岩手県宮古市場の秋サケ水揚げが伸び、続いている。11月21日の4万6千尾をピークにその後もほぼ連日1万尾超え。12月半ばに津軽石系群を主体にもうひとヤマが期待されている。価格は三陸の今季漁を見切ったように反騰、とくにメスは買い付けもあり1500~1400円中心と極めて高い。一方、県全体の今季水揚げは8千トン前後の薄漁水準がみえてきた。
築地場外市場にある(有)昭和食品は秋サケやトキ、ベニなどを中心に扱う天然サケ専門店。対面販売の利点を生かし、消費者にサケの魅力を直接説明。同社3代目、「しゃけこ」の相性で親しまれる佐藤友美子社長は「おいしいサケをまた食べたい。一人でも多くの方にそう思ってもらうことが私の仕事」と話す。昆布やつくだ煮店など場外市場他業者との「コラボレシピ」も提案している。
看板商品はトキサケで「九州方面など南の方々にも人気が高い」という。道産のほか岩手県大槌の「南部鼻曲がり」、新潟県村上の「塩引鮭」など全国各地の良質なサケを厳選して販売する。
今年新たに加わったのが猿払村産秋サケの山漬け。漁業者から直接電話を受けた佐藤社長が現地に飛び、乗船して生産現場を視察、取扱いを決めた。佐藤社長が目利きする良質な魚を求め一般客のほかプロの料理人も足を運ぶ。
三陸のマダラ水揚げは12月、宮古市場の延縄上場がまとまり、石巻市場の刺網と延縄はまだ低調だ。両市場とも好値で、石巻の買受人が宮古で買い付け三陸の相場形成をリード。資源では、大震災後の宮城県での一時的な休漁で増えたが、以前に戻ったとの見方が生産者、市場にある。
投縄当日に水揚げする船が大半で、全船がオス・メス込みで仕立てる。昨年と同様に洋野町~釜石市の約30隻が陸送で上場するが、天候のほか、アワビ開口などで隻数が日により変動。
同市場では「価格は小さいサイズも含め全般的に去年より高い。石巻の業者が買っているから高く、上場の8割方を買い付け。石巻の水揚げが当てにならないのか、こっちで確保しているようだ。ここの買受人は欲しいときに高値で買うような状況」とみている
釧路市漁協(近藤龍洋組合長)が釧路港に建設を進めていた貯氷・氷供給施設が完成した。サンマ、イカ釣りなどに加え、近年釧路沖でサバ、マイワシの好漁が続き、入港船団が増加しており、最盛期の氷需要に対応できる供給体制を整備。待ち時間短縮など漁業者の利便性を高めるとともに、鮮度保持の強化で生鮮流通や加工原料の安定供給など付加価値向上につなげていく。来年7月ごろから本格稼働する予定。
利尻・礼文島の養殖漁業者は種コンブの巻き付けを進めている。昨年12月に採苗したコンブの中から再生(二次成長)良好なものを選び養殖ロープに巻き付けていく作業。再生状況や巻き付けペースは浜でばらつきがあるようだ。
採苗は毎年12月、遊走子が放出された水槽にロープを入れる「どぶ漬け」と呼ぶ手法で行う。約1年後の11月ごろから各浜巻き付けを開始する。
利尻漁協鴛泊地区では12月7日現在、すでに巻き付けを終えた着業者も多い。秋元雄司コンブ養殖部会長は「シケ続きでナギを使えなかったが、オカで効率良く作業を進められた」という。コンブの再生率も良く「満度に付けられた」と話す。沓形地区の着業者は「うちはほぼ終了。人によって種の多い少ないはあったが着業者間で分け合い、ある程度確保できた」と話す。
一方で仙法志地区は根腐れによって種が不足。髙橋紀夫コンブ養殖部会長は「夏にはしっかりとコンブが付いていたが9、10月の高水温で根腐れして落ちた」と指摘。ただ「無事だったコンブは再生している」と話す。
寿都町漁協のホッケは11月末現在、水揚げが891トンと低調だった前年同期の2・1倍となっている。ただキロ平均単価は前年同期比48%安の154円に下落、金額は同10%増の1億3700万円と伸び幅は小さい。
定置や底建網などで水揚げ。秋漁は「11月10日過ぎにまとまった」と着業する小西正之組合長。「漁模様は、不漁続きだった近年の中ではいい方。回復の兆しが見えてきた」と実感する。同漁協では網の減統を行い資源保護に努めている。
サバ料理専門店を運営する㈱鯖や(大阪府豊中市、右田孝宣社長)と、米穀卸大手の神明(神戸市、藤尾益雄社長)は9日、東京・上野の上野マルイ店内にサバ料理の新たな定食業態「SABAR+(サバープラス)」をオープンした。
米とサバの消費拡大に向け、両社が5月に締結した業務提携の一環。若年層による米離れ、魚離れに対する危機感を募らせていた。
既存のSABARが居酒屋形態なのに対し、新店舗はランチがメーン。若年層をターゲットに、焼きサバや煮サバなどの定食を千円前後で販売する。同店限定の「金の鯖定食」はご飯に「金のいぶき」を使用。栄養価の高い胚芽が通常より約3倍大きい新品種の玄米で、血流改善に良いといわれるGABAやビタミンEも豊富に含んでいる。
道連合海区がまとめた漁獲速報によると、北海道の秋サケは11月30日現在で、2342万4868尾、501億2331万6千円を水揚げした。漁獲尾数は平成4年以来の3千万尾割れの低水準となったが、浜値の高騰から漁獲金額は4年連続で500億円の大台を突破した。
北海道産毛ガニは今年も小サイズの冷凍在庫が低水準で年末商戦を迎える。主力産地のオホーツク海で大中主体の水揚げとなったのが要因。加えて、ふるさと納税の返礼品で需要が増大し、供給量がタイト。一方、末端の消流は訪日外国人観光客向けにホテルや飲食店からの引き合いが堅調。相場は強含みの様相だ。
三陸のワカメ種苗が不足気味となる中、岩手県水産技術センターが研究を進める無基質採苗、育生が注目される。フラスコで保存、培養した配偶体から100日余りで2~3センチの葉に成長させ、養殖ロープに挟み込めるサイズまで陸上で管理する技術。この採苗でネックとされていた芽落ちを克服した。