昨年8月に札幌市中央卸売市場隣のさっぽろ朝市内に開業した天然鮭鱒専門店の鮭蔵(電話011・727・2727)=写真。ロシア・カムチャツカ半島から仕入れた沖獲りのベニサケ、シロザケ(トキサケ)を主力に、「氷蔵藁(わら)製法」と「ふっくら製法」の二通りの独自製法で加工を施した塩蔵品などを提供。個人消費の二極化に対し、隙間市場の開拓・獲得に挑んでいる。
宮城県の養殖ギンザケの今季(2023年)生産量は1万5560トンと計画されている。昨季実績に比べ10%(1693トン)減。稚魚の池入れ量は昨季並みだったが、成長倍率を平年並みに低く見積もった。成育はおおむね順調で、上振れする可能性はある。水揚げは例年同様に3月中旬ごろに始まる見通しだ。
八雲町とひやま漁協熊石支所サーモン養殖部会が海面養殖に取り組む「北海道二海サーモン」の生産体制を下支えする「八雲町熊石サーモン種苗生産施設」が稼働し、2023年で2年目を迎えた。昨年12月には種卵(発眼卵)10万粒を搬入、初めてとなる卵から幼魚を成育させる挑戦に乗り出した。同施設の道総研さけます・内水面水産試験場旧道南支場時代から現場で活躍する職員の技術力を生かし、ふ化した仔魚の餌付けなどが順調に進む。
十勝総合振興局産業振興部水産課は親魚捕獲の要所・十勝川をはじめ管内での秋サケ密漁取締で、今年度からドローンを活用した取締手法の確立に乗り出している。昨年の河川そ上期に初めて試験導入。密漁容疑者2人の検挙に至った成果を受け、来年度以降も試行を継続していく。
別海漁協の鈴木隆三さん(63)、次男走志さん(30)の親子は、サケ定置やホタテけた引に従事しながら、水産加工の「漁師の台所 銀邑(ぎんゆう)」を営んでいる。秋サケ、ホタテ、イカ、ホッケなど前浜・根室海峡産を中心に生鮮・冷凍切り身、塩蔵、干物などを製造。「安全な食べ物」の提供を理念とする宅配事業会社が主力取引先で、味付けは岩塩一本。水揚げ減少や魚価安など厳しい環境下、漁業の持続に向け、6次化の安定に臨んでいる。
八雲町とひやま漁協熊石支所サーモン養殖部会が海面養殖に取り組む「北海道二海サーモン」の本格事業化を見据えた動きが進展している。2022年12月には八雲町が、熊石地区に構える種苗生産施設に種卵(発眼卵)10万粒を搬入した。卵の段階から幼魚を成育させる初の試みで、今年11月中旬までに幼魚約3万尾を生産する。
2022年産北海道産秋サケの親製品・魚卵製品の供給量は、前年比65%増の約7万9千トンと水揚げの伸長から前年より大幅増。単価は9月下旬以降下方修正されたものの、漁期当初の高値形成で高水準。道漁連では新漁までの在庫の適正化に向け、競合する輸入鮭鱒を含め消化状況を注視し、必要に応じて各種流通対策に取り組んでいく。
来遊数が7年ぶりに3千万尾を超えた昨年(2022年)の北海道の秋サケ。回復の水準は地域差が依然生じたものの、道総研さけます・内水面水産試験場の解析によると、全道的には4年魚で回帰した18年級が資源回復へのサインとなる成熟年齢の高齢化が見られている。また、19年級の3年魚は過去最高水準での来遊となり、23年漁期の好漁継続が期待される。同水試は「成熟年齢の変化が鍵」との見解を示す。
独自配合の「薬膳餌」で育てた北海道産サーモンが昨年、戦国時代と表される養殖鮭鱒市場にデビューした。開発者はすし職人。大雪山の湧冷水を使用する養殖業者の協力を得て生産。「食べるアート」の観点、温故知新の技法ですしの可能性を広げる「次世代寿司」を追求する中、栄誉価を高めた唯一無二の商材として打ち出した。「世界が『SUSHI』により親しみながら健康に」との思いを胸に増産・販売拡大に臨んでいる。
函館の新たなシンボルに―。函館市漁協のサーモン養殖部会は、2022年春の水揚げを皮切りにトラウトサーモン(ニジマス)のブランド「函館サーモン」の海面養殖に挑戦している。前浜での漁業はスルメイカの不振など苦境が続く。国内でも有数の食と観光の都市の新たな水産資源に育て上げようと、漁業者や水産加工会社が奮闘している。