千葉県沿岸小型漁船漁協は3月3日、新勝浦市漁協浜行川支所で水産政策審議会資源管理分科会のメンバーでもある株式会社シーフードレガシーとキンメダイのTAC制度(漁獲可能量)の理解を深める勉強会を行った。来年度から始まる同魚種のTACが全国レベルの実施ではなく、1都3県(東京、千葉、神奈川、静岡)に絞られていることの不公平さや、スルメイカなどの過去の失敗から想定される不安要素などを議論した。
「くら寿司」(くら寿司株式会社運営)は15日、地元の旬の魚を毎週楽しめる「くらの逸品シリーズ」を始めた。こうした取り組みは、これまで地域のご当地回転ずしが得意としていたもので、全国展開する大手回転ずしチェーンとしては初の試み。各地域の漁業者や水産会社とネットワークを築いて完成させた。「地魚地食」をコンセプトに、地域の人が地域で獲れた魚を食べることで、地域の漁業者支援につなげていきたいとしている。
「資源回復を目指す水産フォーラム」は5日、水産資源の回復と適切な管理に向けた「5つの提言」を公表した。提言により目指す将来像は水産政策に反映され、魅力ある漁業構造の構築や、資源管理の方針については漁業者が納得して主体的に参加することなどを挙げている。「水産業界での幅広い議論の契機になれば」としている。提言は、①海の環境変化を理解するためのデータ収集の強化を図る②資源調査・評価・管理のための予算の増額と人員体制の強化を図る③資源管理目標の設定に漁業者の主体的参画を促す体制を作る④小型魚の漁獲規制など手のつけられる資源管理措置から取り組む⑤漁業補助金(漁業収入安定対策事業・漁船リース事業)の改善を図るの5項目。
混獲、小型などの規格外、なじみがないなどの理由でマーケットにあまり出回らない「少流通魚」や「未・低利用魚」。物価高の生活防衛術などの観点、サステイナブルや食品ロス削減などの時流を捉え、最近はテレビ番組などがスポットを当て、その利用方法の紹介で出演依頼が相次いでいるのが札幌市西区西野の鮮魚店「鮮魚鯔背(いなせ)」(小野真代表、電話011・303・9101)。2008年の開店当初から扱って調理・料理方法を訴求、固定客をつかんでいる。
船外機などを製造するトーハツ株式会社(東京都板橋区)が昨年夏に発売した船外機MFS30D(30馬力)の導入が東北や北海道の磯船で広がっている。同社が注力する同馬力帯で業界最軽量モデルの一つ。発進時に船首のみが持ち上がるパンプ(半滑走状態)から素早く脱してプレーニング(滑走状態)に移行しやすくなった。航行時の安全性や負荷軽減などに貢献する。
東京都・豊洲市場の折詰ウニ消流は3月後半から入荷量が増え、ダブついている。北方四島産は流氷明けが早く水揚げが順調。道南方面もシケが少なく、安定的に入荷。一方、3年ぶりにコロナ禍の行動制限がない歓送迎会シーズンを迎えたものの、飲食店側は人手確保や経費増加など課題も多く、コロナ前の吸い込みに戻るにはまだ時間がかかっている。
イオンリテール株式会社は低利用魚を商品化につなげる新シリーズを開発し、「トップバリュ モッタイナイお魚シリーズ」として6日「イオン」「イオンスタイル」の本州エリア360店で販売を始めた。混獲魚や、サイズが基準を満たさなかったり、まとまった量が獲れないため商品化されず廃棄の対象となっていた魚を活用する。第1弾は礼文産ホッケなど3魚種5品目を開発。味付けの工夫や焼くだけの簡単調理品として魚食拡大にもつなげる。
水産研究・教育機構水産大学校を代表機関とする研究グループが開発した漁業支援アプリケーション「おきそこ君」が実用化され、山口県や長崎県、愛媛県などの沖合底引網漁船20隻に導入されている。漁業情報の見える化や漁業者間での情報共有、水揚げ金額の向上などさまざまな効果を生み出している。研究グループでは「最適な操業海域を予測するシステムの開発に着手するなど水産業のデジタル化を推進していきたい」としている。
ホタテ玉冷の2023年度消流は、景気後退に転じた欧米の需要動向に加え、福島第一原発処理水放出後に懸念される海外の水産物輸入の対応が注目される。米国の産地供給量は昨年以上に減少するため輸出に有利な情勢とみる向きもあるが、世界的金融不安や物価高に伴う消費停滞の高まり、中国の米国向け保水加工原料の増大といったリスクも流通環境に及ぼす影響が大きく、足元の国内消費を軸に冷静な価格帯でのシーズンスタートが期待されている。
東京都・豊洲市場の北海道産アンコウ消流は需要が下火になっている。鍋シーズンが終わり、販路先は春商材に切り替え。卸値はハシリの10月に青森県産や噴火湾産でキロ1800~1500円で推移し、3月末時点は800~600円と落ち着いている。40年近くアンコウを取り扱う仲卸業者は「ここ10年は入荷量が多いので供給面では安定している。今季もそうだった」と商戦を乗り越えたことに安どしている。