株式会社小知和冷凍建設八戸支店はこのほど、国内で初めてCO2を単一冷媒とする冷凍機「スーパーグリーン」(日本熱源システム株式会社製)をグループ企業の東北水産株式会社の冷蔵庫(庫腹千トン)に導入した。この実績により地元大手の島倉水産㈱から受注、今年2月に庫腹6000トンに納入。フロン規制により自然冷媒への流れが加速する中、アンモニアを使わない自然冷媒をいち早く取り入れた冷蔵庫が順調に稼働している。
政府も成長戦略に掲げる輸出促進、食の安全・安心、ロス軽減など水産現場のニーズに応じ、氷蔵・凍結・冷蔵・解凍技術の研究開発も尽きない。併せて省エネ、CO2排出抑制など環境負荷軽減への技術も進化している。最近の動向を紹介する。
有限会社玄洋社(山口県下関市)はアンコウの商品化に乗り出した。地元の沖合底引網漁業船団の協力のもと、これまで培ってきたフグ関連の商品開発のノウハウを投入。フグだけではない、下関アンコウの認知度向上と消費拡大を図る。
新たな漁業資源・加工原料として関心が高まっているトビイカ。その加工利用方法を長年研究している青森県産業技術センター食品総合研究所の中村靖人水産食品開発部長は「品目で向き不向きはあるが、数量や価格などの条件が整えば代替原料の選択肢の一つになる」との見解を示した。
全国沿岸漁民連絡協議会(JCFU)と21世紀の水産を考える会は9日、東京・永田町の参議院議員会館でフォーラム「沿岸漁民の視点からクロマグロの漁獲規制を考える」を開き、「漁獲枠が少な過ぎる」や「適切な所得補償を」など規制の見直しを訴えた。漁業者ら170人が参加した。
【大阪】回転ずしチェーン「無添くら寿司」を展開する㈱くらコーポレーション(田中邦彦社長)は国産天然魚の取り扱いに注力、福井県の定置業者と年間契約を結び、揚がった魚をまるごと買い取る「一船買い」で安定した供給態勢を確立している。それに伴い昨年10月、大阪府貝塚市に大型加工センターを新設し処理能力を従来の約3倍に拡充。独自の流通態勢も構築、福井など各港から水揚げ後24時間以内に搬入し一次加工。西日本約200店舗にすしネタとして出荷するほか加工センター隣接の鮮魚店でも販売、天然魚の魅力発信に努めている。
日本昆布協会(田村満則会長)はこのほど、全国の20~60代の既婚女性を対象に、だしと昆布についてアンケート調査を実施した。普段料理で使うだしは、かつお節が最も多く、次いで昆布とかつおの合わせだし、昆布と続いた。銘柄別では日高の浸透がうかがえる結果に。ただタイプ別は顆粒が全体の64%も占め、昆布などの素材系を大きく上回った。よく食べる昆布加工品はとろろ、塩昆布、つくだ煮の順だった。
アジア最大級の食品・飲料展示会「FOODEX JAPAN 2017(フーデックスジャパン)」が千葉市の幕張メッセで7~10日開かれた。 今年で42回目。77カ国・地域から過去最大規模の食品、飲料メーカー、商社ら3282社・3879小間が出展。4日間の会期中、フードサービス、流通、商社のバイヤーら多くの来場者で会場は熱気にあふれた。
幕張メッセの全館を使用。9、10ホールでは全国各地の逸品が見つかる「全国食品博」や水産・農産・畜産食材、総菜デリカ、調味料・加工食品ごとにゾーンが広がり、お目当ての商品を探す来場者に向け、利便性を図った。
今年の特徴は、出展数が2倍になった海外輸出コーナーや、SUSHI(すし)、TEMPURA(天ぷら)に続く新たな日本食文化を発信として世界中に「おつまみ文化」を広げるために新設した「OTSUMAMI JAPAN」など例年以上に海外を意識した展示会となった。
千葉県御宿町の岩和田漁港で4日、「おんじゅく釣りキンメ祭り」が開かれた。初開催。千葉ブランド水産物で認定された「外房つりきんめ鯛」を振る舞い、広くアピールする催しとなった。
先着200人限定のキンメダイ格安販売コーナーには早朝から行列。キンメ汁の無料配布、炊き込みご飯の販売のほか、ステージでは地元有志の和太鼓や津軽三味線の演奏などでイベントを盛り上げた。
中国向け両貝冷凍に仕向けられている青天井の原貝価格は、軟化する可能性が高まってきた。背景には北朝鮮から2万トンの地まき貝が中国に流れるため。大連の増産も影響している。噴火湾や陸奥湾の高値形成は今後落ち着く見通し。このほど青森市内で開かれた県漁連主催の「ホタテ貝販売に係る加工業者との懇談会」で、産地加工業者が中国の動向を説明したもの。地まき漁を行っている北朝鮮の生産量は増加傾向にあり、青森県加工業者は「2万トンが中国に流れる」と情報提供。価格はキロ35元、1元16円換算で560円。サイズは殻長8~10センチという。
さらに主産地・大連の日本種のホタテは今季増産の見通し。一部の養殖業者が国の方針に沿い観光業へシフトする動きもみられたが、大手業者の今季の成育は例年以上に良好という。