マルスイホールディングスグループの中核会社である丸水札幌中央水産株式会社の2023年3月期決算は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、秋サケ増産やホタテの価格上昇などで増収となり、7期連続で黒字を確保した。23年3月期から「収益認識に関する会計基準」を適用し、単純比較できないが売上高は前期比0.2%増の512億7497万円。営業部門では毛ガニの取扱数量増やアルゼンチン赤エビの秋口の搬入増に伴う相場下落などが響き、売上総利益率は0.5ポイント低下の4.3%だった。エネルギーコスト上昇などで販管費が膨れ、営業利益は前期比49%減の1億1375万円。
低調だった砂原漁協のタコ箱が6月に入り上向いてきた。多い着業者で日量400キロ程度と徐々に増えている。一方、キロ千円台中盤まで高騰していた浜値は弱含みの傾向。6月半ばで900円台と値を下げているが、昨年と同水準で例年以上の高値に着業者は今後の増産を期待している。
釧路管内のさお前コンブ漁は、5月25日の釧路市東部漁協を皮切りに各浜順次解禁となって以降気象と海況条件に恵まれず沖止めが続いていたが、6月20日に全5単協が待望の初水揚げを迎えた。いずれも21、22日と続けて出漁。厚岸・浜中の両漁協は計画日数の3日間を消化し終漁した。
日本海北部の留萌管内でラーバの付着量が例年より少ない。仮分散の開始が約1カ月後に迫る中、十分な粒数を確保できるのか、養殖漁業者は不安を募らせている。留萌地区水産技術普及指導所によると、苫前地区の試験採苗器で5月2日~6月14日の累積数量は1袋当たり約600個と千個に及ばない。同留萌南部支所による増毛地区の試験採苗器でも4月中旬以降、6~7回交換して得られた6月中旬時点の累積が750個と苦戦している。両機関とも「今年の潮流は例年より速く、水温は1~2度高い」と海況の変化を指摘している。
道漁協系統・関係団体は15、16の両日、札幌市の第2水産ビルで通常総会を開き、2022年度事業・決算報告と23年度事業計画を承認した。全道組合長会議では「環境の変化に打ち克つ持続的な北海道漁業の確立」をスローガンに、最重要課題として福島第一原発ALPS処理水の海洋放出に伴う対策の特別決議と、北海道漁業の実態に即した資源管理・資源増大対策、漁業経営基盤の強化対策、次世代に向けた漁場環境の保全対策の通常決議の4項目を採択した。早期実現に向け、16日の道・道議会を皮切りに要請活動を展開していく。
落石漁協の前浜さお前(ナガコンブ)は、不漁だった昨年を上回る繁茂状況。主漁場の「昆布瀬」は近年着生状況が芳しくなく、わずかな操業日数で終漁していただけに、着業者は「今年は少しでも水揚げを伸ばせられたら」と増産に向け力を込め沖に出ている。
渡島噴火湾の耳づり作業は大半の漁家が終了したものの、作業ペースや稚貝の成長は地区によって差が出た。森、砂原、鹿部ではザブトンかごに大量のザラボヤが付着したことで重量が増し、1度に揚げられる連数が減少したため作業が遅れ、稚貝の成長も悪化した。6月まで続けた漁家も多く苦戦を強いられたが、耳づり本数はある程度垂下できたもよう。
噴火湾でオオズワイガニが異常発生している。カレイ刺網着業者によると、網外しに時間がかかるため網数を減らしており、アカガレイやソウハチは食害の影響も受け数量がまとまらない状況だ。浜値はカレイもオオズワイも安値に振れている。網は損傷が激しく「1カ月も使えばぼろぼろ」となり、着業者は「仕事にならない」と悲鳴を上げている。
根室湾中部漁協のアサリ手掘漁は、個人差はあるものの大半が1日1人当たりの上限量(80キロ)を水揚げしている。ただ、資源状況について藤林新造部会長は「減少傾向にある」と指摘。「以前に比べ80キロ採るのに時間がかかるようになった」と実感する。序盤にシケがなく順調操業が続いた昨年の同時期(6月8日現在)と比べると、数量は9%減の23トン、金額は5%減の1716万円、キロ平均単価は4%高の736円となっている。
小樽市漁協のウニ漁は総体の数量と金額が昨年を上回る水準で推移している。10日現在では主体の白(キタムラサキウニ)で塩水パックの数量が前年同期比9%増の2万7798個。それでも高島地区の着業者は「コンブなど餌となる海藻が見えず、ウニの資源量が芳しくない」と話し、今後に不安を抱える。