「真崎わかめ」の生産や販売を手掛ける岩手県宮古市の田老町漁協(小林昭榮組合長)が、資源保護などに取り組む漁業者の国際的水産規格「マリン・エコラベル・ジャパン(MEL)」認証を取得した。MELのロゴマークを付けた水産品は持続可能性に配慮した商品として、国内外で幅広くPRできる。販路拡大を図り、漁業所得の向上につなげたい考えだ。
岩手県宮古市に市重茂水産体験交流館「えんやぁどっと」がオープンした。市が開設し、重茂漁協(山崎義広組合長)が運営を担う。漁業や加工品製造、浜の食文化など、宮古の子どもが水産業をまるごと体験できる施設。漁業をなりわいとする地域の魅力を発信し、担い手確保につなげる。
第62回青森県青年・女性漁業者交流大会(県主催)が1月27日、青森市の県民福祉プラザで開かれた。県内3団体の代表者が漁業振興に向けた成果を発表。優秀賞にはナマコの資源増殖に取り組む、むつ市の川内町漁協青年部が輝き、来年2月に東京都内で開催される全国大会への出場を決めた。
岩手県沿岸をはじめとする本州の近年の秋サケ資源減少は、親潮南限の北偏傾向と関連がある可能性が高まった。黒潮から暖かい水の渦が発生し続け、寒流の親潮の南下を妨げると、高水温に加え稚魚の餌となる動物プランクトンの減少ももたらし、降海後にエネルギー不足に陥る状況となる。水産研究・教育機構水産技術研究所宮古庁舎の佐々木系氏が1月23日、盛岡市内で開かれた「三陸海域の水産業と海洋研究集会」で報告した。
一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC、東京都港区、池田要理事長、電話03・6435・6700)など3者は、岩手、宮城両県の三陸沿岸で冬から春にかけ、親潮の前線域(潮目)にイサダが多く集まる特性に着目し人工衛星の観測データを使ってイサダ(ツノナシオキアミ)漁を効率化するアプリケーション(ウェブサービス)の開発を進めている。海面水温から漁場が形成される場所を1時間ごとに推定し、リアルタイムでスマートフォンなどに示す。水揚量アップのほか、燃油コスト削減や鮮度を生かした新産業創出などが期待される。
痩せウニの身入り改善とアワビの成育促進を図ろうと、北里大学海洋生命科学部附属三陸臨海教育研究センター(岩手県大船渡市)の森山俊介教授は、食品加工残さを活用したバイオマス飼料の開発に取り組んでいる。蓄養・養殖に生かして深刻化する磯焼けを解消するとともに、天然では難しい高品質な通年生産を低コストで目指す。漁業者の所得向上を後押ししたい考えだ。
青森産技食品総合研究所(八戸市)と水産研究・教育機構(横浜市)は画像センシングを活用した魚種・サイズの自動選別技術を開発し、14日、実証試験の様子を公開した。AI(人工知能)の手法の一つである機械学習を用いることで90%以上の精度で魚種判定を行い、同時に画像データからサイズを高精度に計測。県沿岸で漁獲されるサケやサバ、ワカシ(ブリの未成魚)など約40魚種の自動選別を可能にした。水揚げ現場に導入されれば生産性を3割高められるといい、作業の省力化や人手不足の解消に向け実用化が期待される。
宮城県石巻市雄勝町水浜の(株)海遊(伊藤浩光社長、電話0225・25・6851)は、カキやホヤに付着する“副産物”のムール貝(ムラサキイガイ)のブランド化を目指している。冷凍の輸入物に比べ、三陸産の活は食感がよく、味が濃いのが特長。知名度を高めることで消費拡大を図り、漁業者の所得向上につなげたい考えだ。
「本物のイカを食べさせたい」―。網元に生まれ育った青森県外ケ浜漁協の木浪佑悦さんは、東京で目にした真っ白いイカの刺身に衝撃を受け「新鮮な魚介類を流通させよう」と一念発起。東京・豊洲市場での修業を経て、2年前に水産物の活・鮮魚販売を手掛ける(株)日本魚類を立ち上げた。ヤリイカやホタテを中心に前浜で漁獲した新鮮な水産物を全国各地に届けている。
岩手県大船渡市三陸町越喜来の中野えびす丸(崎浜港、第16代船長・中野圭)は、地元産の水産物を使ったブランド「OKIRAI PREMIUM 越喜来を味わうシリーズ」を立ち上げた。チームで6次化を目指す取り組みで、第1弾として「ホヤのレアスモーク」の販売を開始。志を共にする仲間を巻き込みながら三陸が誇る海の幸の魅力を発信し、地域振興につなげていく。