水揚げ最盛期に入ったオホーツク海沿岸のホタテけた引漁。主力の玉冷製品は一部の価格修正で膠着(こうちゃく)していた対米輸出がようやく動きだした。しかし昨年のペースには戻らず成約も限定的。流通業者からは急激な産地市況の変化に戸惑いの声も聞かれる。
八雲町漁協でヒラメ刺網に着業する第三武洋丸(1・3㌧)の新川宏悦さんは、網地2号の細いテグスを使用。「傷みやすいというリスクはあるが太いテグスより掛かる」と話し、水揚げ重視の操業に力を入れている。作業場で漁具・漁法を説明してくれた。
刺網や小定置で水揚げされる八雲町漁協のヒラメは、7月末現在で昨年の約2倍と順調だ。一方好漁を映し、浜値はキロ500円前後と弱含みで推移している。
根室漁協の花咲ガニ漁は低調な水揚げだ。花咲港では7月下旬に7隻(うち1隻は根室湾中部漁協所属船)で日量約1㌧前後。同漁協は「ハシリは良かったが、次第に日量は減少した」と説明し「例年シケ後には量が回復する」と、漁況回復に期待を込める。
根室市のカネ共三友冷蔵(株)(渡邊幸二社長)は、ベニザケなど鮭鱒の切り身加工を強化する。ロシア水域でのサケ・マス流網漁禁止に伴う国の緊急対策事業を活用し、切り身マシンを最新機種に更新。生産効率を高めて末端需要に応えていく。
青森県下北半島の佐井村漁協(坂井幸人組合長)で、企業の寄付などによる1億5千万円で合同会社3社の定置網や底建網の操業準備が進み、1社の水揚げが8月から始まる見通しだ。「神経〆」ヒラメなどの同漁協の魚の良さが評価されたのが契機。漁業者の高齢化と後継者不足が進む中、合同会社は、水揚げの増加と、協業化による続的な操業に導き、新規就業者の受け皿にもと期待されている
岩手県水産技術センター漁業資源部は1日、同県の秋サケ回帰予報を公表した。392万尾、1万2476㌧と予測。昨年度(310万尾、9536㌧)を3割程度上回るものの、引き続き大震災前を大きく下回る。回帰時期は12月上旬中心とみる。河川遡上(そじょう)分を差し引12けば、水揚げは1万1千㌧程度が見込まれることになる。
アジアを代表する魚食産業国際見本市のジャパン・インターナショナル・シーフードショーが17~19日、東京ビッグサイト東5・6ホールで開かれる。大日本水産会(白須敏朗会長)主催で18回目。魚介類や加工品、需要を支える調味料、食品添加物などが出展。ほかに加工機械や関連装置、冷凍冷蔵・解凍機器、厨房設備・調理器具、包装物流機器・サービス、すしロボット、ディスプレー関連も勢ぞろい。HACCP対策機器・サービスや衛生管理機器・設備・技術も紹介する。国内外800社が1300小間の規模で経営者やバイヤー、技術担当者と商談を繰り広げる。
利尻漁協の刺網業者の間で、作業場で使うウインチ付きのたもが徐々に普及している。雄忠志内地区の中畑順一さんは昨年9月に導入。タンクにれたホッケをすくう際に活用。一度に大量のホッケを選別機横にセットした作業台に送り込める。機械化したことで「手作業に比べ時間が短縮。なにより体が楽」と効果を実感している。
道東沖のマイワシ漁は昨年以上に好漁だ。魚群が厚く組成も大型。道東全体で日量300~400トン規模の日もあり、供給過多で平均単価は昨年の半値以下と値崩れ傾向。禁止となったロシア水域でのサケ・マス流網漁の代替漁業が7月末で終漁し、今後の価格動向に注目が集まる。