陸奥湾の主力となる半成貝の2023年度水揚量は、4~6月で前年同期比30%減の3万5679トンと大幅に減少した。しかし昨年に続き7月も水揚げを継続。青森県漁連では「当初の計画量に達するのは間違いない」と説明する。浜値は初回入札から堅調に推移し、最終5回目には235円まで上昇した。今後はベビー製品の消費動向に注目が集まる。
留萌管内(増毛・新星マリン・北るもい・遠別漁協)の2023年稚貝生産量は、前年比8%増の13億580万2千粒となった。道漁連留萌支店によるとデータが残る2002年以降で最高。各地で生残率が高まり大幅に伸長した。オホーツク海沿岸の地まき用稚貝を生産。近年は採苗不振や成長不足で10億粒を割る年もあったが、おおむね10~11億粒で推移している。契約粒数は増加傾向にあり、昨年は12億粒台に拡大。好成長が続いた今年は余剰貝も増え、能取湖産の大量へい死で苦慮した紋別向けにも当初の契約粒数以上に対応した。
噴火湾の2022年度シーズンの加工貝水揚量は、7単協(長万部・八雲町・落部・森・砂原・鹿部・いぶり噴火湾漁協)合計で前年度比5%減5万4千トンと昨年並みの水準に落ち着いた。その大半は中国向けの冷凍両貝に仕向けられ、高騰した浜値は昨年より3割前後高いキロ400円台を付けた。ボイル生産は4500トンと昨年並みだが、価格は3~4割高と高値に振れている。
オホーツク海沿岸の6月末水揚量は、春先の漁場造成を含め前年同期比11%増10万8370トンと好ペースだ。計画達成率は35%。宗谷、猿払村、枝幸、紋別、湧別、常呂の6単協が1万トンを超え12単協中10単協が前年を上回っている。日産は宗谷、猿払村、常呂が400トン台、枝幸、紋別、湧別が300トン台。6月の歩留まりは12~13%前後、組成は3S中心でどちらも昨年より向上。浜値はキロ200円以上を付けている。
いぶり噴火湾漁協の耳づりは、地区別で垂下した量や成長度に差が生じている。稚貝を収容していたザブトンかごにザラボヤが付着したことで、取り出し作業や稚貝自体の成育にも影響が及んだため。作業はずれ込み、6月半ばまでかかった漁家も少なくない。
噴火湾北西部と東部海域のホタテまひ性貝毒数値が、6月後半に異常なほど高まった。北西部の長万部では中腸腺の数値が1グラム当たり1800MU(マウスユニット)を超え、道漁連が定める出荷規定(20MU未満)の90倍に上昇。同漁協では1850トンの残存貝を抱えており「出荷のめどが全く立たない」と困惑している。1800MUを超えたのは1989年以来、34年ぶりという。
日本海北部の留萌管内でラーバの付着量が例年より少ない。仮分散の開始が約1カ月後に迫る中、十分な粒数を確保できるのか、養殖漁業者は不安を募らせている。留萌地区水産技術普及指導所によると、苫前地区の試験採苗器で5月2日~6月14日の累積数量は1袋当たり約600個と千個に及ばない。同留萌南部支所による増毛地区の試験採苗器でも4月中旬以降、6~7回交換して得られた6月中旬時点の累積が750個と苦戦している。両機関とも「今年の潮流は例年より速く、水温は1~2度高い」と海況の変化を指摘している。
渡島噴火湾の耳づり作業は大半の漁家が終了したものの、作業ペースや稚貝の成長は地区によって差が出た。森、砂原、鹿部ではザブトンかごに大量のザラボヤが付着したことで重量が増し、1度に揚げられる連数が減少したため作業が遅れ、稚貝の成長も悪化した。6月まで続けた漁家も多く苦戦を強いられたが、耳づり本数はある程度垂下できたもよう。
鵡川漁協の今季ホタテ漁は5月20日に終え、鵡川と厚真の両地区を合わせた出荷量が千トン超となり昨季を上回った。両地区とも今後は資源増に向けた施策を検討する。厚真地区では今季、2022年12月に開始。3隻体制で日産3トンをめどに天然発生貝を漁獲した。鵡川地区は今年2月下旬、地まきホタテ(2年貝)の水揚げを3隻でスタート。水揚額は2地区で約4億円だった。
オホーツク海の本操業は北部に続き南部(雄武・沙留・紋別・湧別・佐呂間・常呂・網走・西網走漁協)も本格化した。常呂は日産約360トン、紋別260トン、湧別240トンなど。昨年に続き各地で歩留まりが上昇しており、計画達成に向けた期待度も高まっている。