昆布森漁協の能登崇さんは、ナガコンブの頭を袋詰めした「黄金昆布」(内容量100グラム)を試作した。濃厚なだしがとれ高い人気を誇る羅臼昆布の製品作りを現地で学び、あんじょうなどの熟成工程を取り入れた。今後改良を加えて製品化、近日開設予定の個人のホームページで販売を検討している。「プロの料理人の評価を聞くと、だし昆布としても使えそう」と提案する。
西網走漁協(清野一幸組合長)の「網走湖産しじみ貝」が農水省の地理的表示(GI)保護制度登録後、最初の水揚げシーズンを迎えた。シジミの北海道最大の生産地・網走湖では徹底した資源管理と鮮度保持を武器に5日から操業を始め、新たなブランド展開をスタート。待望のGI登録を追い風に産地偽装の排除と販路拡大を目指す。
札幌市の食料品卸・株式会社エスワイエスウイング(依光博文社長)は3月中旬に札幌市豊平区に食のセレクトショップ「らうすプラス」を構えた。干物やサケをメインとした水産品に、全国各地から取り寄せる名物商品を“共演”。併せて羅臼町認証店として羅臼昆布など特産品を取りそろえ、道都・札幌市民の魚食拡大に臨んでいる。
政府は4月29日付で2021年春の叙勲受章者を発表した。北海道の漁業関係者では猿払村漁協前組合長の安田順一氏が水産業振興に努めてきた功績が認められ、旭日単光章を受章した。
海藻類加工販売の株式会社ヤマコン(名古屋市、山下秀和社長、電話052・681・9201)はこのほど、各種海藻を使った新商品を発売した。道産昆布4銘柄をブレンドした「万能きざみ昆布」、粘りの強い食材を使った「オクラと3種の海藻ミックス」、減塩タイプのカットわかめとあおさの計4品。いずれもパッケージ裏面にレシピを記載するなどして食べ方を提案する。
宮城県南三陸町歌津の建設業、株式会社 阿部伊組(阿部隆社長、電話0226・36・2311)は、陸上養殖した希少海藻マツモを練り込んだクラフトバターを開発した。マツモの持続可能な生産と消費の実現を通じて、異業種から新風を吹き込む。15日に電子商取引(EC)サイトで予約の受け付けを開始し、6月1日から順次発送する。
ひやま漁協奥尻地区青年部成養部会(雁原幸正代表)が取り組むイワガキ養殖は、将来的にシングルシード方式を柱とする生産を目指している。出荷までの養殖期間が短く生産効率が上がることが利点。加えて、型や身入りの安定化も期待できる。昨年からは本格的に「奥伎(おうぎ)」の名称でブランド展開。雁原代表は「シングルシード生産が確立できれば、奥尻産イワガキのブランド力を高めることができる」と強調する。
不漁が続く三陸のイサダ(ツノナシオキアミ)漁が予定の漁期を待たずに終了した。漁業情報サービスセンター(JAFIC)によると岩手、宮城両県の今季水揚量は計4112トン(前年比2.1倍)。2年連続の不漁に伴う在庫薄を反映し、1キロ当たりの平均単価は231円(同2.4倍)と高騰した。
イサダは養殖魚や釣りの餌となるほか、健康維持効果のある成分を含むことからサプリメントの原料にも使われるなど近年需要が拡大している。
羅臼漁協のバフンウニたも採漁は3月の操業日数が伸び、数量・金額は昨年を上回るペースで推移している。うに漁業部会の濱田久吉部会長は「餌となるコンブなど海藻類の繁茂状況が芳しくなく身入りが悪い。それでも操業回数でカバーしている」と説明する。
「あらためて反対」「納得できない」―。国が4月13日に方針を明らかにした東京電力福島第一原発の処理水放出。大量の海水で希釈し、放射性物質の濃度を国の基準より十分低くすると説明するものの風評被害への懸念は強い。宮城県漁協の寺沢春彦組合長は「まずは国民や諸外国への説明責任を果たさなくてはだめだ。安心が担保されない限り到底受け入れられない」と憤りを隠さない。福島県や隣県の漁業関係者らは風評の恐ろしさが身に染みている。