岩手県野田村の下安家漁協で早くも秋サケの採卵・授精が活発化した。県北部の中核的なふ化場で2年ぶりに稚魚を生産する。計画の受精卵5428万粒、稚魚4840万尾は一昨年までの15%アップとハードルが上がるが、島川良英組合長は必達を期す。定置漁業者ら周囲の期待も大きい。
岩手県の秋サケ漁が始まり、久慈市漁協の滑り出しが好調だ。10日まで6309尾、2072万円の水揚げで、前年同期比は尾数188%、金額251%。ベテラン定置漁業者の皀健一郎組合長は「ハシリとしては上出来。漁があり型、色もいい。久慈は今年、期待できるのではないか。値もいい」と早くも手応え。
平成以降最低の来遊予想をさらに下回る低調な水揚げで滑り出し、近年最高値の浜値を形成している北海道の秋サケ。札幌圏の量販店は生秋サケ、生すじことも商材調達をはじめ商戦展開に苦戦している。相場の上昇幅が大きく、価格転嫁を避けられない状況で、売れ行きは不調。今後も水揚げ不振、浜値の高止まりが続けば、売り場縮小を余儀なくされる現状に頭を痛めている。
北海道の秋サケ定置はメス、オスとも近年最高値でスタートした。平成以降最低の来遊予想下、先発の太平洋などで水揚げが低調な出足となり、特にメスは高値キロ千円超と異例の4桁発進。本格的な価格形成は今後の水揚げ動向にかかっているが、いくら製品の在庫払底、イカ、サンマなど他魚種の不振など今季も高コスト継続の生産環境。消費減退、売り場縮小などの懸念も抱え、商戦が幕を開けた。
札幌市中央卸売市場の仲卸・札幌シーフーズ株式会社(北村勝満社長)は、小樽市銭函5丁目に小樽工場を新設した。最新機器・設備を備え、水産会社と連携したベニザケの定塩フィレーを皮切りに、秋サケフィレーやいくら、刺身の製造など水産加工事業を本格化。北海道産の活魚・活貝なども取り扱う。来年予定されている卸売市場法改正による水産物流通の変革を商機につなげて業容拡大を目指す。
宮城県水産技術総合センター内水面水産試験場は8月25日、同県の秋サケ本年度来遊予測を公表した。108万尾で昨シーズン(100万尾)をやや上回るが、昨シーズンが記録的な不漁だけに来遊数回復は今季も望み薄といえそうだ。
北海道の秋サケ定置は8月30日、えりも以東、日本海北部を皮切りに解禁されたが、大型の台風15号の北上で十勝・釧路管内では大半の漁協が網入れを見送り。台風・低気圧の相次ぐ上陸・接近で甚大な被害が発生した昨年に引き続き、気象の影響で操業開始がずれ込んだ。今年は低来遊予想で種卵不足も見込まれ、親魚確保と自然災害への備えなどで円滑な操業に不安を抱えるシーズン入りとなった。
北海道の秋サケ定置が30日開幕する。今季の生産予想は引き続き、7万トン規模の超低水準。製品の消流は親子とも高コスト供給継続による消費減退、輸入品の先行消化など需要縮小が懸案事項。商戦の見通しや流通対策の重点について、道漁連の鈴木聡参事に聞いた。
岩手県の秋サケ本年度回帰予測は367万尾、1万934トンで昨年度(297万尾、8746トン)を25%程度上回るものの、大震災前の半分以下という不漁が続く見通しだ。一方、近年顕著となっていた漁獲の南北格差は海況予報から緩和の可能性がある。
岩手県水産技術センターが同県の本年度秋サケ回帰予報を公表した。367万尾、1万943トンの予測で昨年度(297万尾、8746トン)を25%程度上回るものの、大震災前5カ年平均の半分以下という不漁が続く見通しだ。回帰時期の中心は11月下旬~12月上旬と推定。