全漁連は19日、東京都内で通常総会を開き、2024年度事業報告と25年度事業計画など全議案を承認した。2年目となる第7期中期経営計画(24~28年度)を着実に取り組み、状況を注視しながら漁業者が安心して操業できる環境づくりに努めていくことなどを共有した。任期満了に伴う役員改選では坂本雅信会長の再任を決めた。開会に先立ち、坂本会長は中国の輸入規制の全面解除を引き続き求めていくことや環境に対応する漁業の構築、インフレ時代の魚の付加価値向上などの課題を挙げ「国へお願いを求めるとともに、われわれ漁業者自身が変わっていく自己改革の姿勢で困難に対応していかなければならない」と呼び掛けた。
東京都・豊洲市場のアマダイ消流は秋田県産の釣物がうろこ焼き商材の需要を取り込んで高値安定。3.6キロ10尾入りでキロ3500円。すし店でも天ぷら商材として利用価値が見直されて、以前から引き合いがある洋食店と併せて活用の場は広がっている。
枝幸漁協のミズダコ漁が前年比8割減と振るわない。5月開始のいさり樽流し漁は、1隻の日量平均が100キロ前後と昨年の2~3割に減少。数年続いた好漁から一転、大幅な落ち込みに着業者は肩を落としている。一方、キロ900円台後半で推移した浜値は、6月中旬ごろから千円台と強含みで推移。昨年の同時期をやや上回っている。
歯舞・落石・根室の3漁協が操業する貝殻さお前コンブ漁は、これまでに昨年を上回る採取日数を確保。資源状況も良く好漁する船も多い。実入りや長さなど生育もおおむね良好。昨年が極端な不漁に見舞われただけに、浜は荷揚げやコンブ干しで活気に包まれている。
オホーツク海北部4単協(宗谷・猿払村・頓別・枝幸漁協)の本操業は、宗谷、猿払村が日産400トン台とペースアップ。各単協とも6月はシケ休みが多く足踏みしており、挽回すべく本格的な水揚げに入った。一方で歩留まりは各単協とも昨年より低く、今後の向上に期待を寄せている。宗谷(20隻)の水揚量は漁場造成を合わせ17日現在8880トン。白幡秀晃ホタテ部会長(大和)は「ノルマは1隻20トン前後。C海区の真ん中から沖で操業しているが、シケが多く、出漁回数は昨年より10日ほど少ない」と説明する。また「陸の歩留まりはいいが沖はいまひとつ。9%程度と上がっていない。アソートも今の場所は小さめで恐らく5S主体」と話し、数値の上昇を願っている。
道漁協系統・関係団体は12、13の両日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、2024年度事業・決算報告と25年度事業計画を承認した。任期満了に伴う役員改選が行われ、新執行体制が発足。全道組合長会議では「将来に繋ぐ北海道漁業の構築2・0」をスローガンに、海洋環境に対応した資源対策、漁業経営基盤強化に向けた対策、漁場環境の保全に向けた対策、アルプス処理水の対策の4項目の決議を採択した。
全国漁業信用基金協会北海道支所は主要業務の債務保証で25年度もリース事業の積極的な保証対応をはじめ、近代化資金、漁業振興資金、生活関連資金などの利用促進を図り、オール保証を目標に保証推進。また、自然災害や社会情勢の変化などによる漁業経営状況の悪化が危惧され、保証資金の期中管理に取り組むとともに、漁業継続支援対策の活用、償還条件の緩和や代位弁済の実行など適切な対応に努めていく。
道漁連は「持続可能な未来を創る北海道漁業の実現」を基本方針に掲げた中期的事業推進方向の最終年として漁協系統の組織力を結集し、指導・経済事業連合会の機能強化を図るとともに、道産水産物の安定消流、漁業環境保全など各種対策に取り組む。
道信漁連は25年度から第20次中期計画(27年度までの3カ年)を始動。信用事業機能の維持のために各漁協の実態に応じた店舗運営体制の検討、金融機能の整備・強化などを柱に取り進める。併せて会員還元の安定に努めていく。
道漁業共済組合は25年度の共済加入計画を共済金額で1510億円に設定。「ぎょさい・積立ぷらす」の一層の浸透・定着を図るとともに、国が進める持続可能な漁業に向け、海洋環境の変化に対応した漁業の複合化に合わせた「ぎょさい」制度の改正動向に注視し、漁協・系統団体・行政と連携して適切に対応していく。