秋サケの生筋子消流は、札幌市中央卸売市場の取扱数量が昨年の半分に落ち込んでいる。北海道沿岸の低調な水揚げに加え、昨年産の在庫払底、マスの不漁など輸入卵の搬入が厳しい状況下、大手加工業者を主体にいくら製品の原料手当てで相場が近年最高値に高騰。需要先の加工筋は必要最小限の調達に抑制傾向、量販店・小売りは拡販が厳しい状況となり、集荷販売も直近10年の最低数量で推移している。
ホタテ玉冷の海外輸出に拍車がかかっている。円安水準の為替相場、自国生産の減少、保水加工の輸入不足を背景に米国の買い付け姿勢が強いため。商社筋など荷受各社は「在庫が切れ産地も品薄で追加購入できず注文に応じられない」と声をそろえる。製品相場は米国主導の様相を呈しキロ3千円台後半まで高騰。量販店はじめ内販の末端売価も値上がりしており、年末商戦、さらにはその先の消流に警戒感が強まっている。
減少していた湧別漁協のホッキが順調に回復している。昨年から中サイズの漁獲枠を50キロ増加しており、今年は日量150キロに拡大した。着業者は「こまいサイズも増えており(資源は)回復傾向にある」と捉えている。
白糠漁協のシシャモ漁は、10月21日の初水揚げが全体で4トンを超え昨年を上回る出足を切った。ただ、翌日以降約1週間シケに阻まれ、2日目の操業となった30日は2トン弱と漁も減少。着業者は「シケが続き群れが散った感じ。海が落ち着かないと漁は見えないだろう」と今後の海況安定を願う。
胆振管内白老町が3カ年で取り組む閉鎖循環方式によるホッケの陸上養殖実証実験は、9月下旬から10月中旬まで4回の採卵作業を実施し、合計2万1千粒の受精卵を確保した。このうち1万粒をふ化させ、その後は直径1.5メート、深さ70センチの円柱1トンの種苗生産水槽1基に移し、4~5カ月後の体長8~10センチまで育て、本生産を開始する。
北海道の秋サケ定置網漁は10月30日で4万トン台に乗せ、漁期前予測並みの漁獲実績も見えてきた。全道の漁獲量をけん引してきたオホーツク・東部、根室・北部で10月終盤も漁が持続し上積み。ただ、今季は平成以降最低の記録的不漁に加え、来遊地域の一極集中、河川そ上の不調、魚体の小型化、成熟不良など資源の先行き不透明感が続いている。
斜里町ウトロの株式会社ユートピア知床(櫻井晋吾社長、電話0152・24・2306)は今年、スチームコンベクションオーブン2基を新規導入した。労働力の確保が厳しい情勢を踏まえ、加熱処理工程の自動化による省人・省力化、消費電力などコスト削減が目的。併せて熱伝導率が高く、均一に加熱処理できる機能を生かし、サケフレークやふりかけなど商品の品質向上につなげていく。
積丹町、東しゃこたん漁協などで組織する積丹町地域活性化協議会(代表・馬場龍彦町商工会長)は、前浜産の未・低利用素材で2品を商品化した。ウニ餌料用ホソメコンブ養殖の副産物・ダルスのつくだ煮と町内の飲食店の副産物のナンバンエビの頭を活用したスープ。海の恵みを余すことなく活用するコンセプト。レシピは地元料理人が監修し、同協議会メンバーの積丹やん集小道協議会が原料の調達から商品開発、製造販売までを担当している。
道は10月31日、第二水産ビルで、第2回目となる「コンブ生産安定対策検討会議」を開き、天然コンブの生産回復・安定化に向けた課題の整理や対策の方向性について意見を交わした。今回は各地域の課題や要望などを整理。コストのかからない雑海藻駆除の手法や技術的指導、研究機関の取り組み・成果の漁業者への共有、減産要因や着生不良などに関する調査を望む声が挙がった。コンブの種類に応じた地域ごとの漁場管理や雑海藻駆除などの対策の必要性についても確認した。
東しゃこたん漁協の大定置網漁は、主体のブリが10月中旬から日量10トン以上のペースで水揚げ。今年は新たに鮮度保持技術として「胃洗浄」を試験導入し、ブランドブリ「鰤宝(しほう)」の高付加価値化に取り組んでいる。