漁業情報サービスセンターがまとめた昨年の道内スルメイカ水揚量は、主要市場の合計が前年比13%減の7274トンと昨年を下回った。2年連続で1万トン割れを記録するなど依然として厳しい状況が続いた。
いぶり噴火湾漁協の底建網で昨年12月にスケソが好漁した。虻田地区では1軒で日産40トンの水揚げ。例年より早くまとまったためか年明けは減速した。魚体は大型、浜値はキロ70円前後で推移している。
「成長産業化」を掲げた改正漁業法が昨年成立、2年以内の施行に向け、水産政策の改革が今年動き始める。その道筋はまだ明確には見えないが、浜では実行者となる若手漁業者たちが既に独自の革新に挑んでいる。漁村に暮らし、海とともに生き抜き、水産資源を供給する担い手の思いが花開く「改革」の実現を願って、それぞれの高みを目指す若手グループの活動を追った。
「誇りを持っている自分の仕事が廃れている現状が悔しい」。そう強く語る若い漁師の思いと行動が奔流となり、日本の漁業を新時代に突き動かそうとしている。
2014年にノリ、ホヤ、ギンザケなどの漁師や鮮魚店、事務局を合わせて13人で立ち上げた「一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(宮城県石巻市)」。漁師の仕事を「カッコいい、稼げる、革新的」という「新3K」として実行することを理念に掲げる。
北海道内では昨年、新たなカキブランドが続々と誕生した。湧別漁協は1年むき身は「漁師が恋した小さな牡蠣~COYSTER」、小型の2年殻付きは「龍宮かき」と名付け販売開始。昆布森漁協の㈱きのした水産は「元祖ミルク牡蠣」をプロデュース。森漁協の㈱イワムラ水産は「ほてい牡蠣」「秀峰牡蠣」をデビューさせた。いずれも首都圏はじめ全国展開を目指す。
北海道内のカキ生産量は主産地・サロマ湖のむき身が多少少なく、殻付きは道東中心に例年並み。消費は外国人観光客の減少で殻付き中心に伸び悩んでいる。12月は例年並みの出荷量となったが、浜値はサロマ湖産の1年むき身がキロ千円台前半、道東の殻付きは1個130~120円程度と弱含み。関係者は戻りつつある観光客消費に期待を寄せている。
コンブの生産減、消費低迷が続く中、各研究機関は、地元漁協や企業と連携しコンブ漁業振興、需要喚起に向けた取り組みを進めている。製品化や試験養殖、品質向上につながる技術開発などで、今後の成果やさらなる発展が期待される。
東北の漁業現場に技術革新の波が寄せている。マダラの雌雄を超音波とAI(人工知能)で判別したり、定置で漁獲される魚種をセンシング技術による画像解析で自動選別。ウニではロボットで漁獲、給餌畜養して身入りを上げる技術や、殻割りから内臓除去までの作業を自動化する機械の開発が目指されている。
極度の水揚げ不振が続く北海道内のホッケは、2016年以降、右肩上がりで推移している。主漁場の道央日本海~オホーツク海では18年の水揚量が10月末段階で4年ぶりに2万トン台を突破。低水準を脱してはいないものの持ち直しつつある。関係者は「沿岸・沖合の自主的な資源管理が奏功した」とみており、今後も継続した資源管理が期待される。
昨年の価格修正で末端消費に勢いを付けた玉冷需要。内販は5年ぶりの1万トン超えが堅く6年ぶりに輸出を上回った。ただ原貝増産の半面、小型化で前年並みの供給量。余剰分は活貝や冷凍両貝に仕向けた。今年のオホーツクはさらに増産し小型予想。荷動きは昨年とほぼ同様の公算が高い。
豊洲市場の仲卸で鮭鱒、魚卵、冷凍物を中心に扱う業者で組織する北洋物業会。築地時代、かつては80社ほどあり、場内でも多数の業者を抱える団体だったが、今では20社ほどに。扱う魚種もかつて中心だった道産品から、輸入品、養殖物が主軸になるなど変化の途上にある。新たな舞台で商いをスタートさせた業会各社の姿を追った。