電気通信や高周波を事業とする電気興業株式会社(東京都、松澤幹夫社長)は愛媛県宇和島市の洋上養殖いけすで、ローカル5G(自営による第5世代移動通信システム)を使った海中映像伝送の実証実験に成功した。この結果が実用化につながれば、いけす内の様子を陸上にいながら把握できるなど漁業者にとって有益になるものと期待されている。
捕鯨4団体は合同会見をこのほど開き、鯨肉市場の再興に向けて力を入れていくことを2021年の業界の統一方針に据えた。商業捕鯨に切り替わってから操業、消流、調査などさまざまな状況が一変したことを踏まえたもの。その要として、当面は鯨肉を本来の価格に戻すための品質向上と消費拡大を目指していく。
第62回青森県青年・女性漁業者交流大会(県主催)が1月27日、青森市の県民福祉プラザで開かれた。県内3団体の代表者が漁業振興に向けた成果を発表。優秀賞にはナマコの資源増殖に取り組む、むつ市の川内町漁協青年部が輝き、来年2月に東京都内で開催される全国大会への出場を決めた。
岩手県沿岸をはじめとする本州の近年の秋サケ資源減少は、親潮南限の北偏傾向と関連がある可能性が高まった。黒潮から暖かい水の渦が発生し続け、寒流の親潮の南下を妨げると、高水温に加え稚魚の餌となる動物プランクトンの減少ももたらし、降海後にエネルギー不足に陥る状況となる。水産研究・教育機構水産技術研究所宮古庁舎の佐々木系氏が1月23日、盛岡市内で開かれた「三陸海域の水産業と海洋研究集会」で報告した。
水産庁は、スケソの太平洋系群と日本海北部系群の資源管理方針に関する第3回検討会を昨年12月22日に室蘭市、同23日に小樽市で開催。最大持続生産量(MSY)を指標とする新たな資源管理に基づく2021年漁期の漁獲シナリオ(TAC)案を漁業関係者に示した。太平洋系群は21年から3年間を17万トンで固定する案を選定。日本海北部系群は5年間を1万トンで固定するなど2案に絞った。意見公募を経て、1月の水産政策審議会資源管理分科会に諮問、決定される。
全さんまの集計によると、昨年(2020年)の全国サンマ水揚量(5~7月の公海操業分除く)は前年比27%減の2万9566トンとなり、前年の凶漁をさらに下回る過去最低の水揚げとなった。9月までの崩壊的な状況から10、11月は多少まとまる日も見られたが、群れが薄い上に船間格差も大きく、12月も精彩を欠き大半の船が同月中旬に操業を終えた。
昨年(2020年)の北海道の秋サケは、1571万8853尾、350億1317万5千円を水揚げした。尾数は平成以降最低だった前年(1522万尾)に比べて3.3%増と回復に乏しく、平成以降2番目に少なかった。魚価の上昇で金額は21.9%増となったが、2年連続の2千万尾割れで、300億円台の低水準にとどまった。
平成以降最低だった2017年と同程度の来遊不振となった昨年(20年)の北海道の秋サケ。道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、4年魚で回帰した16年級は日本海区とオホーツク海区を除き不漁年級の模様。17年級も3年魚での回帰水準は日本海区を除き総じて高くはなく、来期も低来遊の継続が懸念される。
岩手大学釜石キャンパス(岩手県釜石市)で学ぶ、同大農学部食料生産環境学科水産システム学コースの3、4年生が、地域との結びつきを強めている。2016年度に新設された同コース。地域の復興・活性化に取り組み、釜石に不可欠な存在として価値を高めている。市も学生主体のイベントに補助金を交付するなど支援。学生たちは交流を通じて浜の本音を聞き、課題の解決策を模索している。
来遊資源の低迷が続く北海道の秋サケ。研究機関では河川での飢餓状態と降海時の低水温が重なった際、稚魚の成長、移動(遊泳力)、生残に影響を及ぼすことを一因に着目している。対策で餌にDHAなど油脂を添加し、稚魚の蓄積栄養を増加させる試験を実施。今年(2021年)の回帰資源からその効果が検証でき、技術の進展が注目される。