砂原漁協の底建網は、10月末から秋漁主体のホッケが上向いてきた。1隻日量100キロ前後と本来の水揚げには及ばないが、着業者は皆無に近かった漁況から好転する手応えを得ており、今後の増産に期待している。
小樽市漁協の稚貝本分散は、開始から6割程度の進ちょく状況だが、8月に行った仮分散後のへい死が一部に見られ、丁寧な分散作業に注力している。サイズは小型のため選別機で落ちる下の稚貝を再度施設に戻し、最後にあらためて分散し直すことも考えながら慎重に進めている。
記録的不漁に加え、製品在庫の払底、海外産の搬入低迷などで近年にない異常高騰の市況を形成した北海道の秋サケ。量販店の生鮮商戦は価格訴求の販促展開が厳しく、苦戦を強いられた。親は商品づくりなどで健闘した一方、生筋子は単価高が購入量の落ち込みに直結し、売り上げの減少を余儀なくされた。
南かやべ漁協の定置網漁はブリが増産している。8月末から乗網し、11月に入ってはフクラギやイナダを中心に水揚げ。漁獲量の日変動、漁場間差が大きい傾向。また、昨年に比べ水揚げが少ないものの、スルメイカも乗網している。
枝幸町の株式会社枝幸水産商会(岩谷隆行社長、札幌事務所011・596・0682)は、枝幸産マホッケの開きやフライの販売拡大に挑んでいる。枝幸港根拠に操業する漁業部門の沖底船「第八龍寶丸」で漁獲した原魚を加工。自社のECサイトや町のふるさと納税返礼品のほか、道産食品専門店、飲食店などにアプローチ。11月には長崎市の地元百貨店「長崎浜屋」開催の北海道物産展に出展し、毛ガニ・タラバ・秋サケ・ホタテなど枝幸産の他商材と合わせ九州での認知向上、拡販に取り組んだ。
東京都・豊洲市場の北海道産マイワシ消流は荷動きが鈍っている。飲食店向けのサイズは相場の上昇で、利益を出しにくい状況。また、航空便の商材でも鮮度の良さが付加価値として反映されず、トラック便より高単価の分、さらに売れ行きが芳しくない傾向をみせている。東京都の集計によると11月1週目のマイワシの入荷状況は中心組成が70~100グラムと前年同期の100~110グラムより小型。仲卸業者は「今年は全国的に小ぶり。入梅イワシは時期になっても入荷せず、道東産も期待通りの荷は少ない。先が読めない」と仕入れに苦労する。
岩手県の久慈市漁協は、久慈湾で取り組むサーモンの海面養殖が事業化4季目を迎え、5日から稚魚の搬入が始まった。「久慈育ち琥珀サーモン」としてブランド化を進めるギンザケのほか、より収益性の高いトラウトサーモンも昨季から養殖。天然資源が減少する中、安定的な収益の確保につなげる。来年7月下旬までに2魚種で計800トンの水揚げを目指す。
渡島噴火湾のスケソ刺網は薄漁のため序盤から操業隻数が少ない上、経費削減で揚網回数を調整する船があるなど苦戦している。また、漁業者は高水温の影響などで沖に停滞していた群れが海況の変化で11月末ごろから一斉に陸に入ってきた昨年同様の漁獲傾向を懸念。加工筋も漁獲の短期集中と卵成熟ピークの早期化などを懸念する一方、今後の好転を期待する。
宮城県・気仙沼港では、シーズン終盤を迎えたカツオ一本釣漁の水揚げが好調だ。例年は10月下旬から下火になるが、今年は11月に入っても1日200トン前後の水揚げが続いている。気仙沼漁協によると、今季、同港に水揚げされた生鮮カツオの数量は一本釣と巻網を合わせて10月末の時点で3万511トンに達する。3万トンを超える水揚げは2021年以来3年ぶり。
日本昆布協会(吹田勝良会長)は6日、新横浜プリンスホテルで秋の例会を開き、本年度上半期事業の実施内容を報告した。輸入昆布は主力の中国産が1200トンの見込みで、このうち約半分を10月下旬までに搬入。また、イベント出展などを通し食育に注力したほか、産地見学・交流会も実施し真昆布の主産地である道南地域を視察した。