秋サケの資源回復に向け、道総研さけます・内水面水産試験場が稚仔魚の原虫病予防技術の開発に取り組んでいる。ハーブの一種・オレガノを添加した飼料を給餌することで原虫の寄生を抑制できることを見いだし、昨年来、ふ化場での実証試験を実施。治療から予防への転換で、健苗育成とその作業負担の軽減につながる新技術。増殖事業関係者も実用化への好結果に注目している。
昨年の北海道内のカキは、サロマ湖が減産で弱含み、厚岸は前年並みの出荷でむき身、殻付きともに高値傾向。良質に育った宮城は脱落被害で出荷量が伸びず浜値は高値に振れた。
ことしのホタテ生産見通しを道漁連の大谷内優営業第一部長に聞いた。オホーツク海の水揚げは前年割れで、玉冷相場は輸出中心の高水準継続を示唆。噴火湾は2~3割減を予測し、ボイル生産量は最低でも1万トン以上を確保したい考え。
都会からボストンバッグ一つでやって来た若者が、東北の地域に根差して漁協組合員になる――。漁業の担い手不足に歯止めが掛からない中、一方でそうしたこともある。全国の海面漁家で後継者があるのは17%弱(平成25年)、東北では県により10~30%程度。後継者確保のポイントは安定収入だが、居住環境なども重要条件だ。岩手、青森両県の浜で後継者、担い手育成のヒントを探った。
寿都町漁協の底建・定置業者の一部が試験的にカスベを活じめで出荷している。従来煮魚需要が中心だが、生食可能な料理素材として地元仲買の(有)米澤商店と連携して売り込み。鮮度がいいため、提供先の飲食店では従来廃棄されていた皮や肝臓も食材に利用している。
上磯郡漁協上磯支所がブランド化に取り組む「峩朗(がろう)ガキ」は今季、11月中旬に開かれた直売会などに合わせて水揚げしたが、本格化は年明けとなりそうだ。
広尾町はことしから、都会の小学生が漁家で宿泊体験する「漁村ホームステイ」に取り組んでいる。7月に初めて実施。広尾漁協の漁業者10人が東京都江戸川区立平井小学校の5年生42人を受け入れ、コンブ製品化などを体験させながら寝食を共にした。町は「子どもが喜ぶ姿を見て、漁業者も自らの仕事に自信と誇りを持つ。そこから漁業活性化につながっていけば」と期待。今後は協議会を立ち上げ、受け入れ体制を強化、知名度向上などを図る。
日本昆布協会(田村満則会長)は、本年度も昆布食育教室に力を入れている。会員企業代表者や、消流宣伝事業をサポートする「昆布大使」が講師を担当。銘柄別のだしやみそ汁の飲み比べなどを通し、うま味を体感してもらうとともに、クイズを交え楽しく授業を展開している。
広尾、大樹、大津の十勝3単協とえりも漁協庶野支所でつくる十勝管内ししゃも漁業調整協議会(石井毅会長)は11月29日、新千歳空港で、シシャモの試食・販売会を開いた。漁業者や漁協職員らがパンフレットなどを手に、焼きたての一夜干しシシャモを無料提供、空港を利用する道内外多くの人に十勝産をPRした=写真。
漁業者の手掛ける加工品が、手作り製法や素材本来の風味などで、本物・安全・安心志向の消費者をつかんでいる。漁業の傍らで生産量は限られるが、ニーズを意識し、漁獲物の付加価値を高めるその意欲と工夫は、特産品の創出など漁村地域の活力再生にもつながる。前浜産のPR・普及と併せて加工販売に成長源を見いだす漁業者に着目した。