道内外の卸売市場に噴火湾産の鮮魚・活魚卸を手掛ける鹿部町の海鮮商店(木元貴光代表、電話01372・7・3254)は、ツブやホッケなど前浜産の付加価値加工品の開発・販売にも取り組んでいる。特にミズダコの頭をうどんのように切った「たこうどん」が2年前の商品化以来、ネーミングのインパクトも受けてSNSやメディアに取り上げられるなど看板商品に成長。鹿部産の発信に一役買っている。
千葉県沿岸小型漁船漁協は3月3日、新勝浦市漁協浜行川支所で水産政策審議会資源管理分科会のメンバーでもある株式会社シーフードレガシーとキンメダイのTAC制度(漁獲可能量)の理解を深める勉強会を行った。来年度から始まる同魚種のTACが全国レベルの実施ではなく、1都3県(東京、千葉、神奈川、静岡)に絞られていることの不公平さや、スルメイカなどの過去の失敗から想定される不安要素などを議論した。
「くら寿司」(くら寿司株式会社運営)は15日、地元の旬の魚を毎週楽しめる「くらの逸品シリーズ」を始めた。こうした取り組みは、これまで地域のご当地回転ずしが得意としていたもので、全国展開する大手回転ずしチェーンとしては初の試み。各地域の漁業者や水産会社とネットワークを築いて完成させた。「地魚地食」をコンセプトに、地域の人が地域で獲れた魚を食べることで、地域の漁業者支援につなげていきたいとしている。
「資源回復を目指す水産フォーラム」は5日、水産資源の回復と適切な管理に向けた「5つの提言」を公表した。提言により目指す将来像は水産政策に反映され、魅力ある漁業構造の構築や、資源管理の方針については漁業者が納得して主体的に参加することなどを挙げている。「水産業界での幅広い議論の契機になれば」としている。提言は、①海の環境変化を理解するためのデータ収集の強化を図る②資源調査・評価・管理のための予算の増額と人員体制の強化を図る③資源管理目標の設定に漁業者の主体的参画を促す体制を作る④小型魚の漁獲規制など手のつけられる資源管理措置から取り組む⑤漁業補助金(漁業収入安定対策事業・漁船リース事業)の改善を図るの5項目。
ニシン刺網に着業する北るもい漁協羽幌本所の小笠原強さん(強生丸=4.7トン)は、1網0.5反つなぎで仕立てている。「船上で巻く時に1反では収容するかごが2つ以上にまたがるが、0.5反にすると1かごに収まるため仕事がはかどる」と説明。一方、長男の海都さんはiPadを活用しており「航跡や投網場所を記録することで今後に役立てたい」と笑みをこぼす。いずれも今年から始めた手法。出荷後に漁具・漁法を説明してくれた。
混獲、小型などの規格外、なじみがないなどの理由でマーケットにあまり出回らない「少流通魚」や「未・低利用魚」。物価高の生活防衛術などの観点、サステイナブルや食品ロス削減などの時流を捉え、最近はテレビ番組などがスポットを当て、その利用方法の紹介で出演依頼が相次いでいるのが札幌市西区西野の鮮魚店「鮮魚鯔背(いなせ)」(小野真代表、電話011・303・9101)。2008年の開店当初から扱って調理・料理方法を訴求、固定客をつかんでいる。
道水産物検査協会がまとめた2022年度の道産コンブ格付実績は、前年度を14%下回る1万970トンに落ち込み、4年連続で過去最低を更新した。渡島、釧路、根室の主要3地区が過去最低実績に低迷した。道内全体の格付実績は減少傾向に歯止めが掛からず、22年度はピークの1989年と比べると67%減。過去10年(12~21年)平均比でも27%下回った。
えりも漁協庶野地区のタコ空釣縄漁が厳しい操業を強いられている。昨年10月の漁開始から主力のミズダコが振るわず、年明け以降漁獲の中心となるヤナギダコも低迷、好転の兆しが見えないまま漁期後半へと入っている。また昨秋からイワシなどが針に掛かる影響でヤメ絡みがひどく、着業者を悩ませている。
西網走漁協(石館正也組合長)が能取湖で養殖しているオホーツク海沿岸の地まき用稚貝が大量死した。生産計画の2億粒がほぼ全滅しており、網走市は3日、水谷洋一市長を本部長とする対策本部を設置。へい死の原因究明や再発防止策などを検討していく。へい死率91%、被害総額は6億8310万円に上る。
宮城県石巻市大谷川浜の漁業者、渡辺隆太さん(ワタキ水産、電話090・1932・6462)はホヤの販路開拓に力を入れている。潜在需要の掘り起こしを目指し開発した味付けホヤが今年1月、県水産加工品品評会で県知事賞を受賞。全国からの注文に製造が追いつかないほどの人気だ。東日本大震災以降、海外向けの需要が激減した県産ホヤは苦境が続くが「東北以外の地域ではホヤを食べたことがない人も多い。国内消費の拡大はまだまだ可能」と気を吐く。