と話す蝦名桃子専務は「無駄のない食材はもっと楽しめる。魚食拡大にもつながるはず」と展望。さらなる商品開発に意欲を燃やしている。
秋サケが平成以降最低、コンブが初めて1万トン割れ、ホタテが採苗不振などに見舞われた昨年の北海道の水産業。海洋熱波の発生、黒潮続流の北上など環境変動の影響で先行きが見えなくなっており、新年は海洋環境の変化に対応した生産・経営の安定対策が引き続き課題となる。年頭に当たり、道水産林務部の岡嶋秀典部長と、道漁連の阿部国雄会長に展望を聞いた。
秋サケやシシャモなど主要魚種の水揚げが減少する中、白糠町(棚野孝夫町長)や白糠漁協(山田明組合長)は将来を見据えた新たな取り組みに次々と挑戦している。2022年度から稚貝放流を続けるホタテは間もなく初水揚げを迎える予定のほか、コンブ養殖も計画。ナマコの成長調査やシジミの増養殖実証実験にも取り組む。また、定置で水揚げが急増しているブリの付加価値向上を図りブランド化にも取り組んでいる。