陸奥湾主力の半成貝が昨年に続き大幅に減産している。2024年度4~6月の水揚量は、前年同期比44%減1万9990トン。2万6千トン計画の達成率は77%。昨年に続いて7月の水揚げも予定されており、青森県漁連は「計画に届かないまでも2万3千トン近い数量になる」と説明する。最終入札は高値がキロ260円と高騰。ベビー製品の価格上昇も避けられない状況にある。
中国の禁輸措置でホタテの消費応援ムードが高まった昨年後半の量販各社は、売価を抑え売り場を拡大した結果、玉冷の売上高で1.5倍以上と「特需」に沸いた。しかし年明けから北米、東南アジアの輸出が増大。製品相場は高値に逆戻り、売価も上げ基調で消費が鈍化している。札幌の末端流通や首都圏の消費動向、今後の展開を探る。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の2024年稚貝生産量は、前年比11%減11億6千万粒となった。2002年以降で最高生産となった昨年には届かないものの平年並みの粒数を確保。昨夏の高水温でへい死も進んだが、ほぼ計画通り出荷している。
玉冷の消流は、中国加工の停滞と円安基調を背景に、北米、東南アジア向けの輸出が依然強まっている。1~5月の輸出量が最も多い米国は前年同期比2.6倍。東南アジアも台湾はじめ各国で伸びている。特に北米中心のバルク優先となり、国内流通は鈍化傾向にある。
飲食店向け生鮮品EC「魚ポチ」や鮮魚店「サカナバッカ」を運営する株式会社フーディソン(東京都)は今春、ベトナムで殻むき加工した道産ホタテを販促した。原料調達や海外輸送、現地加工のノウハウがある企業らと協業し、高品質な商品開発が実現。販売ルートが確立している同社が先導することで、継続的な取り組みとなる機会を創出している。
関連産業向けに乾燥機を展開する株式会社オカドラ(神奈川県横浜市、金井正夫社長)は、乾燥、炭化など従来の技術を応用してホタテの貝殻を溶出脱塩する技術を確立した。細かい粉末にした貝殻はセメントの材料として有効活用できる。事業化に向けては産業廃棄物として処理される貝殻の実態把握が不可欠で、漁業者など現場からの情報を切望している。
オホーツク海沿岸の漁場造成を含む6月末水揚量は9万7190トン。前年同期と比べ10%減となった。北部、南部ともに昨年を下回っているが、猿払村、沙留、紋別、佐呂間、常呂の5単協は増加ペースで推移。6月の歩留まりは10~12%台、組成は3S、4S主体。浜値はキロ100円台中盤~後半と、昨年より軟調にスタートしている。
Q・B・Bベビーチーズを製造販売する六甲バター株式会社(神戸市)は、新企画・日本の名産ベビーチーズシリーズで湧別産ホタテを使った「北海道産ホタテ入りバター醤油仕立て」を製品化した。こだわりの原料に付加価値を訴求する「ご褒美気分」の商品として開発。原料を提供する湧別漁協オホーツク湧鮮館の小熊篤直販部長は「湧別のホタテ生産に興味を示してくれた。全国に湧別産をPRしてほしい」と期待する。3月から全国の主要な量販店で販売を開始している。
渡島噴火湾の耳づり作業は、6単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部漁協)とも6月上旬までに終了した。稚貝は各地で順調に成長し、例年並みの本数を垂下したもよう。一部で3月の早い耳づりにへい死が見られる地区もあるが、着業者は「例年並み」と捉えている。昨年の森、砂原、鹿部では、収容かごに大量のザラボヤが付着したことで稚貝の成長不足や耳づり作業の遅延に悩まされたが、今年はそのような状況にはなく順調に作業を終えている。
今年のラーバの発生状況は、全道的に少ない傾向だ。浮遊幼生の出現は終盤に入っているが、例年より遅れている可能性もあり、漁業者は6月末まで採苗器への付着を期待している。