中国の日本産水産物禁輸措置から1カ月が経過した。大きな影響を受けているホタテの販路拡大を目指し内販消費、輸出先の転換に向けた国、道県の支援策が示される中、国内では消費行動の機運が高まり、外食産業や量販店に加え、ふるさと納税返礼品での露出も顕著に現れている。円安に伴う輸出増大で高騰した玉冷相場は徐々に下方修正されているが、底値には至らず、生産・加工・販売が連携し流通面で折り合いを付け高値の在庫を消化させながら、その先の流通拡大につなげられるかが焦点となる。
白糠漁協の毛ガニかご漁は、大・中サイズのみを水揚げし、序盤は順調に推移したものの海水温の上昇に伴い鈍化した。山田明毛ガニ篭部会長は「平年比で平均4度くらい高い」と指摘する。一方、小サイズや稚ガニが昨年に比べて見えており、着業者は今後の資源安定・増大に期待を寄せている。
宮城県漁協志津川支所(南三陸町、行場博文運営委員長)が9月中にも、持続可能なカキ養殖を国内外に証明する水産養殖管理協議会(ASC)の国際認証を取得する。同支所戸倉出張所は既に取得済み。今季共販から、志津川湾産の生食用むき身カキは全て認証品となる。ラムサール条約の登録地から環境や社会に優しい養殖業の魅力を発信し、ブランド力向上につなげる。
枝幸町のホタテを柱とする水産物の海外輸出拡大に向け新たな事業が動き出した。町内水産加工業者はじめ漁協、商工会、運送事業者、町の13団体は「枝幸水産物輸出促進協議会」(会長・三國浩司枝幸水産加工業協同組合長)を発足。生産・加工・物流面の効果的な体制整備を目指す。農林水産物・食品の輸出拡大を支援する農水省の「GFPグローバル産地づくり推進事業」にこのほど採択され、刻々と変化する輸出環境に対応しながら、新たな輸出先の掘り起こしにつなげたい考えだ。
農林水産省と経済産業省は7日、日本貿易振興機構(JETRO)に「水産品等食品輸出支援にかかる緊急対策本部」を設置した。政府の要請に基づく。海外における代替市場の販路開拓、水産物をはじめとした日本産食品のさらなるイメージアップへの取り組みを重点的に展開する。
宮城県塩竈市の市魚市場で14日、メバチマグロの地域ブランド「三陸塩竈ひがしもの」の初競りが行われた。地元の目利きの買受人が脂乗りなどに優れる生メバチを厳選。12月末まで旬の味として仙台や東京・豊洲の市場などに出荷するほか、今季から九州での認知度向上を目的に福岡へ空輸する事業も始める。
東京都の豊洲市場で十勝や釧路からマツダイの入荷が増えている。秋サケ定置の混獲で、例年より水揚げが増加しているのが背景。ただ、従来安定した入荷状況ではなく、なじみが薄いため、需要先の確保など供給増への対応に苦慮している。卸値は9月11日時点で広尾産がキロ千円、高値はキロ2千円ほど。仲卸業者は「いつもは青森県、岩手県、宮城県の東北太平洋側が主。北海道産を豊洲で見かけるようになったのはここ2~3年で顧客からの詳しい評判はわからない」と話す。
森漁協の大定置は、8月まで順調だった主力のイワシやサバが9月に入り低調な水揚げ。高水温の影響を懸念する着業者は、9月末以降の挽回に期待を寄せている。浜値はイワシが高値傾向。着業者はミール需要の高まりを指摘する。
えりも漁協庶野地区の秋サケ定置が9月上旬に始まったが、序盤は海水温が高く総体的に低調に推移。ただ中旬に入って若干乗網数が上向いてきた漁場もあり、着業者は今後の来遊増に期待を寄せている。
大樹漁協の秋サケ自営加工は、大樹さけ定置共同経営体が手掛ける船上活じめ製品の拡販に取り組んでいる。生鮮出荷に加え、昨年から塩蔵品(新巻き・山漬け)を差別化して売り込み。また、生筋子も血合いがなく、きれいで鮮やかな見栄えなどが評価を得て、量販店からの引き合いが強まっている。