中国の日本産水産物全面禁輸措置に伴う対応として、道はホタテなどの消費拡大に向けた緊急対策を取りまとめた。道漁連と連携し、全国の量販店など約900店舗で販売・試食会を行うほか、SNSを活用した情報発信や大都市圏の駅広告で道産水産物をPRする。またオーストラリアなどで現地試食会を開き中国以外の輸出拡大を図る。これらの事業費には1億円を充てる。
岩手県洋野町の水産会社・株式会社北三陸ファクトリーの下苧坪(したうつぼ)之典社長はこのほど、東京の恵比寿駅近くのイタリア料理店ALMA(アルマ)で行われたイベントで、ウニを中心に北三陸の漁業や展望について調理者と来店客に伝えた。6年前から毎年実施されているが、これまではウェブ参加で、直接の来店は初めて。
フードテクノエンジニアリング株式会社(大阪市、野田憲司社長)は今年創立25周年を迎えた。食品工場の冷却設備に特化したエンジニアリング会社として、さまざまなエネルギー問題に着手。機器だけでなく工場全体をマネージメントし、自社電気計装部でシステムやソフトを組むことで省エネに向けた提案を促進させた。基幹事業を伸ばしつつ、今後は新分野にも注力。食品ロス削減、地球環境に配慮したカーボンニュートラルやCO2排出削減、人手不足に対応する省人化機械の開発など事業領域を広げていく。
東日本大震災で被災した三陸・常磐地域の水産加工業の販路回復・開拓を後押しする「東北復興水産加工品展示商談会2023」が26、27の両日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開かれる。併催のオンライン商談会を含めると、地元福島や宮城、岩手など6県から過去最多となる140社近い企業が出展。東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出など新たな課題も浮上する中、工夫を凝らした展示で生鮮・冷凍から高次加工まで多彩な商品の魅力をアピールする。
「第42回全国豊かな海づくり大会北海道大会」が9月16、17日の2日間、厚岸町・釧路市で開かれる。主要・関連行事を通し、世界的に問題となっている海洋プラスチックごみ対策など環境保全への国民の意識を高めるとともに、豊かな海の恵みを守り次世代に継承する生産者のさまざまな取り組みや思いを全国に発信。併せて道産水産物の魅力をアピールし、ブランド力の向上など水産業の活性化につなげていく。
道JF共済推進本部(奈良満会長)は8月29日、札幌市の第2水産ビルで、26回目となる道女性連(高松美津枝会長)役員との共済推進協議会を開いた。女性疾病入院特約「りぼん」など最新の医療保障の普及拡大などチョコーの保有保障金額維持・医療保障金額の増大、くらしの保有補償金額の増大など新3カ年計画初年度の活動方針を情報共有。コロナ禍の行動制限緩和を踏まえ、全道訪問活動を重点施策に漁協女性部の研修会開催、チョコー医療共済拡大の全道キャンペーンなどを推進していくことを確認した。
宮城県石巻市で、水産加工品の対米輸出を強化する動きが本格化してきた。石巻食品輸出振興協議会の下、株式会社マルカ髙橋水産の「活タコの炙り焼き」を8月、全米展開の回転ずしチェーンに供給。現地では今年度中に石巻産をPRするフェア開催も計画する。東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出で禁輸措置を発動する国もある中、輸出拡大が見込める米国市場をターゲットに「稼げる水産業」の実現を目指す。
礼文島・船泊漁協の佐々木文雄さんは、ウニ採りなどで使うたもを自作している。他の漁業者からの製作依頼も絶えず、その人の採り方に見合ったたもを無償で作る。「おまえのたもで大漁できたと言われることが何よりうれしい」と話す。たもの枠はステンレス製でラケットのような形状。「丸型に比べてウニをすくいやすい。網袋は特注品でウニが入ると自然に膨らみ、たくさん入りやすい」と特長を示す。枠は5種類の太さを用意。「細いほど岩などの隙間に入り、そこにいるウニを採りやすい。また、根元がしなってバネになり、その弾力で採取できる」と話す。
カラフトマスの水揚げが全道的に低迷する中、網走漁協のマス小定置は昨年の約8割減と極度の不振に陥っている。最盛期の8月後半も上向く気配がないまま、31日には沖網を撤去しており、着業者は「予想をはるかに超えた凶漁」と頭を抱えている。キロ500円台を付けていた浜値は8月29日に460円。漁がまとまらず弱含みに推移している。
道漁連は8月30日、道産水産物を取り扱う取引先で構成する「道ぎょれん会」の秋季取引懇談会を東京都で4年ぶりに開いた。道内企業の首都圏担当者や関東圏内の卸や商社など約180人が参加。中国輸出が期待できない情勢下、秋サケ製品、ホタテを中心とした道産水産物の商戦について意見交換した。