留萌管内4単協で稚貝の本分散が始まった。春先の採苗不振に加え、夏場の高水温で成長不足やへい死が見られる中、各漁協とも粒数確保に最善を尽くしている。水温が下がらず大半が開始時期を遅らせており、作業時間の短縮など、疲弊している稚貝の扱い方にも慎重になりながら本分散を行っている。
留萌管内の秋サケ定置は、好漁となった昨年とは打って変わって前年比6割減、一昨年比でも2割減と苦戦している。高水温となった9月の出遅れが大きく影響。10月上旬に上向いたものの挽回には至らず、数量は減少しながら終盤を迎えている。浜値はメスがキロ700円台と軟調に推移している。
根室湾中部漁協は、明治時代からの歴史を持つ特産品で希少性の高いオオノガイの販路を開拓、今年は各着業者がつくる乾製品を仕入れ後即完売する好調な売れ行きを見せた。このため従来に比べて冷凍保管する期間を大幅に短縮でき維持管理費を抑制、浜値(組合買い取り価格)の向上につながった。
東京都・豊洲市場の東北産サバの消流は総体的に入荷量が少なく、相場が高値で推移している。ただ、主力の太平洋側で獲れるトロールものは細身の商材が目立つため、拡販が難しい状況。一方で、ごく少数の山形県産は船上活じめをはじめ高鮮度出荷に注力しており、生食商材として一定の引き合いがあって相場が安定している。
全漁連は4日、第29回全国女性漁業者グループリーダー研究集会(全国女性連共催)を東京都内で開催し、全国から60人を超える女性漁業者らが出席した。参加者らは優良な取り組み事例の共有やパネルディスカッションを通じ、地域を越えた漁村女性のネットワークを構築。効率的で安定的なグループ活動、女性の活躍、地域の活性化などの道筋を探った。
飲食店向け生鮮品EC「魚ポチ」や鮮魚店「サカナバッカ」を運営する株式会社フーディソン(東京都)と静岡県西伊豆町は8~9日、首都圏の小学生を対象に海の仕事を体験できるツアー「ツッテバッカの旅」を開催した。漁業の魅力や課題を子どもたちに伝えたい思いで企画したもので、5組の家族が参加した。西伊豆町では釣った魚を地域通貨で買い取る「ツッテ西伊豆」の仕組みを活用。企画した両者は子どもたちに漁業体験を提供するとともに、漁村など地域社会や経済を存続させる手立ての構築を働き掛けていた。
東北最大の歓楽街・国分町(仙台市青葉区)に14日、ホヤやカキ、ギンザケなど宮城県の海産物を提供する居酒屋「地物のめしと酒 仙臺(せんだい)テラス」がオープンした。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出による風評被害を防ぎ、消費拡大を後押ししようと株式会社スタイルスグループ(青葉区、佐々木浩史社長)が出店。酒のつまみから焼き物、揚げ物、ご飯もの、甘味、各種アルコールまで多彩なメニューでもてなす。
株式会社海遊(宮城県石巻市雄勝町、伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)が販路を国内一本に絞り、売り上げを伸ばしている。東京電力福島第一原発のALPS処理水海洋放出を受け、中国や香港が日本産水産物の輸入規制を継続する中、全国のバイヤーらが集う商談会に積極的に参加。新規顧客を開拓し、9月の売上高は前年同月比4割増を達成した。徹底した安全検査体制も武器に、国内需要のさらなる取り込みを目指す。
散布、浜中両漁協で養殖ウニの水揚げが9月に始まった。出足は殻付き価格でキロ9千円と高く推移。今季出荷分で目立ったへい死はなく、身入りも今後徐々に上向く見通し。「浜中養殖うに」が国の地理的表示(GI)保護制度に登録されたこともブランド力強化の弾みとなり、両漁協の部会長は「より一層品質管理に注力し良質な養殖ウニを生産していきたい」と力を込める。
漁獲産地も広がり、北海道の水産資源に定着したブリ。2022年は4年ぶりに1万トンを割って農水省集計の海面漁業生産量(養殖業を除く)で2年連続の全国トップを長崎県に譲ったものの、2位と有数の生産地を維持。今年も高水温下で始まった秋サケ定置などに各地で乗網している。多獲地域では船上活じめなどのブランド品を先導役に魚価底上げを図っているほか、加工品の拡大など地元消費を促す取り組みも進められている。