北海道の秋サケは漁期中の8割超が水揚げされる時期が過ぎたが、漁獲尾数は1千万尾台にとどまっている。道総研さけます・内水面水産試験場が進めている年齢査定では、低来遊が予想されていた主群の5年魚(平成24年級)、4年魚(25年級)とも実際に低調。特に4年魚が日本海を除いて不振で、昭和59年以来の2千万尾割れも見込まれる凶漁に響いている。
宗谷、稚内両単協の秋サケは前年並みの低調な水揚げで終盤に入ったが、浜値に支えられて金額は大幅に伸長。全道で記録的な大不漁となった今年は解禁から高値を維持している。
新潟県糸魚川市の県立海洋高等学校の生徒が考案したサケの魚醤「最後の一滴」が高級イタリアンに採用されるなど活用の場が広がっている。同窓会が運営し生徒が部活動として利用する水産加工場「シーフードカンパニー能水商店」で月に3000本ほど生産。これまでは市内を中心に販売していたが、全国に向け販路を拡大させる。
記録的不漁となった北海道の秋サケ。日本海、えりも以西・道南を除いて全道的に前年割れで推移しているが、特にえりも以東は平成22年以降続く低水準の中、前年の4割減だった昨年の7割減と、2年連続の大幅減産に見舞われている。浜値は高騰しているが、補え切れず、定置、組合の経営に大きな打撃。底が見えない資源の低迷に先行き不安も増している。
記録的不漁で異常高騰を見せている北海道の秋サケ。製品価格が空前の高値に達し、量販店、業務筋など末端の各方面で輸入物に切り替える動きが目立ってきている。供給量も近年の低水準からさらに急減し、北海道産の売り場縮小に拍車をかける状況。長引く資源の低迷が秋サケの加工・流通に深刻な影を落とし、生産回復時の反動に懸念も広がっている。
東北で秋サケ水揚げの多い青森、岩手、宮城3県は9月末まで、岩手が順調でとくに久慈など北部が伸び始め、青森、宮城は低調な序盤となった。平均単価は3県とも前年同期の140~150%前後と極めて高い。平均体重はいずれも3キロ割れし小型化をうかがわせるが、昨年序盤に比べればわずかに重い。
北海道の秋サケは盛漁期も低調な水揚げが続き、記録的不漁の様相を深めている。浜値はメスがキロ1600~1500円中心、根室海峡で1800円台まで異常高騰。オスも600円中心と高止まり。キロ平均単価は三十数年なかった900~800円台に到達している。ただ、十勝・釧路や根室などは単価高で補えない深刻な漁獲不振に見舞われている。
根室湾中部漁協のサケ定置は不調だ。9月漁が不振だった昨年の4割減。一方、浜値は全道的な不漁で上昇し、キロ平均単価は昨年の7割高に付いている。
着業者は「一昨年と比較したら3分の1しか捕れていない」と渋い表情。別の着業者は「普段はシケごとに群れが寄ってくるが、今年は台風でも来ない限りシケない」とし「この時期にこの程度の漁では今後も期待できない」と話す。
北海道の秋サケ定置は9月漁が平成に入って初の3万トン割れとなった。昭和50年代後半の水準に後退する様相の水揚げペース。全道的に伸び悩んでいるが、親魚確保の自主規制を実施している釧路をはじめ、十勝、日高など太平洋側の不振が顕著。原魚不足からキロ千円台で始まったメスは加工盛期に入ってさらに上昇し、根室海峡などで1600円台まで高騰。いくらやフィレーなど製品コストが大幅に増大している。
北海道の秋サケは、平成以降最低だった昨年を大幅に下回る水揚げペースで盛漁期を迎えた。18日に上陸した台風18号で定置網の破損被害も発生。被害規模が大きく、復旧作業に日数を要する漁場や切り上げを検討する漁場もあり、操業に影響。資源減少と自然災害の二重苦に見舞われている。