噴火湾の今季(2022年10月~23年5月)加工貝水揚げ計画(水産新聞社調べ)は、7単協(いぶり噴火湾・長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)合わせ昨季実績比12%減の4万9700トンとなった。いぶり噴火湾、八雲町を除く5単協が減産見通し。今季の成長度は例年より鈍く小ぶりで、耳づり1本当たりの歩留まりが低い傾向とみられる。
オホーツク海沿岸の2022年水揚げ実績(速報値)がまとまった。北部4単協・南部8単協の合計水揚量は前年比2%減32万5253トン。4万トンを超えたのは北部の猿払村、南部の紋別、常呂の3単協となった。頓別が前年比28%増と最も高い伸びを示し、ほか4単協が前年を上回った。
青森県漁連(松下誠四郎会長)が陸奥湾のホタテ養殖で国際基準の水産エコラベル「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」の認証規格(Ver.2.0)を取得した。資源の維持や環境保全に配慮した持続的な養殖業の取り組みを消費者に示し、ブランド力強化や輸出拡大につなげる。認証取得は2022年11月8日付。陸奥湾内10漁協(外ケ浜、蓬田村、後潟、青森市、平内町、野辺地町、横浜町、むつ市、川内町、脇野沢村)の生産者が垂下式養殖するホタテが対象となる。認証の有効期間は25年11月7日までの3年間。
東京都・豊洲市場の道東産活ホタテの消流は品薄で高騰している。荷受担当者は「昨年同時期には1箱3千~2千円だった卸値が今は4400円ほどとかなり高い」と説明。集荷に苦戦しており、別の荷受担当者は「産地の加工場が人手不足で輸出商材の生産でやっとの状況。荷主に注文をかけているが、昨年から商材を供給してもらえていない」と肩を落とす。
根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)が操業する野付尾岱沼共同海区の2023年計画は1万500トンとなった。前年実績比4割減と大幅な減産見通し。空貝が目立つ場所があり、同漁協市場では「限定はできないが赤潮の影響以外に考えられない少なさ」と困惑している。このため操業を1カ月短縮し4月で終漁する予定だ。
別海漁協の鈴木隆三さん(63)、次男走志さん(30)の親子は、サケ定置やホタテけた引に従事しながら、水産加工の「漁師の台所 銀邑(ぎんゆう)」を営んでいる。秋サケ、ホタテ、イカ、ホッケなど前浜・根室海峡産を中心に生鮮・冷凍切り身、塩蔵、干物などを製造。「安全な食べ物」の提供を理念とする宅配事業会社が主力取引先で、味付けは岩塩一本。水揚げ減少や魚価安など厳しい環境下、漁業の持続に向け、6次化の安定に臨んでいる。
青森県陸奥湾の2022年度秋季実態調査結果がまとまった。今年の半成貝や新貝に向ける稚貝(20年産)の保有枚数は10億2458万枚で、過去10年平均の65%と大きく減少した。県は「親貝が少なく、2~3月の大規模な産卵も見られなかった」ことを要因に挙げている。成貝(20年産)・新貝(21年産)の保有枚数も1億165万枚と低水準で、目安となる1億4千万枚の73%に低下したことから、23年採苗の十分な稚貝確保を考慮し、産卵晩期の3月まで出荷を控え親貝確保に努めるよう要請している。
2022年のホタテ玉冷は、海外需要の増大とインフレによる急激な円安が追い風となり、輸出主導型の消費形態で始まったものの、後半は米国中心に物価高による消費減退で成約が鈍化。23年は海外経済の減速懸念がより高まっており、先行き不透明感が強まっている。一方内販は、製品高、仕入れコストの上昇で回転ずしを除く業務筋や量販店の引き合いが依然弱い。来シーズンに向け、産地の価格修正を望む声も聞かれ始め、その動向が注目される。
ひやま漁協貝取澗地区の漁業者3人で組織する合同会社新生は、前浜での持続的な漁業を営むことを目的に定置網漁とホタテ養殖の2本柱の確立に挑み続けている。定置の水揚げは安定し経営を支えている一方、ホタテ養殖は成育不良などの試練に直面し試行錯誤を繰り返す。それでもホタテ養殖の作業工程の改善などを通じ、売り上げや利益の向上にまい進していく。
野付尾岱沼の根室管内5単協(歯舞・根室・根室湾中部・別海・野付漁協)共同海区が1日にスタートした。29号巽沖造成(16隻)が日産100トン、29号外海造成(11隻)が同20トンペース。浜値はそれぞれキロ500円台、300円台と昨年より2~4割高で推移している。